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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

茶番だけど本気 BiSフリーライブ&演説 「最後のお願い」とラストリリースイベント「BiSはここにいるよ」開催!“愛しの愛DOLL BiS”フリーミニライブ+購入者特典会(2014年7月2日)

アイドル 音楽

日曜にアイドルに興味のない友人と映画を観て、上映後に延々とアイドルの話をしました。

 彼女には、2013年9月21日のBiS24時間連続インストアイベントに同行してもらったこともあり、その際は必死でBiSについて語る私に「いや、でも今までの話って全部コップの中の嵐って感じだし、そもそも売れたい人たちのやることとは思えない」と返してくれた信頼出来る友人です。

 彼女に性懲りも無くアイドルの話をしているうちに、研究員が開催している阿佐ヶ谷ロフトでのトークイベント*1についての話になりました。

 ライブ後の呑み会のノリでオタクがBiSについて話すこのイベントには、個人的に印象的な場面がいくつかあります。

 そのひとつが、ちょうど赤坂ブリッツでのライブが終わった後のイベントで、テラシマユフちゃん(現:寺嶋由芙)が今後どうなるのか、BiSがどうなるのかについて語っている場面。ユフちゃん推しの研究員を、司会で音楽評論家の宗像さんがステージに呼ぶ場面があるのですが、その時に「おーい、ガチ恋の人たちー」という表現を使うのです。

 「その人たちって、ライバルじゃないの?」という友人。

 「うーん、ライバルと言えばライバルだし、実際にアイドルと恋愛しちゃうオタクも、たまにいるけど……。それはおいて。ある程度の集客のアイドルは、コミュニティ作って応援するっていうのがふつうみたいよ。ガチ恋という言葉も、当事者の感情としては本気なんだけど、にも拘わらずシニカルな目で見てるからそういう表現になるわけで。アイドルとオタクの関係はごっこあそびみたいなもんなんだよ

 そんな話を進めるうちにテンションが上がってしまい、なぜか「ごっこ遊びなんだけど真剣、茶番なんだけど本気なんだよ!」と大声で叫んでいました。

 特に、BiSは週3とか5とかでライブやら特典会やらに行って、金払って握手したりチェキ撮って、熱狂的な応援をするにも関わらず、かなりシニカルな目線で見てる人が多くて、そこがすごく好き。そういう話をしました。

 それから3日後、BiSは街宣車で街中を周航し、終点の新宿アルタ前・ステーションスクエアでフリーライブをするというイベントを行いました。

 渋谷から出発し、新横浜、九段下、渋谷、新宿の順で周航し、演説するというスケジュールだったのですが、出発直後にぶつかり事故でサイドミラーが破損するというトラブルに見舞われ、新横浜での演説を諦めることに。研究員がサイドミラーの破片を拾って、事故車の前で満面の笑みで記念写真を撮っている様子がツイッターのTLに流れてきました。

 一部の人に「BiSのことだからこれも仕込みだろ?」と笑われているのを確認しながら、仕事を整理して渋谷へ向かいました。

 渋谷でしばらく待っていると、ハチ公前に研究員が集まってきました。顔見知りの研究員にあいさつしながら、メンバーを待ちます。ブブゼラを構えたり、メンバーが着ているはっぴを即席で真似たものを着たりしていて、文化祭感が漂ってます。

 ツイートをチェックしながらメンバーを待っていると、通りの方から街宣車がやってきました。「BiSでございます!」「チケットが1万枚余っております!」というメンバーの声が聞こえます。研究員はみんな追いかけて手を振ったり写真を撮ったり。あっという間に通過していく街宣車の背を見ながら皆でツイートをチェックして、再度車が回ってくることを確認します。

 しばらく待っていると、また109を横切って、スクランブル交差点から街宣車が降りてきます。街宣車が信号前で止まったところで、一部の研究員が街宣車をいっせいに追いかけて行きました。スクランブル交差点の向こう側にはちょうど、大きな板野友美のラッピングバスが走ってきて、小さなBiSの街宣車と印象的なコントラストを作っていました。

 信号が動き、車が去っていくのを見送り、改めてメンバーが新宿に行くのを確認してから、ステーションスクエアへ。すでにそれなりに人が集まっていて、いろんな人が歩き回っていました。

 メンバーが登場し、会場が沸きます。前回は解散発表の後、nerveからレリビを披露。会場が暖まらない中で、なんとなく打ち切りという茶番めいた終わり方だったため、今日がどういう演出になるか気になっていました。

 しかし、今回はメンバーがひとりひとり、解散ライブに向けて新宿の人々、そしてUSTで見ている人々に呼びかけるという構成でした。本当の選挙演説のような語り口にユーモアをまぶして語るウイぽん、ストレートなお願いの言葉の後、絶叫するサキちゃん、小さな身体で「このくだらない日常に衝撃を与えたいです」と叫ぶテンコちゃん、よろよろと、泣きながら「BiSの6人と、研究員がいたってことをいっぱいの人に見て欲しい」というコショージ、かみつくように「誰よりもBiSだった自信があります!」というのぞしゃん。

 そして、メンバーの演説を聞きながら、母親のような表情で、きりっと口を結んだ笑顔のプー・ルイ

 そのプー・ルイが話し出します。

 「私たちがデビューしたとき、本当にブスで、ダンスもできない、歌もできない、そんな状況でデビューしました。アイドルオタクの方たちからもたくさん叩かれました。それでも、世界を変えたいって思っていました。でも、それがちょっと無理そうです……。だけど、横浜アリーナ、少しでもたくさんの人が来てくれて“BiS凄かったよ”って、いっぱい言ってくれたら、BiSが終わったあとに伝説になれるかもしれないのです。なので、みなさんぜひBiSを終わらせないためにも8日遊びにきてください!」

 選挙演説ごっこ。くだらない茶番なんだけど、本気。ちょこちょこ笑えるような言葉も入れてくれて、サービス精神のあるいつものプー・ルイ。だけど、感情がぽろぽろこぼれている。ああ、私が見てきたのはたった1年だけど、BiSはいつもこういう感じだったなあと思いました。


 演説に続いて、nerveが始まって、一瞬で終わって、撤収もあっという間に終わっていきました。

 新宿タワーレコードでBiSのカウントダウン企画を見て、新宿LOFTに急ぎます。

 この日は街宣車だけでなく、「BiSはここにいるよ」開催!“愛しの愛DOLL BiS”フリーミニライブ+購入者特典会というイベントがあったのです。この日発売のベストアルバム「うりゃおい!」はダッチワイフにメンバーの顔写真と衣裳をつけたものという、「批評性は認めるけど、客にこんなもん買わせんなよふざけんな」という気持ちを巻き起こすジャケットなのですが、そのダッチワイフを出演させ、本人達は出ないというふざけたリリースイベントです。

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 もっと閑散とするかと思ったのに会場前にはすでにけっこうな人がたまっていて、金宮焼酎割を呑んだり、買ってきたダッチワイフをふくらませたりと好き勝手にはしゃいでいます。いい年した大人が、歌舞伎町とはいえライブハウス前で酒を呑みながらダッチワイフで遊んでいる姿は本当にひどい光景です。

 「ほんとひどいですよね。これ、アイドルイベントですよ」「いやあ、本当にひどいです。最高です」なんてことを横にいた研究員さんと話します。

 そして、Oさんの「結局、内輪受けなんですよ。それをどれだけ広げられるかっていう」「終わっちゃったら、みんな美化して勝手に伝説にしますからね」という言葉に深く頷きました。

 さらに「でも、BiS現場ほんとうにいい現場ですよね」という話にも、心からうなずき合いました。

 会場に入ると、すでに最前3列目くらいまではキープされていて、でも全体的にガラガラでした。姫路への遠征でお世話になった古参のMさんと、「最前とかわけがわからないよね」という話をします。ちょっと前からコショージ推しになっていたMさんは、それまでリフトで上がったりしない人だったのですが、最近どんどん上がるようになっていたので、その話をすると「もうすぐ終わっちゃうでしょ。覚えてほしくなっちゃうんだよね」とおっしゃていて、それがなんとなく印象的でした。

 しばらくするとかなり会場が埋まってきました。私は目算で人数を把握するということが出来ないのですが、昨年の10月頃に行われた写真集のリリースイベントと変わらない程度の混み具合になっています。フロアでダッチワイフと一緒に、下衆な振りコピをするぷ〜らぁのMさんの笑顔が輝いていました。

 ほどなくして、「今日はかなり宗教的なイベントになると思いますが…」というアナウンスがあり、幕が開くと本当にダッチワイフに衣裳とお面をつけたものがステージに鎮座していました。

 nerveがかかり、しょっぱなからテンション全開でリフトやダイブ、モッシュを繰り広げる研究員。
 さすがに濃い人しか集まってないイベントなので、適度にスペースがあるおかげで振りコピも完璧だし、リフトで上がる人はおまいつさんばっかりだし、パワーががっつり一極集中している感じがありました。ライブ中は研究員が持ち込んだダッチワイフがオタクの上を飛び交い、ばかばかしさ満点です

 ふと見るとライブの最中に、床をガンガン殴っている人がいて、誰かと思ったらウイぽん推しのMさんでした。

 普段温厚なMさんが、来場前の金宮の呑みすぎでぐでんぐでんになって、泣いている。

 来場前にライブハウスの前で呑んだ焼酎のせいで、いい大人が号泣している姿は言い様によってはとてもみっともないんですけど、それをライブ後にまわりの研究員が一生懸命なだめている姿はとても暖かくて、私はこの場のMさんをみっともないと思わずにすむ程度には研究員と話していて、本当によかったと思いました。

 そういう感情こそきっと内輪受けなんでしょうけど、でも、この内輪が好きだなあ。集団の中に飛び込むのが苦手な性格なので、話したいと思った人ともほとんど話せなかったし、いつも話を聞いているだけだったけど、それでもすごく好きだったなあ。

 ライブが終わって、ダッチワイフとの特典会が始まりました。みんなが半笑いで握手をしていく姿もそれなりにヤバイ光景だったのですが、本当に頭がおかしかったのはチェキ会でした。

 そもそもダッチワイフとチェキを撮るという日本語がおかしいのですが、みんなただ撮るだけでなく、個々人でオリジナリティを発揮させようとがんばるので、結果として文字に残すことすらためらわれるほどゲスいチェキが次々と量産されていきます。ほとんど公共良俗に反するレベル。

 自分が応援しているグループのダッチワイフとレイプチェキ……いや、和姦なのか?とにかく2ショットチェキを嬉々として撮っていく人たちは、ほかにはおらんだろうなー。これ、ふだんのこの人たちがどれだけBiSを大事に応援していた*2か知ってるから笑えるけど、第3者だったらドン引きだろうなー。*3

 いやあ、本当に、ほんっとうに、頭がおかしい! 最低だけど、最高だ!

 最近、解散の際になって「BiSは伝説だ!ロックだ!」「コンセプチュアルアートだ!」みたいなことを言い出す人がますます増えてきて、そういう話を聞くたびに、「別に全部が嘘じゃないんだけど、なんだか見ているものと違う」という気分になっていました。たとえば、清家竜介さんの「アイドル現象の臨界点へ、BiSが横浜アリーナで最後の時を迎える」の中の一文。

武道館にたどりつけなかったことはBiSの武勲である。それはアイドル史に残る偉大な業績だ。人々を縛る常識や抑圧的なものに敢然と抗する人々が、しばしばたどる宿命のようなものである。武道館のステージに立つお行儀のよい大半のロッカー達より、BiSのステージのほうがはるかに苛烈かつ鮮烈だ。BiSと研究員の諸君、お前らロックだよ。BiSトルズだ。

 うーん、なんだろう、この「伝説」を見たがってる感じ、なあ。BiSがアイドルの枠に収まらないことをよろこぶ感じ。そもそも、常に何かのパクリをやらかすことで発展してきて、武道館という権威に追従できなかったことを嘆くBiSは、果たして本文にあるような「お高くとまった権威に唾する偶像破壊者」なんでしょうか? あと、パクリTシャツ作りすぎじゃないですか?

 アイドルとしてのBiSを最初に面白がったのは間違いなくアイドルオタクで、アイドルという文脈でなければ、BiSは見い出されなかったのではないでしょうか?

 最初に書いた阿佐ヶ谷反省会の第1回には、りなはむ在籍時、歌もダンスも壊滅的にへたくそだった頃にBiSを見出した人たちの話が聞けるのですが、そこでは「アート」とか「ロック」とかいう形容詞は飛び交わず、ただただ「ヤバイもの見つけたぞ!」というプリミティブな感動が語られています。

 アートオタクは、おしゃれなもの理屈っぽいが好きなので、そういうものを見出すことはできるんだけど、アイドルオタクと違って「面白いもの」を見出せる人はほとんどいません。そうでなければ、今の日本のアートがあんなにつまらないはずはない。ロックオタクのことはよくわからないので控えますが。

 ばかばかしくて、生命力にあふれていて、時に暴力的で。

 そんなアイドルを、面白いことが大好きで、シニカルで、頭のおかしいオタクたちが応援してきて作った場所がBiSの現場なんじゃないだろうか。

 だからこそ、しんどいことやひどいこと、時を止めて巻き戻したくなるようなことがいっぱいあったのに、面白かったんじゃないか?

(もちろん、たくさんの巻き戻せない事柄に関しては、いまだに成仏していない、たくさんの感情がうずまいているのだろうけど)

 もちろん、松隈ケンタさんの曲と、メンバーやマネージャーの渡辺淳之介さんが作った詞なんかがあって、それが本当にすばらしいということと、今までも今も、魅力的な女の子たちがBiSのメンバーとして私たちの前で歌ったり踊ったりしてくれたからというのが大前提なのですが。

 だから、ダッチワイフに熱狂する研究員に対して、よくわからない解釈とかはいらなくて、ただ、ばかばかしいことが大好きな人たちが、BiSというグループをとても愛していたという事実だけあれば、「伝説」とかはそういうのが好きな人に任せればいいんじゃないか。

 BiSと研究員。レジェンドなんて言葉は似合わないほど滑稽だったと思うけど、真剣で本気だった。そんなことを思わせる、最高にくだらないイベントでした。


【余談】

私「いや、でもBiSは大好き!って思わせといて、次の瞬間に、こんなグループなんで好きになったんだ〜〜って思わせるようなグループだよ、ほんと……。ブログのログ見てても、記事ごとに感情が分裂してるもん」

友人「いや、でもその引き裂かれてる感がいいんだろ……?」

私「そうだね……。そういうの、生きている感じがするからね」

友人「日常の人間関係とか生活とかに、その感じを見出そうよ……」

私「……そうだね……」

*1:こちらhttp://www.ustream.tv/channel/loftachでUSTアーカイブが参照可能

*2:大事という表現はでんぱ組.inc古川未鈴ちゃんの言葉です。BAFOUT!226号参照

*3:もちろん、ドン引きしている人はいましたし、それも正しい反応だと思います。