ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

渋谷WWWにて「BiS階段 LAST GIG」(2014年5月6日)

 最後のBiS階段
 BiSから生まれたプロジェクトの中で、もっともスリリングだったこのユニットも最後です。

 BiS階段はこれまで「BiS」→「非常階段」→「BiS階段」という構成になっていたのですが、この日はBiS階段オンリーでの構成。

 プー・ルイはタヌキ、ウイぽん(ファーストサマーウイカ)は骸骨モチーフのインパクトのあるメイクで登場しての第1曲目はnerve。舞台の上には四角い顔のメガネのおじさんが現れて、スケッチブックに書かれた1という字を広げます。

 1曲、いつも通りに踊り終わるとおじさんのスケッチブックには2という文字が。「あ、これはnerve連発か」と気づきました。

 BiSがnerveを連発するのは初めてのことではなく、2012年7月13日オンエアのつんつべフェスで3回、12年7月29日の「Be my BiS」では4回、2013年「SHELTER7days最終日」では7回連続nerveが行われています。どれも私は体験できていないのですが、フロアのオタクの理性がすっとんで次々半裸になっていったという7回nerveは、あこがれの現場のひとつでした。

 ということは、これは7nerve超えるのかな?……と思っていたら案の定、次々とnerveが演奏され、おじさんのスケッチブックがめくられていきます。メンバーはnerveの連発にいらだった風を見せ、おじさんからスケッチブックを奪い取ろうとしたり、服を破こうとしたりします。

 そのうちにメンバーのパフォーマンスが次々と崩れてきます。コショージはステージから盛大にダイブ!
 サキちゃんはステージから人の上をつたって階段状になった会場の一番上まで駆け上がり、プー・ルイはステージから下りてスタンガンでオタクを打っていきます。後で聞いた話によると、しがらみの大きい古参の方から打たれていったそうで、とてもBiSらしい話だと思いました。

 回を重ねるにつれて、メンバーのパフォーマンスもぐちゃぐちゃになっていき、みんなでステージの上でコーラを飲んだり、しっちゃかめっちゃかになっていきます。

 テンコちゃんはステージダイブの後、リフトされながら研究員の上で、慈愛のまなざしで手をかかげて神様ごっこ。まるで宗教画のようなたたずまいがとても可愛らしくて滑稽でした。最後の方になると、ラウンドおじさん、JOJO広重さん、マネージャーの田渕さん、そして、今まで絶対にダイブをしなかったらしいプー・ルイまでダイブをするというアグレッシブなnerveは、計13回で終了しました。

 暴れ回るメンバーを観ながら、しかし、どうしてもその狂騒に没頭できずに、少し引いた気持ちで観ていました。

 それが、何度かBiS階段を観ていて、その破壊的なパフォーマンスに飽きていたからなのか、単に自分のコンディションが悪かったからなのか、フロア全体の空気の問題なのか。

  とても暴力的で、馬鹿馬鹿しくて、衝動にまみれていて、とても「生きている感じ」がするのに。

 なんとなく、メンバーの生命力が表現として行き場を得る前に、花火のように爆発してそのまま終わってしまっているように感じられて、このパワーは、本当はもっときちんと狙いを定めて表現としてこちらを襲ってほしかったと思ってしまいました。

 nerveが終わり、GET YOUが始まった時は正直ほっとしました。特に、ノイズのかぶさったウサギプラネットはこの曲の持つ郷愁、ぴったり合っていて、とても優しく響きます。青いがさがさのビニールシートで覆われたステージとも不思議に似合っていました。

 しかし、それ以降のナンバーは再び歌やパフォーマンスが壊れてゆき、時にダンスもマイクも放棄して、メンバーが好き勝手に動き回っていきます。

 でんでんぱっしょんでタマネギを投げて「武道館おめでとう!」というメンバーの目の据わりように、切ない気分になりました。

 primal.では、ついにマイクを完全放棄してオタクの上に立ちながらラスサビを踊るウイぽんはとても楽しそう。でも、せっかくのノイズなので、きちんと歌いきってほしいなという気持ちの方が強く、もったいないように感じてしまいます。

 最後はノイズセッションの中、メンバーがコショージの衣裳を切り刻み、演奏が終わると体操服のコショージがたたずんでいるという終わり方を迎えました。

 体操服のコショージは知恵遅れのいじめられっ子みたいで、妙に冷えた気分にさせてくれました。よい演出です。

 なんだか開放感を感じられないまま終わってしまい、せめて、通常のナンバーが終わってからnerve13連発だったらよかったのかななんて考えました。

 たしかに、パワフルで、メンバーは楽しそうで、オタクの海の中に浮き上がる白いセーラー服衣裳はどこか神々しかった。(それにしても、BiSのパフォーマンスの中でもっとも攻撃的なはずのBiS階段の衣裳が、もっとも清楚なのは気が利いています)

 でも、それが表現として形になる前の、原型のまま終わってしまった。

「この子たちに、もっと非常階段と打ち合わせをして、表現したいものをすりあわせる時間があったなら、もっと、すごいものが出来たかもしれない」

 そういう物足りなさをぬぐいきれませんでした。

 そんな不完全燃焼な終わり方でしたが、それでもBiS階段の最後を観ることができたことには感謝しています。

 BiSのリーダーという重圧から解放され、のびのびとライブをしているプー・ルイの表情からは、本当に非常階段の皆様がBiSを大事にしているのがわかりました。

 思えば、それまでおとなしかったサキちゃんが、自分を解放できるようになったのも、まだまだ技術的に追いつけていないコショージが、それでも堂々と楽しそうに歌い上げるようになったのも、それぞれBiS階段の存在がとても大きいんじゃないか。

 サキちゃんは実際に、終了後のブログでこう書いています。

BiS階段は自分にとって、
リミッターを最大限まで外せる場所で、
正直始めはどう表現したらいいかわからなかったり、BiS階段で思い切りできない自分がどこかにいて、すごく情けなかったのですが、

気づいたらブチッてゆー音と共に何もかもが外れていました。

こんなふうに私もなるのだなと発見するきっかけの場所だったのだと思います。


音楽性の事を語れるほど、私には知識もないので簡単な言葉で申し訳ないのですが、
とっても爽快で楽しい時間でした!!!

非常階段の皆さん、
本当にありがとうございました!!!

BiS階段LAST GIG

 そして、初めて見たBiS階段はウイぽんがその場を支配していたけれど、この日はそれぞれが全力で遊んでいて、それはこの1年でグループが身につけてきた力を象徴しているように思いました。のぞしゃんだけは、むしろこの日は攻撃的にならず、マイペースに美川さんと一緒にノイズを操っていましたが、それも、彼女らしい。

 たとえ、私にとって不完全燃焼でも、BiS階段が、BiSに何ももたらさなかったことなんて一度もない。

 立ち会えたことと、非常階段の皆さんの愛情に感謝しながら、気持ちの整理をつけました。

01. nerve×13
02. GET YOU
03. ODD FUTURE
04. ウサギプラネット
05. 好き好き大好き
06. DiE
07. でんでんぱっしょん
08. CHELSEA
09. IDOL
10. ERROR
11. STUPiG
12. primal.
13. ノイズセッション