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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

生きるアート 折元立身@川崎市市民ミュージアム

美術・展示
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www.kawasaki-museum.jp

激しかった……。
 
アルツハイマーの母親・男代さんを撮ったシリーズ「アートママ」や、パンを被って街を歩く「パン人間」は見たことがあったのだけど、それ以外の作品はほぼ初めて観た。
 
中でも目を引いたのは膨大な量のドローイングだ。
 
アートママの関連展示のひとつ、「ガイコツ」には、膨大な量のガイコツが描かれている。
 
母の介護を続けながら作品を制作している折元の数少ない息抜きの時間が、ホームヘルパーが訪れて食事の準備をする1時間。そのわずかな時間に立ち飲み屋で酒を呑みながら描いたという、大量のガイコツの画。
 
ハガキより少し大きいくらいの紙に描かれた何百枚ものガイコツが、特に何を語るでもなく壁に敷き詰められるかのように貼られている。
 
また、「車イスのストレス」という映像作品とそれと合わせて展示されたドローイングも強烈だった。
 
介護に疲れた折元は車イスにパンを乗せて川崎の街を歩く。途中、知人の老婆と話したりもするが、基本的には淡々と車イスを押しながら、折元は歩く。
 
しかし、ある場面で折元は何度も車イスを路上に打ち付ける。パンは車イスからこぼれ落ち、折元も倒れる。逃げ場のない鬱屈がこちらにも伝わってくるようだ。
 
この作品にはドローイングが添えられていて、そこには裸の女を車イスから放り出す絵がいくつも描かれている。
 
率直な感情が叩きつけられたドローイングはまるで傷口から飛び出した骨を見るようで痛々しく、でも率直さが明快でもある。
 
写真やインスタレーションにはない生々しさが胸に刺さった。
 
不思議なのは、文字で表すと陰惨な印象を与えてしまうこれらの展示が、どこか乾いた平静さを保っていたことだ。だから、母に対する強い愛情を表したもろもろの作品と並べても、救い難い気持ちにならない。
 
その距離感はどこか卯月妙子の「人間仮免中」を思い出させた。
 
最終日ということで、会場に作者本人がいて、どさくさにまぎれてサインをいただいてしまった。映像に映った姿とも作品ともズレのない風情の人だった。
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折元立身の仕事

折元立身の仕事

 

 

 

介護男子スタディーズ

介護男子スタディーズ

 

 

 

人間仮免中

人間仮免中