ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

美術・展示

「新・今日の作家展2017 キオクのかたち/キロクのかたち」@横浜市民ギャラリー

横浜市民ギャラリーのキオクのかたち/キロクのかたち、とてもよかった。 語りすぎなところも含め、美術と社会のつながりについてきちんと向き合っている。 海兵隊だった曾祖父と、彼が乗っていた船についての話を聞きに行く映像と原子力に関するインスタレー…

ラップ・ミュージアム RAP MUSEUMにて特別映画上映「サウダーヂ」を観た@市原湖畔美術館

市原湖畔美術館、あまりにも遠い。 東京駅からの高速バスを降りて、バスターミナルから事前に呼んでいたタクシーに乗り込む。山道を行く車の車窓から外を眺めると、「ぞうのくに」という看板が見えたので、思わず運転手に声をかける。 「『ぞうのくに』って…

松村早希子個展「原宿アイドル標本箱」@marienkafer 6月30日

蛍光色のジュースや鮮やかな棒付きキャンデー、二・三度着たら壊れそうなかわいい洋服、甘いクレープのにおい。原宿・竹下通りには、甘ったるくて役に立たない、おもちゃみたいなものしか置いてない。 そのあまりにも堂々とした無意味さの輝きになんだかワク…

大英自然史博物館展@国立科学博物館

入場40分待ち。人がたくさんいてゆっくり見ることは出来なかったけど、小さな子供がたくさん来ていて、そのリアクションが面白かった。 館内には大英博物館内を絶滅動物が歩き回る、リアルな映像が流されていたのだが、それを見た小さな子が「ドラえもんの世…

こうの史代「この世界の片隅に」原画展』@タワーレコード渋谷店

タワーレコードでtofubeatsのリリースイベントを見たついでに立ち寄っただけで、正直全く「見ることによる感動」は期待していなかったのだけど、思いの外心を打たれてしまった。 そして、こうの史代はマンガがうまいことに今さらしみじみ気がついた。「夕凪…

名付けようのない時間を定着させる「家族最後の日の写真」植本一子写真展@Nidi gallery

展覧会タイトルの元になっている書籍はまだ読んでいない。 石田家の日常と、病院での日々と、植本さんの日々。 食道がんで入退院を繰り返しているという今のECDは、私の父がガンで亡くなった年齢と近い。 泣くかと思ったけど、一枚で情動の引き鉄を引くよう…

クリスチャン・ボルタンスキー  アニミタス-さざめく亡霊たち@東京都庭園美術館&牛腸茂雄という写真家がいた。@FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館企画写真展

クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち 正面入り口にあるチケットの列がやけに進まないと思ったら、おそらく50代後半と思われるおっさんが受付の人に「こんなバカな制度は聞いたことがない」「根拠はあるの?」と怒鳴ってる。何かと思…

山岸凉子展 「光 -てらす-」 ―メタモルフォーゼの世界―@弥生美術館

竹宮惠子の自伝には、まだ20代の山岸凉子がスッと現れては一言かっこいいことを言い残して去っていく場面がいくつかあり、その存在感が作風にぴったりでゾクゾクしたものでした。 少年の名はジルベール 作者: 竹宮惠子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016…

悪い予感のかけらもないさ展@横浜市民ギャラリーあざみ野

そこそこいろいろな現代美術の現場を見た結果として「現代美術は美術オタクのオナニーで、社会と全然接続してないんだよ」という失望から逃れられなくなっていたけど、そういう後ろ向きな気持ちを吹き飛ばしてくれた展示。以下、作家別に感想。 関川航平 鉛…

「描く!」マンガ展 ~名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ~@川崎市市民ミュージアム

うわさのイベント、第2回訪問!なぜなら図録を買わなくてはいけないから……。 手塚治虫・石ノ森章太郎・水野英子・赤塚不二夫・藤子不二雄 石ノ森章太郎主催の東日本漫画研究会による肉筆回覧同人誌、墨汁一滴が圧巻。 東日本漫画研究会は、漫画少年読者欄で…

生きるアート 折元立身@川崎市市民ミュージアム

www.kawasaki-museum.jp 激しかった……。 アルツハイマーの母親・男代さんを撮ったシリーズ「アートママ」や、パンを被って街を歩く「パン人間」は見たことがあったのだけど、それ以外の作品はほぼ初めて観た。 中でも目を引いたのは膨大な量のドローイングだ…

超絶技巧の馬の絵観てから、生きてる馬が観られる環境最強すぎないか「馬鑑 うまかがみ」山口晃展@馬の博物館

山口晃の原画の淡い色味と配置の妙。そして突き刺してこないくらいの悪意のまぶし方。デカいことやってるのに大げさじゃないし、冷徹なほど洗練されているのにとぼけていて、いつまでも観ていられる。 私たちは描かれたものから感情の片鱗を探し、そこからす…

ウルトラ怪獣前夜の造形「YÔKAÏNOSHIMA」 シャルル・フレジェ展 銀座メゾンエルメス フォーラム

レンズで妖怪を捕えるフランス人が日本に来た。 フランス人写真家のシャルル・フレジェだ。彼は日本列島58箇所で多くの怪物や怪人を撮影し、それらのポートレートを銀座のエルメスギャラリーで展示している。 妖怪の正体は各地の祭事や神事の仮装を撮影した…

長新太の脳内地図@横須賀美術館

駅から最低でも30分近くバスに乗らなくてはいけない横須賀美術館が会場というのに、結構混んでいて、併設のレストランがずっと10〜20人待ち状態だった!今回最大の衝撃。 長新太の原画はいわさきちひろ美術館で見て以来だけど、私の状態があまりよくなく、…

蔡國強展:帰去来 現代美術のスーパースター

スーパースターという言葉が個人に使われているのを久々に聞きました。 しかも、それが「現代美術作家」についてつけられたものだという。最初に聞いたときはそのミスマッチに驚きました。それが集客のために安いコピーをつけるようなことをしない横浜美術館…

「あしたのジョー+エースをねらえ!+アタックNo.1+巨人の星=スポコン展!」

本展はトムス・エンタテインメントのアニメ制作50周年を記念し、同社制作によるスポコンの原点と称される『巨人の星』、女子バレーボールを描いた傑作『アタックNo.1』、人間ドラマとテニスを融合させた華麗なる名作『エースをねらえ!』、ボクシングの凄惨な…

「楽園のカンヴァス」

楽園のカンヴァス (新潮文庫)作者: 原田マハ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/06/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (21件) を見る 幻のコレクター、ジョセフ・バイラーはいまだ公になっていないアンリ・ルソーの作品を手にしている。しかし、それが…

没後20年展「三原順復活祭」

総特集 三原順 少女マンガ界のはみだしっ子作者: 三原順出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 「過剰なまでに饒舌」というのが三原順と、その読者に対する第一印象だった。 まだ作品を直に読…

う「うどん」

数年ぶりに思い出したうどんの記憶がある。 飲み会で、メディア論の先生から「3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー」というプロジェクトを聞いた時のことだ。 せんだいメディアテーク発のこのプロジェクトは、2011年3月12日、「震災を迎…

横浜市民ギャラリーにてヒサクニヒコ×久正人・親子対談

横浜市民ギャラリーでヒサクニヒコと久正人の親子トークイベント。 展示作品の紹介、両名の作品紹介、対談という構成。 ヒサクニヒコさんが展示作品である一コママンガをひとつひとつ丁寧に紹介してくださるが、富永一郎、鈴木義司らの作品はそれぞれ現代的…

練馬区立美術館「あしたのジョー、の時代展」

行ってきました最終日! 一昨年の今頃は梶原一騎の話しかしないbotみたいだったのに今年は意識低い! ジョーを軸に、同世代の音楽や芸能など、さまざまな表現について紹介するという展示でした。 展示は4つに分かれており、最初の部屋はマンガとアニメの紹介…

日本の「妖怪」を追え! 北斎、国芳、芋銭、水木しげるから現代アートまで

本展覧会は、江戸時代の浮世絵から、近代の日本画や油彩画、そして現代美術まで、さまざまなかたちで表現された「妖怪」を通して、日本人の世界観の変遷をたどろうとするものです。 横須賀美術館 鳥山石燕から始まって、絵双紙、浮世絵の紹介から展示スター…

「Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術」

横浜美術館 横浜美術館 4月13日〜6月16日 九州7県全部も怪しいのに東南アジア諸国のことなど知るはずがなかった……。恥ずかしながらどの国がどの言語を使っているかもきちんと把握していない。 そんな無知の影響で、かえって何もかもが新鮮で楽しめた面と、よ…

井上ひさし展−21世紀の君たちへ(神奈川近代文学館)

井上ひさしの作品は高校生の頃に熱心に読んだ。どの作品も対象のことをとても丁寧に調べていて、言葉の中には過剰なまでの情報が詰め込まれていた。しかし、間に挟まる笑いを楽しみながら読んでいくと、闊達に作品の中を動き回っていた人物たちは、多くの場…

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー  二人の写真家」

キャパ その青春 (文春文庫)作者: リチャード・ウィーラン,沢木耕太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/03/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見るキャパ その戦い (文春文庫)作者: リチャード・ウィーラン,沢木…

大友克洋GENGA展感想

更新しそびれているうちにまとまった感想を描く気分じゃなくなってしまったので、行った直後のメモをそのまま。 私は大友克洋詳しい人じゃないので、認識を改めてっていう感じの感動が強かった。一番驚いたのは、「AKIRA」(未読)の原画に手塚治虫遺伝子を…

都市から郊外へ―1930年代の東京(世田谷文学館)

都市から郊外へ―1930年代の東京 世田谷文学館 2012年2月11日〜4月8日 郊外という言葉にファスト風土的なものをイメージして見に行ったらむかしの田園調布あたりのことだった…。 まあ、それはそれとして。 1923年代の関東大震災によって、都市部から郊外への…

ホンマタカシ ニュードキュメンタリー

ホンマタカシの仕事でいちばん有名なのって「東京の子供」なのかな。 子供を撮ってるのにぜんぜんかわいくない。大人の考える枠組みからはずれた、異質な他者として児童を撮った写真集。あれがわかりやすくかっこよくて好きだった。写真の持つ観察の力のよう…