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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

アイドルの青春は、本当はアイドルだけのものなのです

 BELLRING少女ハート(ベルハー)から、じゅり(仲野珠梨)ちゃんとゆぅゆ(美月友華)ちゃんが卒業。

 それぞれの理由が運営の田中紘治さんと本人から語られていて、いろんなことを考えてしまいました。

 ベルハーを始めて生でみたのは、開港記念会館で行われた「ヨコハマ音ウェーブ2013」でした。

 “アラメア音頭から赤い靴! ポップス、ジャズ、クラシック、ロック、民謡、演歌まで、レアな音楽を多くのアーティスト達が持ち寄り、異ジャンルの共通点を探り、すべての人がその楽しさを共有。”

 というふれこみでしたが、要は全国のいろんな人をタダで無理矢理ひっぱってきて、集まったお金は寄付という雑なイベントでした。イベントのメインは「おばあちゃんVSベルハー」でした。横浜で活動するおばあちゃんコーラスとベルハーって異色というより適当。

 チケット一般1200円という格安イベントでしたが、私が到着した時はお客が13人くらいしかいなくて、しかもどう見ても出演者の身内。そして舞台は開港記念会館。大正6年に建設されたという立派な洋館です。そんな大仰な舞台に、そこそこがんばってるくらいのロックの人や、なんかちょっとテクノっぽい人とかが演奏するわけです。お客さんのほとんどは、観たって「がんばってるわねえ」としか思ってないわけです。加えて、司会の人がテレビのお笑い芸人の真似っぽいいじりをするせいで、しらけるというおまけまで。

 居心地悪そうな演者の顔を見ながら、やっぱり集客努力をしない運営はクソだなとイライラしながら見ていると、ベルハー目当てのオタクが少しずつ集まってきました。

 知り合い以外のライブはほとんど聴いていないであろう身内の方々に対し、オタクは貪欲でした。要所要所でケチャやコールを入れるし、なんだかんだ曲はちゃんと聴いているし。この日集まったオタクは10人ちょっとくらいだったと思いますが、「なんて頼もしい人たちなんだ」と感心してしまいました。

 主婦向け応援ソングを歌う女性シンガーソングライターや、ダンス付きのワールドミュージックなどを観て、さて、ベルハーの出番が来ました。とたんに、今まで一番後方の席に座って、ほとんどライブを観ていなかったひとりのオタクが大声でミックスを叫んで、会場中のオタク以外の人の目線を釘付けにしました。

 タイガーファイヤ系じゃなくて、「なんとかかんとか!みずほーーー!!!!」だったと思う。(たぶん、ベルハーで一番有名な某オタさんだったんじゃないかな)

 アイドル現場にいると慣れてしまいがちなコールですが、すっからかんに近いちょっと教会っぽい会場で叫ばれると、声そのものがモーゼの海割りのような強烈なインパクトで、開港記念会館は突如巨大な目覚ましを耳元に近づけられたような空気になり、メンバーもオタクもそのままパフォーマンスになだれ込みます。

 最後の曲でオタほぼ全員が立ち上がり、舞台につかみかからんばかりにケチャを送る様を観て、なんだか感動していまいました。その昔、「日常に演劇を放り込んで、街を非日常にする」っていうやつを寺山修司が試みていてました。初めてそれを聞いた時、なんてかっこいいんだろうと思ったのですが、実際にそういう試みを実行しても、「オバケ屋敷の会場が外になっただけ」のしらけたものになりがちです。観客がどこまでも受け身だからです。

 だけど、ベルハーのライブはオタクがちゃんと非日常のための演出に徹していて、しかも心から楽しんでいる。BiSのライブの時にも感じた高揚をベルハーでも感じることが出来、アイドル現場というものに感動を覚えて、帰路につきました。

 それからしばらくはBiSのおっかけに忙しく、「ベルハーは対バンの時に見る」くらいの距離で接しており、BiS解散後はアイドル現場の数を減らしていったため、生で観る機会が減っていました。

 最後に観たのは11月2日の「YEBISU MUSIC WEEKEND」。久々のベルハーはかつて受けた見世物小屋という印象を塗り替える、ミュージカルのような強固な世界を作りあげていました。曲の途中で短剣を振り回し、キャベツやパンを投げて剣先に突き刺したり、柵の上に立ってオタクに水を拭きかけたり。大きな舞台を奔放に使いこなす様子はとても開放的で、それに釣られてまるで川のようにうねるオタクの姿も壮観でした。この日はもえち(宇佐美萌)ちゃんが休みで、その分の歌割をじゅりちゃん、ゆぅゆちゃんが引きうけていました。可憐で可愛らしいゆぅゆちゃんとばたばた動く様が魅力的なじゅりちゃん。

 「あー、きっと寺山修司が観たら喜ぶだろうな。いや、ひょっとすると、寺山の芝居よりこっちの方が面白いかもしれない」なんて思って笑いました。寺山の芝居は、役者を自分の作品世界のパーツとして使って、ただの美術の一部にしてしまうようなところがあるので、そんなのよりこっちの方がよっぽど緊張感あるし、パワフルだって。

 女の子が好き勝手やってる風なのがベルハーのよいところで、ずっとそういう自由な風でいるんだろうなと思っていました。

 でも、じゅりちゃんとゆぅゆちゃんが脱退について書いたブログには

私は学校いってたんだけど
赤点取りまくって進級、実はできなくて

強制?的に辞めさせられて(T ^ T)笑


笑笑


ニートまっしぐらわろた。


高校の友達は、形の友達だったみたいで
連絡とってるひといなくて。ひとりも。笑




だから連絡とったり遊ぶような友達も地元にはみずほ含めて
3人しかいなくて、笑

友達とえんじょい!とかも全くなくて



だからベルハー始めてからは
本当にベルハーに人生捧げてた!

じゅりブロ|リーダー2「離脱。」

ゆぅなりにいろいろ学業と仕事を
両立しようと思って
約3年間ずっとやってきたんですけど、
やっぱり体力的にもキツイし、
勉強もやる時間がなくきつくなって
きちゃって。




毎日遅く帰ってきて、
朝6時には起きてっていう生活を
繰り返していたら、
体力が追い付かなくなってきちゃったんです。

体調を崩して、学校を休んじゃうっていう生活がずっと続いてました。

ゆぅゆのブログ|卒業発表

 とあって、「あっ、そんな気楽なものじゃなくて、私たちが浴びていた“自由”は女の子たちの覚悟の上に成り立ってたものなんだ」と気づかされてハッとしました。今さらなんだけどね。

 アイドルやったあの子と、やらなかったあの子。どっちが幸せなんだろうなんて、ぼんやり考えてしまいます。ちょっと状況が違うけれど、LinQの伊藤麻希ちゃんも高校を中退しているし、プー・ルイも特に公言してないけど大学に行ってないようだし。

 アイドルについて、よく「少女の青春の輝きを消費する」って表現が使われるんですけど、私はこれがあまり好きではありませんでした。最初に好きになったアイドルが、20代半ばのメンバー中心のでんぱ組.incだったということもありますが、何よりそんな残酷なことを慣用句のように使いたくなかった。

 でも、私が使うのを拒んでいたとしても、「事実としてアイドルを応援するというのはそういうことなのだ」というのを突きつけられたように思いました。だからこそ、オタクはその時々で全力でアイドルを応援するのだな。

 じゅりちゃんとゆぅゆちゃんと、そしてすべてのアイドルたちにとって、アイドルであった時間が大切な青春でありますように。そして、これからの人生の糧になるものでありますように。

BedHead

BedHead

UNDO THE UNION

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