ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

マンガ

偽史山人伝(チラシのウラ)の次に読む、かわいくて怖い伝奇・幻想マンガ

偽史山人伝は2017年の8月に知ったマンガで、読んですぐに紹介ツイートをしたのですが、その時はまったくと言っていいほど話題にならなかったんですよね。 三毛別熊事件が話題になっているようですが、ああいった強烈な害獣の歴史に想を得た偽史山人伝という…

ねこぢる生誕50周年記念 ねこぢる&ねこぢるy展@ぎんけいさろん&ギャラリー

ねこぢる作品は人生ベスト10に入るくらい大切なマンガだ。淡々とした暴力と理不尽が続く世界の中で、かわいい猫の姉妹が何事もなく生活している超越的な作風は、「世界はあらかじめ狂っている」という悟りを与えてくれた。 ひたすら息苦しくて出口のない気分…

西島大介個展「トゥルーエンドを探して」がしみじみよかった@AWAJI Cafe & Gallery

初めて西島大介の名前を見たのは、大塚英志の定本・物語消費論の挿画兼年表の制作担当としてでした。「できる若者なので、仕事をあげてください」とあとがきで大塚に紹介されていたと思います。 定本 物語消費論 (角川文庫) 作者: 大塚英志,西島大介 出版社/…

森川ジョージの慇懃無礼が引き出したちばてつやの証言/梶原一騎絶筆30年~SO!一騎集会~

いやー、これは熱かった。行ってよかった。その時歴史が動いた。 梶原一騎と言えば「あしたのジョー」「巨人の星」「タイガーマスク」と、マンガの歴史に残る作品の原作者でありながら、あまり研究の対象になっていません。 いわくの多い人だからわからなく…

「月に吠えらんねえ」(清家雪子)読書会の記録(2017年8月13日)

8月13日に「月に吠えらんねえ」の読書会を行いました。 この企画は、もともと池田の友人の「『月吠え』好きの鳥井さん(俳句好きプログラマー)とかつらさん(15年来の清家雪子ファン)を会わせてみたら面白いのではないか」という動機から始まったものです…

BL・レディコミ・TL-女性向けポルノを読み解く丁寧な試み「欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差」(堀あきこ)

最近、「BLって女の子にとって何なんだろう」と思うことが多かったので読んでみました。もちろん、BLの読者は女の子だけではありませんが、ここ最近の私の関心が「女の子にとって」なので、あえてこの文章でも「女の子にとって」を強調します。 本書は、「は…

初心者はわかりやすさに感動、ヘビーリスナーはウザさに共感すること間違いなしの日本語ラップガイドブック「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」(服部昇大)

「ヘビーリスナーから初心者まで」を標榜した「日本語ラップの美ー子ちゃん」の美徳は「音楽が好きじゃなくても楽しく読める」し、「音楽が好きじゃなくても日本語ラップは楽しい」ことがわかる内容であることだ。

こうの史代「この世界の片隅に」原画展』@タワーレコード渋谷店

タワーレコードでtofubeatsのリリースイベントを見たついでに立ち寄っただけで、正直全く「見ることによる感動」は期待していなかったのだけど、思いの外心を打たれてしまった。 そして、こうの史代はマンガがうまいことに今さらしみじみ気がついた。「夕凪…

こうの史代×おざわゆき「はだしのゲン」をたのしむ@明治大学 2016/4/16 「この世界の片隅に」「あとかたの街」「凍りの掌 シベリア抑留記」にもふれて

このトークイベントは米沢記念図書館で行われたマンガと戦争展+α内の企画として開催されたものです。「はだしのゲン」というテーマを掲げていますが、まさに「マンガ表現と戦争」と作家がいかに向き合うかが語られる内容になっていました。逆に、「はだしの…

アトムの遺伝子を感じる人体改造もの「錆のゆめ」(久間よよよ)

観測の範囲でないので正確な時期はわからないが、男性向けエロマンガとBLが表現においてどんどん重なり合ってきているというのは何となくでも伝わってきていた。 重なり合うというのはおかしいか。男が考えつくようなエロに女だって興奮するし、なんなら自分…

昭和元禄落語心中の最終回、キレた人の感想

ちょっと過程と結論を事細かに説明する気力はないのだが。 おいおい、与太郎の人生は八雲のための……。なんだこれ、噛ませ犬? 引き立て役? いろんな言葉が出て来ていずれにも当てはまるな。聖なる道化はたしかに便利だろうけど、これじゃ尻拭いするために作…

コンプラだらけのオタクラップ祭り!「Tinpot X-Max(チンポクリスマックス)」もオンリーワンの爆笑イベントでした

フッドが産まれ育った街に直結しているサイプレス上野のトークイベントが12月17日。翌日18日はうって変わって、ネットでつながったオタク青年たちが運営するイベント「Tinpot X-Max(チンポクリスマックス)」へ。 ブログで何度か書いていますが、主催の「St…

ハスリングなんかしなくてもヒップホップできるから!「ジャポニカヒップヒップ練習帳」サイプレス上野 from Dreamraps 刊行記念トークイベント

1stアルバムが「ドリーム」。リード曲が「Bay Dream ~フロム課外授業~」。主催レーベルが「ドリーム開発」。 サイプレス上野はよく自分自身のプロダクトに「ドリーム」と名づけますが、これは一般名詞の「夢」だけでなく、固有の場所を示します。それは、…

「失踪日記」吾妻ひでお

購入以来の再読。 改めて読み返すとホームレスになっていた頃の話より、配管工になってからの人間関係や、アル中病棟の人間模様が数倍インパクトがある。 ガス会社で出会う、油圧のネジを隠して相方が困った顔をするのを楽しむ柳井さんや、マージンをもらう…

山岸凉子展 「光 -てらす-」 ―メタモルフォーゼの世界―@弥生美術館

竹宮惠子の自伝には、まだ20代の山岸凉子がスッと現れては一言かっこいいことを言い残して去っていく場面がいくつかあり、その存在感が作風にぴったりでゾクゾクしたものでした。 少年の名はジルベール 作者: 竹宮惠子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016…

映画「この世界の片隅に」追記:狂気の沙汰を覗き見たい人へ

映画『この世界の片隅に』予告編 映画「この世界の片隅に」を観て、最初に頭に浮かんだのは原民喜の「夏の花」でした。 「夏の花」は原の被爆体験をもとに書かれた短編小説で、原爆投下直後の広島を歩き回る主人公の目を通し、当時の惨事が生々しく描かれて…

ブラック業界でそれでも生き延びた作者による伝言「アニメがお仕事!」石田敦子

マウスを狭い空間の中に詰め込むと、イライラが募ってお互いを傷つけあってしまうという。これは人にも当然当てはまるわけで、労働環境が劣悪だと人は退化してお互いを貶めあってしまう。 「アニメがお仕事!」は第一線のアニメーターとして活躍し、現在はマ…

「描く!」マンガ展 ~名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ~@川崎市市民ミュージアム

うわさのイベント、第2回訪問!なぜなら図録を買わなくてはいけないから……。 手塚治虫・石ノ森章太郎・水野英子・赤塚不二夫・藤子不二雄 石ノ森章太郎主催の東日本漫画研究会による肉筆回覧同人誌、墨汁一滴が圧巻。 東日本漫画研究会は、漫画少年読者欄で…

トラウマ社会派アニメ「タイガーマスク」を原口正宏が語り倒した!「TVアニメ50年史を語る 『スポ根アニメ』黄金期」

去年のイベントのメモ。塩漬けになっていたのですが、新たにアニメが公開されるということで清書して更新します。 原口正宏アニメ講義vol.9 TVアニメ50年史を語る 『スポ根アニメ』黄金期。 タイトルに反してタイガーマスクの話が8割でしたが、面白かった…

梶原一騎生誕80年記念~一騎に祝え!!~レポート

梶原一騎の非公式データベースサイト「一騎に読め!」を運営しているBONさん主催・登壇の梶原一騎生誕80周年イベント。 梶原一騎原作漫画網頁『一騎に読め!』 トークのお相手はまんだらけZENBUにて「梶原一騎の逆襲」を連載中で、「なつ漫探偵団」という著…

「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」を観た中央線サブカルロードの一日

高円寺から吉祥寺、吉祥寺からの中野ブロードウェイといういかにもな中央線散策をマンガ好きの友人ふたりとしてまいりました。 お目当ては吉祥寺の萩尾望都SF原画展。 高円寺でフォーとチキンライスのセットを頂いて、文禄堂を見学して吉祥寺へ。 原画展会場…

ジャズはオシャレな大人の音楽じゃねえぞ!「BLUE GIANT」(石塚真一)

写真は横浜へそまがり(ちょっと変な店長がやってる喫茶店)にて。 宮城のサックス大好きジャズ青年がトーキョーシティで仲間に出会ってジャズシーンを闘っていくアツイ青春ストーリー。 主人公の大ちゃんの熱血漢ぶりは「今時こんなピュアな人間いるか!」…

思い出のポトラック/三原順ブックカフェに行ってきました

神保町で開催された「三原順ブックカフェ」、行ってきました。 神保町の裏の喫茶店で、三原順作品に登場する音楽を聴きながら、資料や過去の単行本、掲載誌、復活祭のレポートを読むというまったりしたイベント。 三原順を読み始めたのは1999年の文庫化から…

アイドルオタク芸人マンガ「ODD FUTURE」(中島佑)の元ネタを紹介するよ

もはやアイドルそのものについては皆語り尽くしてしまったのか、一昨年あたりからアイドルオタクの物語が増え始めている。 在宅と現場、グループローカルアイドルとソロアイドルといった対立軸を設け、地下アイドル現場のリアルな楽しさを描く「ミリオンドー…

新春特別展 みなもと太郎の「風雲児たち」展~漫画でみる幕末

歴史マンガには「何があった」ではなく、「何があったことによってどうなった」の連鎖を求める。これが出来ていない作品は歴史マンガではなく、伝記マンガ・時代マンガだ。 風雲児たちは、関ヶ原の合戦から始まり幕末まで続く、長大な連鎖のマンガ化に挑戦…

「イケメン×2.5―境界、まなざし、在/不在」とりとめない感想

行けなかった方々のために当日のメモを起こしてたら、半分くらい書いたところで公的かつ詳細なレポートあがってるじゃないですか。やだー。 【報告】「イケメン×2.5―境界、まなざし、在/不在」 | Blog | University of Tokyo Center for Philosophy とはい…

私のマンガベスト10+100

何となくマンガのマイ・ベスト10を考えてみた結果↓ 巨人の星 梶原一騎/川崎のぼる 最終回の虚無感に頭真っ白になったせいか、これ以降「二次元にはしゃぐ」ことが出来なくなりました。トラウマ。好き! 伝記的語りと寓話的語りが奇跡的にまじりあってる怪作…

川崎のぼる 〜汗と涙と笑いと〜 展@三鷹市美術ギャラリー

川崎のぼる 〜汗と涙と笑いと〜 展 2015年 8月1日(土)〜10月12日(月・祝) 三鷹市美術ギャラリーすぐれた職人の技に対して芸術という言葉を使いたくなる時が、たまにある。そういう意味で、川崎のぼる展で出会った原画はまさに芸術だった。 川崎のぼるの代表作…

あしたのジョー+エースをねらえ!+アタックNo.1+巨人の星=スポコン展!@松屋銀座ギャラリー

本展はトムス・エンタテインメントのアニメ制作50周年を記念し、同社制作によるスポコンの原点と称される『巨人の星』、女子バレーボールを描いた傑作『アタックNo.1』、人間ドラマとテニスを融合させた華麗なる名作『エースをねらえ!』、ボクシングの凄惨な…

「鳳仙花」やまだ紫

喫茶へそまがりで読了。昔のマンガは時折何も言わずにまわりをじっと眺めている子供が出てくる。壁にもたれかかってきゅっと唇を結んでいるそういう子供たちは何を考えていたのだろう。自分自身のことを語る言葉も立場も持ち合わせていない人間がたくさん出…