読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

「鈴狐騒動変化城(すずぎつねそうどうへんげのしろ)」田中哲弥

 児童書読書会用に読んだやつ。これすごい。面白いしかない。

 
 田中哲弥といえば電撃文庫の産んだ超絶技巧作家。とにかくめっちゃ文章がうまくて、笑える話を書く人だけど、読者にサービスしようという奉仕の心はない。そして、時々たいそう邪悪なものを書く。
 
 鬼才なんでしょう。でも、性悪。
 
 そういう人だと思ってたので、この本には驚きました。
 
 もともと関西の作家連が身内でやってる創作落語の集い用に作られた噺を、児童書出版の老舗・福音館書店のオファーで児童向け読み物に作り変えたもの。
 
 悪いお殿様に小町娘を奪われそうになった庶民が、助けたキツネの手を借りて娘を逃がそうとする話なんですが、太い線の生き生きした絵とのマッチングが最高でした。ラストも痛快娯楽時代劇エンド。
 
f:id:hontuma4262:20160307205243j:image
 挿絵が添え物ではなく、互いに引き立てあうような本というのは児童書が得意とするところですが、これはなかでも楽しく出来てるんじゃないかしら。
 
 中学年くらいの読むものなくて困ってる子に勧めたいな。スラップスティックな要素がうまく落語の世界に溶け込んでいて、安心して読める。
 
 これ、キツネのおツネちゃんの鳴き声がかわいいの。「けひょー」って鳴くんですよ。「けひょー」。
 
 そんな鳴き声の生き物聞いたことないよ! キツネの鳴き声って直に聞いたことないけと、実際「けひょー」なんですかね。
 
 読書会では、お子さんに読み聞かせた方の「意外に読み聞かせづらい」という話と、「おツネちゃんはただ面白いからやってるだけで、正義感や義侠心はない。破壊者役の殿様と通じるところがある」という指摘が印象的だったかな。
 
  あとは、北野勇作の指摘。
f:id:hontuma4262:20160307205229j:image

 装画の伊野孝行さんのブログも面白かったです。

「鈴狐騒動変化城」① | 伊野孝行のブログ | 伊野孝行のイラスト芸術

「鈴狐騒動変化城」② | 伊野孝行のブログ | 伊野孝行のイラスト芸術

鈴狐騒動変化城 (福音館創作童話シリーズ)

鈴狐騒動変化城 (福音館創作童話シリーズ)

 
やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)

やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)

 
猿駅/初恋 (想像力の文学)

猿駅/初恋 (想像力の文学)