ホンのつまみぐい

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三浦海里卒業発表後の「歌だ! 踊りだ! 捜査だ! 渡り鳥コップシーズン1 第3話」6月12日ネタバレあり

 コンテクスト厨なので三浦海里の卒業発表を聞いてチケット取ったぞ。

 ZEN THE HOLLYWOODの「歌だ! 踊りだ! 捜査だ! 渡り鳥コップシーズン1 第3話 4話もチラりのもやもや公演 赤の日」。

 「渡り鳥コップ」というのは、もともとアニメ「少年ハリウッド」内に登場する刑事ドラマですが、この公演はアニメ内のドラマとは関係なく、ぜんハリの公演用に書き下ろされた密室劇です。

 登場人物は警察署内の部屋で特訓を続ける「警視庁探偵課」の7人の刑事たち。新しく出来たというその部署に集められた刑事たちは、警察庁長官の落ちこぼれ息子(ボンボン刑事)に、元暴走族の単細胞(族刑事)、常に計算をしている銭刑事などなど、一癖ある連中ばかり。

 15日間の研修と称した共同生活が終わったのに、なかなか刑事としての仕事が始まらないことに退屈している7人。そんなある日、突然部屋に鍵がかけられ、電話も通じなくなってしまう。生命の危険はないが、ここから出る方法もないと聞き、密室の中、立場の違う7人がそれぞれのことを語り出す……。

 スタンダードなストリートプレイではなく、即興コントと歌謡の混じったショーという感じ。お芝居中にも歌唱パートが4曲分用意されています。芝居の終演後はミニライブがあり、ライブと転換を合わせた全体の公演時間は2時間15分くらい。

 芝居の中にいくつか日替わりのアドリブパートが用意されていたり、メンバーカラーに合わせた各日ごとの見せ場もあったり、毎日観る人にも見所があるように作られています。実際に観たことはないけれど、芝居の作りはいわゆる「大衆演劇」に近いのではと思う。

 ↓ここからネタバレ

 雑用を押し付けられ、警察署内をウロウロしていた白目刑事が語るには、世間ではボンボン刑事が誘拐されたことになっており、部屋に残る6人は誘拐犯扱いされているらしい。幽閉された部屋で、ボンボン刑事が自分の父との確執について告白し、「出来の悪い息子を誘拐されたことにして、社会的に抹殺したいという父の企みではないか」と話す。

 二度と外には出られないのかと考えた途端に、さまざまな考えがよぎる刑事たち。自分たちをお払い箱の寄せ集めと言う銭刑事。この場所を幸せと思うようにしようと考えていると語るフリル刑事。それぞれが葛藤を抱えつつ、一晩を過ごす。

 翌日、白目刑事が外に出る方法を思い出したという。それは「ボンボンの父の反対勢力に加担することで外に出ることが出来る」という交換条件付きの提案だ。皆が外に出ようとする中で、族刑事だけは真実を追求するために中に残るという。

 それを聞いたほかの刑事たちも次々と中に残ることを選び、ボンボン刑事だけが、密室から脱出する。「外に出て、偉くなってお前が電話を鳴らすんだ」という言葉を託されて。外にはテレビクルーが控えており、ボンボン刑事は密室に閉じ込められていたことは隠しつつ、バカな返答をしながら去ってゆく。その様子を密室のテレビで見送り、今後について会議する残された刑事たちだった。

 以上が大筋です。(1回しか見てないから勘違いがあったらすみません)

 歌唱パートは4曲。子守唄を歌うように促された族刑事の「籠の中のI love you」。夜中に起き出してストレス解消のために歌い出す白目刑事によるソロライブからの全員ライブ(楽曲は日替わり)。今を愛そうと説くフリル刑事による「アールグレイの季節」。そして、解放されたボンボン刑事による「ENDLESSSTRIPE」。

 一週間の公演の2日目に、ボンボン刑事を演じる三浦海里の卒業発表がなされたことで、ボンボン刑事だけが外に出て、6人が密室の中に残されるという状況に奇妙な意味が生じてしまいました。送り出される1人の刑事と、残される6人の刑事。そこにどうしても現実の彼らの状況を重ね合わせてしまいます。

 「白目刑事のオーダーによって作られた」と作中で語られる彼らの衣裳は囚人服を模したボーダー柄です。もしアニメ「少年ハリウッド」を観ている人なら、プロデューサーであり社長である桜木広司の「アイドルは生け贄」という言葉を思い出すかもしれません。

 また、ぜんハリはもともと「舞台公演を含めたメディアミックス展開のために集められたメンバーが、そのまま本格的にアイドルグループとして活動することになった」という奇妙な経緯を持つグループ。本業俳優のメンバーが多いことを考えると、彼らの現状をシニカルに表したメタ脚本のようにも見えてしまいます。(詳細は公開されていないけど、舞台は権利で揉めて頓挫したのだろうと思われます)

 「メンバーにとってアイドルっていう立場は牢獄なのかな?」と思わされるこの構造とグループの現状。そういったオタクの不安を察知したのか、深澤大河は三浦の卒業発表の次の日に「卒業しません!ずっと続けていきます」と宣言したそうです。彼の心遣いの細やかさは本当にすばらしいですね。

 コンテクストが二重三重に積み重なり、楽曲やイベントが特別なものになっていく過程は、まさにアイドルの醍醐味。悪趣味なのだけど、だからこそ楽しい!

 その辺りを踏まえた上で、この日一番ぐっときたのは三浦のアドリブと、その後に続くMCでした。

 一公演しか見ていないのだけど、ほかの方のレポートから推察するに、「ENDLESSSTRIPE」の後には、その日の担当刑事にリスペクトを示すアドリブが入ります。

 この日は赤の日、阿部悠真の日でした。阿部が演じるのは奇矯な叫び声をあげる跳ね回るクセのあるゾヒスト刑事。ボンボン刑事は「オンとオフって大事ですよね」と言った後に、ゾヒストを真似て大声で飛び跳ねるボンボン刑事。それに合わせて叫び出すゾヒスト刑事。一瞬舞台の上に頭のおかしいふたりの若者が登場。ボンボン刑事がすっと衿を正し、舞台からはけていきました。

 芝居終演後のMC。ここで三浦は阿部に「今日は俺がやっちゃったから明日からゆーま大変だね。(おれのほうがうまくやったから)」。「え?」という阿部。「ここ芸能界だから!しょうがないから!(奪い合っていくものだから)」という、エールのような言葉を送る三浦。

 照れたような、あせったような顔で舞台袖にはけていく様子は、ひとつ年下で、弟のような存在の阿部に対する彼なりの愛情表現なのでしょう。ちょっと切ないようなあったかいような瞬間でした。



 さて、↓から小姑モードです。

 台本と演出どうにかしないと単独の作品としてはちょっと厳しいですね!

 ぶっ飛んだ設定と展開はまあいいとして、この話は極限状態で7人がそれぞれをさらけ出しながら、どうやって関係性を変化させていくか。その過程が大事だと思うのですが、正直あまりそのへんが台本レベルでよく出来ていませんでした。

 たとえば、「ここに残る」と言う族刑事に対し、最初に「自分も残る」と表明するのが短パン刑事なのですが、その流れに説得力を持たせるのは、演者がリーダーとサブリーダーであるという事実で、物語やセリフではないんですよね……。

 私はメンバーの関係性を知っているからあまり違和感を感じずに済んでいるけど、何も知らない人が観たら唐突に思うであろう場面がとても多かったです。

 さらに気になったのが、途中で急に入る「テーマっぽい意味ありげなセリフ」が浮いてたこと。短パン刑事の「俺たちは、まだ見たことのない明日に生かされていたのかな」とか、フリル刑事の「いつも幸せを探していたの」とか。

 「そういうアニメとかに出てくるお芝居くさいセリフを否定してたじゃん橋口いくよ!」って突っ込みました。もっと自然に入れてくれよ〜〜。

 そもそも物語の主軸がボンボン刑事なのだから、いさぎよく彼の物語として描いた方がよかったのではとか、銭刑事とゾヒスト刑事いなくても話回るぞとかいろいろね!

 あと、この芝居たぶん演出入れないで、メンバーだけで作ってますよね?

 だから、外で芝居をやったことのあるメンバーとそうでないメンバーの差が激しくてちょっと気の毒でした。

 具体的に言うと、井上くんと阿部くんが、自分のセリフを言うのに精一杯で相手のセリフを受ける芝居があんまり出来てなくて、そのせいかどうか知りませんが、セリフ少ないから「ウッ、芸能界きびしい……」とか思いつつ、ちょっと笑ってしまいました。

 別にセリフの分量自体は少なくても、そういう役柄ならいいんだけど、この2人物語上の役割もあいまいだし、もし続きがあるとしたらいろんな意味で何とかしてあげてほしいです。

 あと、自分に寄せて演じる笠井くんと、がっちり役を作り込む深澤くんという全然違う演技メソッドの人が舞台にいるのが絶妙に変でした。笠井くんなんか合同フェスのMCの方が役作って演技してると思ったくらいいつもの感じでしたが、そこが彼の達者さなのでしょう。横山くんがその中間くらい?

 「いいのかコレ」と思ったけど、実際はこの3人が会話してる場面が一番安定していて、舞台全体のリズムや雰囲気をコントロールしている。でも、そこは第3者がコントロールしてあげる方が舞台全体が引き締まるよね、絶対。

 このへん、またいつか芝居があるのなら何とかしてほしいですね……(むりか)。

 ただ、私はしょせんアイドルオタクなので楽しくなかったかというとそんなことなかったです。

 なぜか笠井くんが女性役をやることになったくだらない即興コントとか、普段は3人でやる赤い箱のクラッカーでの4人バックダンサーとか、皇坂くんソロの「アールグレイの季節」ではメンバーが舞台から降りてアメをくばってくれるんですが、その時の深澤くんの笑顔とか、客席後ろからさっそうと出てくる三浦くんの華やかさとかいろいろ楽しくないわけ無いんですよ、オタクだからな。

 ダンスの時に阿部くんの生き生きした表情とか、演技してる時の横山くんの開放されたような明るさとか。メンバーのいろいろな表情が観られるしね。

 新曲「バージン・マジック」は皇坂くんが大変華やかでした。わりと穏やかに笑っている役どころを振られるけど、キリッとした表情が本当に美しかった……。あれは推しの人泣くだろうなー。あと、「ロンリーPASSION」のイントロが流れた瞬間「オオオオオ」みたいになった会場の空気がおもしろかったです。

 衣裳を着替えてる間に流してくれた渡り鳥コップ4話のデタラメ予告もくだらなくてよかったですね。(内容は刑事たちがキャバクラをはじめることになったという謎設定で、店長が笠井、嬢が深澤・皇坂、客が井上という謎の場面が入る)

 また、芝居の後にメンバーがくだらないMC言いながらひとりずつはけていくのですが、これもちょっと独特だと思いました。単にその日の担当メンバーを最後に残してから、着替えのために去っていくという演出なのですが、アイドル現場だとあまり観ないなと。

 あと、芝居中に笠井・横山が舌打ちしながら近づく場面があるのだけど、そのまま流れで投げキッスすることになるというめっちゃくだらない場面に軽率に沸きました。

 かさいよこやまの「男子校ノリっぽいんだけど、同じ教室だったらコミュニケーション取ってないだろうなーー」って感じめっちゃ好きなんですよ。きっと毎日エゴサしてるんだろうなっていう横山と、フォロバ返してるのにオタクのツイートとか見てなさそうな笠井。こういうふたりが仲良くしてるところこそがアイドルの尊さ……!!

 というわけで、いろいろ書いたけど、今後も期待しております。

2015年6月8日(月) 〜 6月12日(金)、6月14日(日) 1週間公演
ZEN THE HOLLYWOOD「歌だ! 踊りだ! 捜査だ! 渡り鳥コップシーズン1 第3話 4話もチラりのもやもや公演」

cast
族刑事:笠井薫明
短パン刑事:深澤大河
白目刑事:横山善
ゾヒスト刑事:阿部悠真
フリル刑事:皇坂明希
ボンボン刑事:三浦海里
銭刑事:井上雄貴

6月12日
セットリスト
■劇中歌
籠の中のI love you(笠井ソロ)
赤い箱のクラッカー
アールグレイの季節
ENDLESS STRIPE
■ライブパート
バージンマジック
エアボーイズ
永遠never ever
ロンリーPASSION

(そういえば、アイドル×囚人モチーフには先輩がいましたね。)

IDOL is DEAD

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