ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

ブスがブスにブスって言うな

 アイドル現場は感情が滝どころか台風のようにうずまいている場所なので、楽しさもしんどさもハリケーンクラスです。いい時は天上で暴れてるみたいな楽しさだけど、悪い時は気持ちがなぎ倒される。

 そんなアイドル現場の、しんどいことについての記憶を書き残しておきます。

 私が見ていてしんどいのが、「ブスな女の子ほどブスなアイドルにブスっていう」っていうやつです。男のオタクがアイドルを陰で「ブス」って言ってるのを見てしまった時とは、また別のダメージがありますね、あれ。

 だって、容姿にコンプレックス持ってそうな、つまり、他人に「ブス」って言われて傷ついてそうな女の子が言うわけですよ。君さ、それ言われて理不尽さに泣いてきたでしょ?

 楽器をちょっと習っていた人ほど、絵を描いていた人ほど、スポーツをやっていた人ほど、自分がそうなれなかったひがみも含めてプロに厳しい。よくあることです。同人誌作ってるような連中ほど、作家を流暢に罵倒していたりするもんです。あと、週刊ベースボールの投稿欄とかもけっこうひどいし。でも、絵や文章、楽器、スポーツは毎日ふれるものではないし、日常生活の中で人前で披露する機会もない。

 だけど、顔は毎日人前に差し出すものだし、ほとんど生まれつきで決まってしまいます。

 だから、女に生まれたというだけで容姿を比べられてしまう苦労が、さっき挙げたもろもろの才能に対する葛藤や嫉妬心とケタが違うってのはわかります。

 でも、だからって「ブスがブスにブスって言うな」。

 だって、つまんないじゃないですか。人のことをブスって呼ぶようなクズの、無邪気な悪意に沿ったブスになっちゃうの。クズの言うとおりの輪郭になってどうすんだ、お前っていう。きれいごとっすよ。だけど、たまにはきれいごと言わなくてどうすんの。

 ほんとにもう、「ブスって言ってるお前がブス」。あるいは「弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく」ですよ。

 人の集まるところには必ずミニマムな地獄が出現するものですが、「ブスがブスにブスっていう」風景も私にとっては地獄です。