いやあ、素晴らしかった。
『プリティーリズム・オーロラドリーム』50話。
アニメの魔法の固まりだった。
「アニメなら登場人物みんなが空を飛んだっていいんだぜ!」って超かっこいい。
そもそも、アーケードゲームの販促低予算アニメだったこの作品がこんな進化を遂げるとは誰が予想しただろうか?
そう、プリティーリズムは明らかな販促アニメであり、もともとは登場するアイテム、プリズムストーンを買わせるためのアニメだ。
もとは『ラブandベリー』のヒットから生まれた着せ替え型アーケードゲーム。筐体に100円入れるとプリズムストーンというハート形のアイテムが出てきて、それに服やアクセサリーの情報が入っている。
プリズムストーンを筐体に挿入してコーディネートすると、さらに画面上でダンスが始まる。リズムにあわせてボタンを押すと、その結果によって得点が表示されるというシステムだ。プレイ中にはジャンプに合わせてボタンを押すという操作もあり、これがプリズムジャンプと呼ばれている。ジャンプの動作はフィギュアスケートを模していて、両手を組んだ状態でぐるぐるっと飛び上がる様子はけっこう爽快だ。
基本システムは『ラブandベリー』と『フィギュアスケート』。ダンスシーンは『アイドルマスター』というごった煮なゲームである。
アニメではフィギュアスケートの要素が強調され、あいら、りずむ、みおんという3人の少女がプリズムショーというショーでプリズムクイーンを目指すというスポーツものになっている。
このジャンプの部分がアニメではおもいっきりはじけている。
どうはじけているかというと、ジャンプが成功してキャラクターのまわりがキラキラ光ると、それにあわせて果物があらわれてその果物を観客がおいしくいただくとか、飛び上がったとピアノの鍵盤があらわれてその上をキャラクターが走り回るとか、そういうはじけ方だ。意味がわからないだろう。とにかくきらっきらしたすごいジャンプというのを表現するために、このアニメはそういう演出を選んだ。
そして、おそらく視聴者はみな失笑と爆笑を繰り返しながらこのアニメを見ていた。低予算で、群衆シーンには人が影だけになってしまっているようなこのアニメを。
しかし、4クールを迎えてこの作品は意外な方向へ舵をとる。これまで少しずつ描かれていた親や師匠たちの因縁話を入れこむことで、大河ドラマの様相を見せ始めたのだ。
幼いりずむを置いて姿を消した母そなたが、ライバルかなめを育てて3人の前に現れる。3人のオーナーである阿世知社長と、そなたの過去の因縁。あいらの母おみと、そなた、阿世知の隠された関わり。過去の因縁に引きずられるように、対立するりずむとあいら…。昭和の因縁もののような人情と勝負の香りをかもしつつ、3人はそれぞれのプリズムショーを究め、成長しようとする。
ベタといえばベタな展開と、ギャグすれすれのプリズムジャンプの演出が加わり、まるで往年のスポ根アニメのような熱を獲得した。そして、その熱にプリズムジャンプが見事なほどはまった。
ちょっと極端な言い方だけれど、悲しいときに背景を暗く描けば悲しさはより際立つし、うれしいときに黄色やピンクにすれば幸福感が伝わる。
物語が深刻さを増して、彼女らの間に複雑な対抗意識や悲しみが芽生えていくと、彼女らが懸命に飛ぶキラキラしたジャンプそのものが、“様々な苦難を背負った上でなお笑いながら輝こうとする意思”を伝えることになるのだ!
最終回、主人公あいらが最初は憧れとして、のちには親友に、仲間に、よきライバルになるみおんと対決する。
みおんは地球を割るほどのパーフェクトなプリズムジャンプを決める。対するあいらはオーロラライジングというジャンプを決めるのだが、ここでライバル、観客席の皆が揃って宙に浮きあがる。そして皆が翼を手に入れ、「オーロラライジング!」と叫ぶのだ。
シュール!意味がわからん!やりすぎ!
だけど、みんながみんな感動の渦に包まれたことがわかる!
なにより観ていて最高に気持ちいい!正直泣いたよ!
こんなばかばかしくて強烈で、だけど、アニメでしかできない演出、心を動かさずにいられないだろ!
最高に魔法のかかったアニメ、『プリティーリズム・オーロラドリーム』は来週最終回。観ていない人のほうが圧倒的に多いであろうアニメだけど、そんなこととは関係なく心動かされる名作だった。
二期も決まっているそうだが、今回のようなアニメの魔法を描けるのだろうか?
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追記
なんかきれいに4期でやってることをまとめてくれたMADがあるから貼っておきました。だいたいこんなかんじ。