ホンのつまみぐい

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横浜校庭フェスティボー feat.963,ウテギャ/校庭カメラガールツヴァイ「Dis dear month of August」963「ストロー」リリースイベント/@タワーレコード横浜ビブレ店

ギャングスタラップでもフィメールラップでも文化系ラップでもなく、やっぱアイドルラップなんですよ!

久々の校庭カメラガールツヴァイ。やっぱ最高に私の好きなアイドルラップだったから、ここは大声で主張しておきます。

正直、今回のEP、サウンドクラウドの時点ではあまりピンと来てなかったんですがいやーよかったです。

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これまでのコウテカを深夜のノートに書かれた手紙の下書きとか、ライブ帰りの夜道に心の中に浮かんでくる言葉の断片とかが音楽と化したものと例えるなら、今回のEPの内容は夏休みの学校に置いてかれたノートに書かれたポエムとか、ソーダ水を飲みながら夏の終わりを感じる瞬間の音楽化でしょうか。

自分の例えも含め、どれも中年手前の人間の妄想度高い!キモい!!

だが、それがいい!!

アイドルラップって、歌詞を自分で書かないことが圧倒的に多いじゃないですか。

だから、コウテカの運営のVivid jasさんみたいに、「例えばラップが今後すごく上手くなっても、自分でリリックを書いてないなら、ラッパーではないと思うし、どこまで行ってもアイドルなんですよね」って言う人もけっこういると思うんです。

(2ページ目)校庭カメラガール運営に訊く、グループのコンセプトと野望「WARPやNINJA TUNEみたいになりたい」|Real Sound|リアルサウンド

でも、だからこその世界観の洗練があって、私はそこがとても好き。

思春期の女の子の孤独と不安をポエトリー調のラップで表現した EチケライムベリーのIch liebe dichや、恋や日常に振り回される女の子の気持ちを一枚のアルバムにパッケージングしたlyricalschoolのdate course、そして、コウテカの歌う寂しさや不安のバリエーションの豊かさ。これらはやっぱり、「おっさん」という他者のレンズを通したからこそ生まれた、より「純度の高い女の子の世界」だと思うんです。

きみとぼくは夢で会える/ ライムベリーMAGIC PARTY VOL.2 /2014年12月21日@新宿BLAZE - ホンのつまみぐい

手のひらの中で日常のハッピーを歌う、リリスクがあなたの手元に届いてほしい - ホンのつまみぐい

そして、複数人の声色が織りなす歌の色鮮やかさ。
大人数のラップグループたくさんありますが、たいがい順番にマイク回してるだけじゃないですか。でも、アイドルの場合は、どこか女の子たちの声を素材と割り切って、その画を描いていくような冷たいところがあります。コウテカで言えば、しゅがしゅららちゃんの声の飛び道具としての遊び方とか、BiSのヒラノノゾミちゃんを徹底にハモりとして使い切る容赦ないパート分けとか。だからこそ仕上がった時の画の完成度は高い。

話が広がりすぎましたが、そういったアイドルラップ独特の洗練が、うまいことパッケージングされていて、なおかつライブに反映されているという点で、コウテカやっぱ好きです。

ライブでは試聴の際にピンとこなかったレゲエ曲「Please Breeze」の明るさが光っていました。しゅがしゅららちゃんの「はいはいさー」が最高! 現場では「横浜と言えばレゲエ!」というもるももるちゃんのMCがありましたね。

 暴れ馬の異名を持つましゅりどますてぃちゃんより、おとなしめのパフォーマンスのうぉーうぉーとぅーみーちゃんのひとつひとつ確かめるような歌い方も気持ちいい。

 そして、衣裳のかわいらしさ。既製品だと思うけど、それぞれが違ったタイプのそれぞれにぴったりあわせたワンピースを着ているの愛おしいし、さわやかで正しいです。

 ああ、当日のライブの話が少ないな……。この日はNua、Unchanging end Rollが聴けてうれしかった。明るい歌が増えたことでリリイベの空気もいい意味で変わったような気がします。

明日は最後のリリースイベント、8/15(月)19:00~ ダイバーシティ東京プラザ2Fフェスティバル広場。コレ読んで興味を持った方、野外コウテカ2に来て下さい!

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2016.8.3 “Dis dear month of August” release.

track list
1. This dear month of August (inst)
2. Please Breeze
3. La summer Planetes
4. Happy Major (re zwei)
5. Curtain Call (girl remix)
6. Lantana (inst)

 

※963と校庭カメラギャルの感想付け足しました。

 

ところでこの日のリリースイベントは校庭カメラギャル、963(くるみ)がほぼ3時間に渡ってステージを独占するというもので、コウテカ2の後は校庭カメラギャル、略してウテギャのステージ。

 

ウテギャの歌詞はアイドルラップというより、ヒップホップのパロディーと言った方が近い内容で、最初の頃は「別にここは君の夢を再現する現場じゃないんだよ、うっさいな」といったフリが馴染んでいませんでした。

 

しかし、久々に観たステージでは「それでも光が見えるから歌ってんだ」「違う朝を迎えるのに変わらない人達も昔は夢を見てたりしてたんだろうな」といったリリックが彼女たちなりのリアリティーを持って聴こえてくるようになっていました。何より聴き取りやすくなった!(まあ、後日初見の人にヒップホップっぽい記号をちりばめてるだけと言われていたので、私が彼女たちのバックグラウンドを多少なりとも知っているかどうかも関係あるのでしょうが)

特にパタコアンドパタコちゃん。黒髪ロングの薄化粧という清楚さはそのままに、客への煽りや勢いを増していて、むしろ挑発的なリリックを得たことで本人が気持ちを開放出来るようになったのかも。

 

オタクがスケッチブックにコールを書いて掲げるというアイドル現場独特の気遣いも楽しかったし、一体感に一役買っていたと思います。

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そして963。

 

二人組の中学生ラップアイドルから、やーぷんの脱退が発表されてから早2カ月。

 

楽曲や世界観の完成度の高さは折紙付であるものの、963の最大の個性が二人の快活なおしゃべりにあったことは間違いなく。一人になったぴーぴるはどんなステージを見せるのかとハラハラしながら見ていました。

 

しかし、ぴーぴるなんと一人でもしゃべり倒しまくり!

 

特に「963はね、ほんとは二人組だったんですよ。やーぷんて子がいてね?でも、ちょーど、ここっ!っていうタイミングでいなくなっちゃって……。いやあ、このCDもリリース出来るかわからなかったんですよ……」

 

からの「でも、なんでリリース出来てるかわかりますか?!私が!!すごーくがんばったから!でーーす!!!!いえーーーい!!」といいながら板の上をドタバタ走る走る!

 

脱退した子のことをこんなにあっけらかんと話すアイドルは初めて観ましたよ! しかも嫌味なく。どこまで意識しているのかわからないけれど、やーぷんが好きな人もギリギリ傷つかないですむ範囲だったのでは。

 

一人で歌われる「すけるとんがーる」にはなかなか寂しい気持ちにさせられたけど、「いさましいちびのぴーぴる」とでも呼びたくなる快活さは痛快でした。別にぴーぴるは小さくないけどね。

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コウテカ2も963も握手行きたかったけど、後ろに用事があったので離脱。楽しいリリイベでした。

 

スマイル・アゲイン

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