ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

ホンマタカシ ニュードキュメンタリー

ホンマタカシの仕事でいちばん有名なのって「東京の子供」なのかな。
子供を撮ってるのにぜんぜんかわいくない。大人の考える枠組みからはずれた、異質な他者として児童を撮った写真集。あれがわかりやすくかっこよくて好きだった。写真の持つ観察の力のようなものを思い知った。

ニュー・ドキュメンタリーはホンマタカシの大規模写真展。
見に行ったのは2ヶ月も前なんだけど、メモが出てきたのでブログ更新のために。

少女、いや児童と言ったほうが正しいような幼い女の子が、車の窓に手をかけてこちらをのぞき込んでいる。「Tokyo and My Daughter」の最初の一枚として展示されていたのは、そんなありきたりで可愛らしい光景だ。
 シリーズはこの写真を起点として、ビル街の風景、女の子が、幼児だった頃の写真、飛行機の窓から見た街の風景など、さまざまな光景が並べられている。ときおり、アナログ写真を引き伸ばしたのであろう荒い画質の画が入る。いかにもな家族写真。
「ああ、これはホンマタカシと愛する家族の日常なんだ」と、思う。しかし、これはホンマの娘ではないことが、入り口で手渡された小さな冊子に書かれている。
 また、「Trails」シリーズは、雪の上に赤い血のような何かが飛び散った様を写した写真を並べたものだ。その赤いものは動物の血なのか、それともただの液体なのか。見る側には証されない。
写真は記録であり、事実の一部を切り取っているという常識に対して、ストレートなしかけで挑戦を行っている。
「Trails」シリーズの面白さは、青い影を含んだ雪の白の上に、さっと飛び散ったように広がる赤が、とても官能的に映っていることだ。これは「なにかの血なのだろうか?」という疑念が、画面に危うさを添えている。死を感じさせるからこそ、雪上の赤が映える。そこに官能を感じてしまう。そのまま広告写真に使えそうな洗練された画面から、作者の悪意が伝わってきてかっこいい。

http://www.operacity.jp/ag/exh129/index.html