児童書読書会用に読んだやつ。これすごい。面白いしかない。
鬼才なんでしょう。でも、性悪。
そういう人だと思ってたので、この本には驚きました。
悪いお殿様に小町娘を奪われそうになった庶民が、助けたキツネの手を借りて娘を逃がそうとする話なんですが、太い線の生き生きした絵とのマッチングが最高でした。ラストも痛快娯楽時代劇エンド。
挿絵が添え物ではなく、互いに引き立てあうような本というのは児童書が得意とするところですが、これはなかでも楽しく出来てるんじゃないかしら。
中学年くらいの読むものなくて困ってる子に勧めたいな。スラップスティックな要素がうまく落語の世界に溶け込んでいて、安心して読める。
これ、キツネのおツネちゃんの鳴き声がかわいいの。「けひょー」って鳴くんですよ。「けひょー」。
そんな鳴き声の生き物聞いたことないよ! キツネの鳴き声って直に聞いたことないけと、実際「けひょー」なんですかね。
読書会では、お子さんに読み聞かせた方の「意外に読み聞かせづらい」という話と、「おツネちゃんはただ面白いからやってるだけで、正義感や義侠心はない。破壊者役の殿様と通じるところがある」という指摘が印象的だったかな。
あとは、北野勇作の指摘。
『鈴狐騒動変化城』の、会話の最後の部分をカギ括弧に入れずにそのままナレーションに移行する、というのは落語でよく使われるテクニックのひとつで、こういうのを小説に上手く使っているのを読むと、落語というのがいかにすごい財産なのかがよくわかる。もちろん、誰にでもできることではない。
— 北野勇作 【ほぼ百字小説】中 (@yuusakukitano) 2014年10月13日
装画の伊野孝行さんのブログも面白かったです。
「鈴狐騒動変化城」① | 伊野孝行のブログ | 伊野孝行のイラスト芸術
「鈴狐騒動変化城」② | 伊野孝行のブログ | 伊野孝行のイラスト芸術