ホンのつまみぐい

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最近読んだマンガ「さよならソルシエ」(穂積)「&」(おかざき真里)「ライアー×ライアー」(金田一蓮十郎)

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

さよならソルシエ 2 (フラワーコミックスアルファ)

 ゴッホの弟テオを、兄の才能に憧れ、それを世に出そうと奔走する青年として描く本作。彼の作品を世に出すことで権威主義的な画壇の世界を破壊しようとするテオの造形など、アイデアは面白いのですが、長い。

萩尾望都なら24pで描いただろうに」と思うのは、最近、早くにヒット作を作り出したことで、構成や演出に長じることなく中堅作家として生きながらえてしまう人のことが気になってしまうからでしょうか。石川雅之とか沙村広明とか。60pくらいにまとめられていたら傑作だと思えたかも。あと、ゴッホを本当にただの人の良い青年にしたのはもったいないように思いました。人の良い青年の中にだっていろいろな物語や感情が眠っていていいはずだものね。

& 8 (Feelコミックス)

& 8 (Feelコミックス)

 友人に借りて読んでいたので前の話を忘れている状態で最終巻。おかざき真里は、私自身が高校生だった頃に読んだ高校生の物語「シャッター・ラブ」がいちばん思い出深いのだけど、その頃からぶれないで同じことを書き続けているように思いました。「シャッター・ラブ」のラストの言葉を借りるなら「女の子は先に行くのだ」というテーゼ。

 なんていえばいいのだろう。作品にそういう言葉が出てくるわけでは出ないのだけど「泣きながらでも背筋を伸ばしてすっと歩いて行くことでつかめる強さ」みたいのですね。男は猫背なんだけど。そういうある種の強さと、幻想的な風景のマッチングが独特の風景を作っているなと思いました。

ライアー×ライアー (1)(デザートKC)

ライアー×ライアー (1)(デザートKC)

 ニコイチに引き続き、イレギュラーな恋愛もの。主人公の湊はお堅い女子大生。ギャル女子高生の格好をして町に出たら、女癖の悪い義理の弟・透に惚れられてしまう。弟の荒れた生活を心配しつつ、うまく透とコミュニケーションがとれていなかった湊は、「自分に恋をすることで透が女遊びをやめるなら」と思い、女子高生に扮したまま透とつきあい始めるが……。

「湊がイケメンたちに嘘をつき続けることで話が転がっていく」という構成なので、本来もっとイラッとしていいはずの物語なのですが、そうさせない絶妙のバランスが金田一蓮十郎。しかし、王道少女マンガ読むの久々だから、ハーレム物だと気が付くのに時間がかかった。そうか、少女マンガってなんてことない普通の女の子が、いろんな男の子にもてるというのがいいんだな……。