ホンのつまみぐい

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マンガ

6月に読んだ本・マンガ

マンガParkが「花とゆめ」と「LaLa」の作品を期間限定無料配信しており、おかげで白泉社のマンガをたくさん読んだので感想を。 読み切れなかった作品もあった。「彼方から」は世界観にうまく入り込めず。「花咲ける青少年」は、「強い人間が啖呵を切るとみん…

「月の子」(清水玲子)を読んでの備忘録(ネタばれあり)

月の子 MOON CHILD 1 (白泉社文庫) 作者:清水玲子 発売日: 2013/08/09 メディア: Kindle版 月の子 MOON CHILD 2 (白泉社文庫) 作者:清水玲子 発売日: 2013/08/09 メディア: Kindle版 月の子 MOON CHILD 3 (白泉社文庫) 作者:清水玲子 発売日: 2013/08/09 メ…

5月に読んだ本・マンガ

メタモルフォーゼの縁側(1) (カドカワデジタルコミックス) 作者:鶴谷 香央理 発売日: 2018/05/08 メディア: Kindle版 メタモルフォーゼの縁側(2) (カドカワデジタルコミックス) 作者:鶴谷 香央理 発売日: 2018/11/08 メディア: Kindle版 メタモルフォーゼの…

昭和の終わりに描かれたムラ社会の有様を2020年に読み返す「天然」(根本敬)

バブルに唾を吐きかける悪意の結晶。そして根本敬版「巨人の星」。それが「天然」だ。 舞台は1950年代の東北の架空の村。主人公の村田藤吉は、ムラ社会の中で小作人の息子としていじめぬかれる。天才的な野球の才能を持つが、それを発揮することができない悲…

4月に読んだ本・マンガ

野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る (シリーズ・日常術) 作者:モモ, 野中 発売日: 2020/03/26 メディア: 単行本 野中モモさんがZINEについてさまざまな角度で語る本。 ご自身とZINEの話。制作者へのインタビュー。海外のZINEの状況などが掲載…

3月に読んだ本・マンガ

気持ちが落ちていてぜんっぜん本を読んでいない……。なんかひたすら樹村みのりを読み返していた記憶。 アトンの娘 1巻 作者:里中 満智子 発売日: 2015/12/07 メディア: Kindle版 アトンの娘 2巻 作者:里中 満智子 発売日: 2015/12/07 メディア: Kindle版 アト…

2月に読んだ本・マンガ

海辺のカイン (MiMiKC) 作者:樹村 みのり 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1981/05/15 メディア: コミック メルカリで買って20年ぶりくらいに読んだ。20年前は図書館で。今も書庫出納すればあるんだろうなあ。前は展子に心を寄せていたけど、今回は「佐野さ…

1月に読んだ本・マンガ

黒い家 (角川ホラー文庫) 作者:貴志 祐介 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1998/12/10 メディア: 文庫 「サイコパス」という概念を「社会を脅かす怪物」として丁寧に解説するくだり、精神疾患への誤解を深めること間違いなしで険しい。ホラーだし、そもそ…

山本ルンルン漫画家21周年記念展「LUNLUNHOUR」

とってもよかったです。各作品ごとにA3くらいのサイズ書下ろしのイラストがあり、それがすべて素晴らしかった。 普段のルンルン作品は印刷を前提としているためか、かなりはっきりした色合いでカラーを着色しています。しかし、展示用作品は淡い色やにごりの…

心の深いところを掘り下げて書いてほしかった「男の星座」(梶原一騎/原田久仁信)

今さら読みました。梶原一騎の自伝的コミック『男の星座』。講談社文庫の代表作以外は手に入れづらかった梶原作品ですが、電子化が進んでだいぶ読みやすくなりましたね。 自伝と銘打たれてはいるものの、格闘技界のスターとの思い出話が多く、梶原一騎の人と…

「きのう何食べた?」を読んで頭に浮かんだことをつらつらと。

「きのう何食べた?」を読んで頭に浮かんだことをつらつらと。 ■最新15巻のよしながふみのマンガのうまさ 「何食べ」は開始が2007年だからもう12年目。こういう歳時記的なマンガには珍しく毎年歳を重ねるので、物語途中で生まれた子どももどんどん大きくなっ…

NET21恭文堂コミッククラフト店に閉店二日前にお邪魔しました

閉店二日前にNET21恭文堂コミッククラフト店にお邪魔しました。コミッククラフトは20年以上続いた、学芸大学駅近くのマンガ専門店。閉店後も恭文堂本店でマンガの販売は続きますが、店長のHさんは本店でマンガ以外を担当されるそうです。 H店長とは以前仕事…

「かんかん橋をわたって」からも感じ取れる草野誼作品の居心地の悪さ

バナー広告とツイッターきっかけで大ブレイクの嫁姑大戦争マンガ『かんかん橋をわたって』を読み終えた。 この作者の作品を読むのは2回目だけど、「たしかに面白い」と「こういうところがキモい」が交錯。そのキモさの内実を理解したく、とりあえずキンドル…

「セッちゃん」(大島智子)読んで泣いてるおっさんキモい

誰とでも寝るからあだ名は「セッちゃん」。そして、セッちゃんとセックスする何事にも無関心なあっくん。停滞感の漂う震災後の日本を背景に、ふたりの若者の日常が描かれる。大島智子の描く震災後の日本では、SEALDをモデルとしたであろうSHIFTという学生に…

カルチュラル・タイフーン2019・1日目→岡田育『40歳までにコレをやめる』 トークイベント→カルチュラル・タイフーン2019・2日目

cultural-typhoon.com このエントリは個人的な備忘録なので、ありとあらゆる点で丁寧ではないです。 カルチュラル・タイフーン2019・1日目。 ■セックス・ワークをめぐる女性表象高原幸子、竹田恵子、小川裕子 ・主体的にセックス・ワークを選ぶ女性もいる。…

#itisrape_japan 「性暴力と性暴力判決に抗議するスタンディング」に行って、三原順作品を思い出していた

2019年4/11(木)19時〜性暴力、性暴力判決に抗議するスタンディングを行います!東京某所、みなさんがアクセスしやすい大勢集まれる広場を想定しています。場所は10日夜にお知らせします!#それはレイプだ #Metoo #Withyou #性暴力を許さない #itisrape_jap…

ここで買えますストリップ同人誌

どうもです。 今messyでストリップに関する連載をやっています。(追記:全4回完結しました) mess-y.com mess-y.com mess-y.com mess-y.com 第3回にご登場いただいたストリップ同人誌について、「どこで買えるのか」という質問をいただいたので、まとめてご…

萩尾望都と青池保子が私たちの代わりに「どうして木原敏江が好きなのか」直接本人に伝えてくれる「総特集木原敏江-エレガンスの女王-」

なんといっても木原敏江×萩尾望都×青池保子鼎談。そして、この写真。 萩尾と青池がタッグを組んで当時の思い出を交えながらどんどん木原敏江の魅力を言語化してくれるのがとても頼もしい。 そして、2016年刊の「少年の名はジルベール」もそうなのだけど、こ…

第2回「月に吠えらんねえ」(清家雪子)読書会の抄録(2018年4月22日)

4月22日に「月に吠えらんねえ」読書会の第2回を行いました。今回は、現在大学院で北原白秋について研究しているささ山もも子さんが参加して下さり、鳥井雪さん、高原英理さん、佐藤弓生さん、嘉納、池田での6名での開催となりました。前回の起こしがかなり大…

ミュージカル「FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇」

原作コミックの時から文化系ファザコンの私には刺さる内容だったのだけど、ミュージカルはそれをさらに加速させる演出だった。 www.tohostage.com www.youtube.com 「ファン・ホーム」は、ホモセクシャルの父親・ブルースとレズビアンの娘・アリソンの物語だ…

偽史山人伝(チラシのウラ/詩野うら)の次に読む、かわいくて怖い伝奇・幻想マンガ

偽史山人伝は2017年の8月に知ったマンガで、読んですぐに紹介ツイートをしたのですが、その時はまったくと言っていいほど話題にならなかったんですよね。 三毛別熊事件が話題になっているようですが、ああいった強烈な害獣の歴史に想を得た偽史山人伝という…

ねこぢる生誕50周年記念 ねこぢる&ねこぢるy展@ぎんけいさろん&ギャラリー

ねこぢる作品は人生ベスト10に入るくらい大切なマンガだ。淡々とした暴力と理不尽が続く世界の中で、かわいい猫の姉妹が何事もなく生活している超越的な作風は、「世界はあらかじめ狂っている」という悟りを与えてくれた。 ひたすら息苦しくて出口のない気分…

西島大介個展「トゥルーエンドを探して」がしみじみよかった@AWAJI Cafe & Gallery

初めて西島大介の名前を見たのは、大塚英志の定本・物語消費論の挿画兼年表の制作担当としてでした。「できる若者なので、仕事をあげてください」とあとがきで大塚に紹介されていたと思います。 定本 物語消費論 (角川文庫) 作者: 大塚英志,西島大介 出版社/…

森川ジョージの慇懃無礼が引き出したちばてつやの証言/梶原一騎絶筆30年~SO!一騎集会~

いやー、これは熱かった。行ってよかった。その時歴史が動いた。 梶原一騎と言えば「あしたのジョー」「巨人の星」「タイガーマスク」と、マンガの歴史に残る作品の原作者でありながら、あまり研究の対象になっていません。 いわくの多い人だからわからなく…

「月に吠えらんねえ」(清家雪子)読書会の記録(2017年8月13日)

8月13日に「月に吠えらんねえ」の読書会を行いました。 この企画は、もともと池田の友人の「『月吠え』好きの鳥井さん(俳句好きプログラマー)とかつらさん(15年来の清家雪子ファン)を会わせてみたら面白いのではないか」という動機から始まったものです…

BL・レディコミ・TL-女性向けポルノを読み解く丁寧な試み「欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差」(堀あきこ)

最近、「BLって女の子にとって何なんだろう」と思うことが多かったので読んでみました。もちろん、BLの読者は女の子だけではありませんが、ここ最近の私の関心が「女の子にとって」なので、あえてこの文章でも「女の子にとって」を強調します。 本書は「はじ…

初心者はわかりやすさに感動、ヘビーリスナーはウザさに共感すること間違いなしの日本語ラップガイドブック「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」(服部昇大)

「ヘビーリスナーから初心者まで」を標榜した「日本語ラップの美ー子ちゃん」の美徳は「音楽が好きじゃなくても楽しく読める」し、「音楽が好きじゃなくても日本語ラップは楽しい」ことがわかる内容であることだ。

こうの史代「この世界の片隅に」原画展』@タワーレコード渋谷店

タワーレコードでtofubeatsのリリースイベントを見たついでに立ち寄っただけで、正直全く「見ることによる感動」は期待していなかったのだけど、思いの外心を打たれてしまった。 そして、こうの史代はマンガがうまいことに今さらしみじみ気がついた。「夕凪…

こうの史代×おざわゆき「はだしのゲン」をたのしむ@明治大学 2016/4/16 「この世界の片隅に」「あとかたの街」「凍りの掌 シベリア抑留記」にもふれて

このトークイベントは米沢記念図書館で行われたマンガと戦争展+α内の企画として開催されたものです。「はだしのゲン」というテーマを掲げていますが、まさに「マンガ表現と戦争」と作家がいかに向き合うかが語られる内容になっていました。逆に、「はだしの…

アトムの遺伝子を感じる人体改造もの「錆のゆめ」(久間よよよ)

観測の範囲でないので正確な時期はわからないが、男性向けエロマンガとBLが表現においてどんどん重なり合ってきているというのは何となくでも伝わってきていた。 重なり合うというのはおかしいか。男が考えつくようなエロに女だって興奮するし、なんなら自分…