ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

ヒップホップはただ利用されたのか、それとも……? TOHYOCYPHERに行ってきたよ

TOHYOCYPHERを観にいってきたのだった。

きっと多くの人がそうであるように、ヒップホップはカウンターカルチャーだと思っていたので、「あんなガキを小馬鹿にしたコンテンツに引っ張り出されちゃうのどうなん……」という戸惑いが最初の感想。

kai-you.net

そして、「果たして出場するMCたちはこういう『政治の場』で、ヒップホップという文化をふまえた上で自分の言葉で語れるのか?」というのが次の懸念。

ACEが「バカにされてようがハシにも棒にもかからない元々は異国の文化をこうやって取り入れようとしてる試みの時点でHIPHOPの勝ちなんですよ。先ずは1勝的なw」と言っていて、それはそれで闘い方なのかもしれないけど、政治と広告代理店は手強いよ。広く届けることが広く伝えることにつながらないことは、ある。最終的に伝えたいことを殺すことだって。

 

しかし、見届けないと意見も言えないということで、新宿へ。

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着いたのはたしか16時前後。13時から始まったイベントは、もうだいぶ進んだ時間帯だった。

イベントはMCバトル、投票サイファー(観客からお題募集してフリースタイル)、ライブを繰り替えす構成。

MCバトルは、私が見た試合は特に政治について語っていなくて、普通の若い子同士のdisり合い。

投票サイファーは、輪入道の「さっき運営側に言葉気をつけろって言われた。だからオレは握るマイクロフォンこれはまるで言葉狩り。でもまだまだつづく物語」インパクトがあった。一方で、「投票しよう」という、ただイベントに合わせただけの言葉を呼びかけるMCもいたり……。

ライブはMCニガリa.k.a赤い稲妻、ACE、KEN THE 390、般若が観られた。

ニガリはワンクリック詐欺の歌で笑いを取っていた。

ACEの曲はどこかアニソンぽくて向日性があった。(しかし、こういう時につい感じてしまう共通項としてのアニソンっぽさって一体なんなんだろう?) そして、MCがヒップホップだった。

ラップは誰かに言わされるんじゃなくて、自分の言いたいことを言うんだよ。

やりたいことやれよ。自分の人生だろ?

ただ、ここでは俺の言うことを聞け。

盛り上がれー!!

ライブの後に一言コーナーがあるのだが、ACEは「てめえの言葉で語れ!」という「てめえのナントカ」を連呼して、最後に「てめえの住む国てめえで決めろ!」と叫んでいた。

それは彼の生き方を考えるととても説得力があるし、ヒップホップ的だと思えて、グッときた。しかし、司会のお姉さんが、「とっても暖かい『てめえ』でしたね~~」と言ったのにはずっこけたよ。

KEN THE 390。音の厚みがハンパなくって、youtubeで聴いた時とは比較にならないくらいかっこよかった。都会の大人の音だ。

MCでは、「投票に行くことによって興味が出てくる。選挙に行くことが考えるきっかけになる。ひとりくらいこういうことを言うラッパーがいてもいいんじゃないか」と、こっちも大人の態度。

そして般若。

土足厳禁の愛国主義的な歌詞は個人的には受け入れがたいんだけど、それは置いて途中の「最高のイベントだけど、一番悪いのは東京都なんじゃねえの?ヒップホップはぶれないから大丈夫だぜ?」というDisの無難さが物足りなかった。

そして、「ACEやKEN THE 390は来ている若者に向けて話していたけど、般若の向いている方向はヒップホップの美学であって、目の前の聴衆じゃないのだな」と感じた。

MCでは「ライブが総てということで」と言って去っていった般若。ずるいな、色々……。

総体的に、ショーケースとしてはとてもよく機能していたと思うのだけど、疑問に思うところは多かった。

一番スッキリしなかったのは、MCバトル、ひいてはヒップホップの暴力性がこういうところに吸収されていいのか? ということだ。

Zeebraも般若もユリイカで、MCバトルブームについて「人と人とがdisりあっているのが見たいのではないか」と話していたけど、それが行政の枠に閉じ込められてガス抜きに使われてしまうと、そこにこめられた言葉を死なせることだってあるのじゃないか?

それから、ACEがラップが東京都に認められたイベント!!とつぶやいていたけど、現場に行って、やっぱり「認められたんじゃなくて安く使えてアクセスが稼げる流行り物として引っ張り出されただけ」とは思ったよ。

 

本当に「認められた」というのは「ビヨンセが過激な言葉を使いながらも、女性であることを誇る歌でオバマ夫妻から評価されている」……みたいなのを言うんじゃないかな? もちろん、みんな本当の意味で認められたいと思っているだろうけど。

とはいえ、こういう形でラッパーを見ることができたのは面白かった。ある意味、通常のライブよりその人の表現者としてのあり方をしっかり浮き立たせてしまう場だったことは間違いない。

明日のライブ、どうなるのかちょっと怖いけど、一応足を運んでみるつもり。

 帰り道、脳内で何となく生まれたdisを最後に置いておく。

白黒つけない客寄せパンダ

クールなビートでフールなピント

コメもないなら丼出すな!

 

二日目の感想はこっちです。だいたいサ上と鎮座の話。

hontuma4262.hatenablog.com