ホンのつまみぐい

誤字脱字・事実誤認など遠慮なくご指摘ください。

その地獄は他人事か、地獄に文化は必要か? ラップの似合う街・川崎の今を書くルポルタージュ「ルポ川崎」(磯部涼)

「気付いたら15の時にはヤクザの鞄持ち」


ヒップホップグループ・BADHOPのメンバーの一人・T-PablowがTV番組「フリースタイルダンジョン」内で、この言葉を口にした時に、一部で「あんなのハッタリで、本当はまともな家の子なんだろ」と毒づく人間が現れた。


これはT-Pablowの番組内での折り目正しい態度に加え「そんな人間がテレビバラエティーに出ているはずがない」というバイアスによるものだろう。


しかし、彼の言葉に嘘はない。モニターの向こうからT-Pablowをちゃかした人たちが、「ここは本当に日本なのか」と思うような土地が、彼の生まれ育った場所だ。


音楽ライター・磯部涼によるルポルタージュ「ルポ川崎」は、川崎で活動あるいは生活する人々に取材している。


川崎市は東京に面した細長い市で、街の様相は区によってかなり異なるが、本書のメインとなる川崎区周辺は市の中心地であると同時に、同市の中でもっともハードな環境の土地だ。


まず驚くのは、川崎中一殺害事件(10代の少年グループが中学1年生の少年を凄惨な方法でなぶり殺し、川に捨てた2015年の事件)の取材を進める著者の前に現れる街の様相だろう。


火災で11人もの死者を出した簡易宿泊所の跡地におもむくと、背後の公園からひどく酔っ払った中学生くらいの少年が現れる。地元の若者に話を聞くと、宿泊所火災も中学生によるリンチ殺人もよくあることと返される。


死者すら出した、南北戦争と呼ばれる暴走族の対立や、中学生から上納金を徴収するヤクザの話、アルバイト感覚で違法薬物を売りさばく青年たち。どれも多くの人にとって、「同じ日本とは思えない」話だろう。


こうした地域で、著者はミュージシャン、スケーター、ダンサー、福祉施設職員など、さまざまな立場の人々に話を聞いていく。


本書の軸の一つとなっているのは冒頭で紹介したBADHOPの存在だ。メンバーの多くは幼稚園の頃からの幼なじみ。中学生の頃にはヤクザから上納金の徴収を受け、資金の確保のために窃盗を繰り返していたという彼らは川崎の街の暗部を身をもって体感しており、音楽によってそうした境遇から抜け出そうとしている。


T-PablowとYZERRの高校生RAP選手権出場を一つの契機に、「本当の大人」と出会うことになったBADHOPは、その後ラップスターとしての道を歩み始める。彼らの成功に牽引され、ラップを始めた若者たちの存在が本書には何度も登場する。

 

www.youtube.com


本書が悲惨な状況を写し取っていながら、全体としては陰惨な印象だけで終わらないのは、こうした能動的な人々の営みが繰り返し描かれているからだろう。


10年続いた、工場の屋上でのレイブ・パーティーDK SOUND」。日本社会になじめないまま大人になる在日外国人の多く住む、桜本で開催される社会福祉法人主催の多文化フェス「桜本フェス」。街の自転車屋さんとして親しまれながら、若いスケーターの交流の場所となるスケボーショップ「ゴールドフィッシュ」。お互いの音楽を認め合うことで、不良同士の対立から逃れた「FLY BOY RECORDS」の面々。


著者は後書きでこう記す。


「例えば、BADHOPが発端だったとはいえ、もともと、本書では音楽を主軸にするつもりはなかった。しかし、取材を進める中で痛感したのは(元)不良少年たちが人生を軌道修正するときに、音楽ーー大袈裟な言い方をすればそれを含む“文化”がいかに重要かということだ」


ここで言う「文化が重要」というのは、なにがしかの芸術や娯楽を享受すれば「上等な人間になれる」とか、「幸福になれる」という効能の話ではない。


自分が何を愛する人間なのかを知ること。文化というフィルターを通し、自分自身や身の回りを見直す契機を得ること。出自や立場の異なる他者と愛するものを分け合うこと。


ここで文化によって育まれているのは、自身がどのようなものに囲まれて育ち、何を愛する者なのかという自覚、つまり“アイデンティティ”にほかならない。


桜本フェスを開催している鈴木健は「桜本フェスが終わった後も、理由があってこの街に住めなくなってしまった子が、『ここがオレの地元だ』って泣いていました。もちろん、彼ら彼女らを取り巻く環境は改善していないわけだから、『フェスが、地元意識が、なんになるんだ』という意見もあるでしょう。それでも、生きていく上で何かしらの力になるんじゃないか。いや、なればいいなという、僕の一方的な、祈りに近いような想いですよね」と話している。


また、自らの育った街をとんでもないところだと話しながら、「でもさぁ、東京のヤツらって友情が薄くない? やっぱり、川崎はその点が濃いからいいよなぁ」とBADHOPのメンバーは笑いながら話す。別に、東京だって、あるいはそのほかの街だって、友情が薄いなんてことないだろう。でも、そうやって自分自身の街を前向きに言葉にしていく姿に、読者の方が不思議と勇気づけられるのだ。

本書はもともとサイゾー本誌・WEBの2媒体で連載されたものだが、初期には「川崎の悪い面を強調しすぎ」と批判を受けたという。これを踏まえた上で、著者は自らの中に「次はどんなヤバいことがあるのだろうか」という下世話な好奇心があったことを否定せず、自らの行動をスラム・ツーリズムから一歩進んだものにするためには「やるべきことは、書くことだ」と書いている。


観光客から当事者になり、彼らの生きる場所を自分たちと地続きの場所とするための行動。


そして、面白いのはヒップホップという文化に「ヤバいものを安全なところから楽しみたい」というスラム・ツーリズム的な欲望を満足させる要素があるところだ。

 

現在、日本語ラップ好きの間では、かつてA-THUGと同じSCARSというグループに所属していたSEEDAの運営メディア「ニートTOKYO」が話題になっている。ここで配信されるインタビュー動画は、これまでメディアで取り上げられることの少なかったアンダーグラウンドなアーティストが多く登場し、内容も時折きな臭いものが混じる。これらの動画のヒットは、間違いなくある種の下世話な欲望に牽引されているだろう。

 

2017.11.20 SEEDAインタビュー書き起こし(素起こし) #DOMMUNE #ニートTOKYO - RED NOTE

www.youtube.com

 

また、本書に登場するA-THUGが参加しているDoggiesの曲「Doggies Gang」では、「雹と雪が降る 野菜を食べる」という表現で違法薬物を取り扱っていることが示唆されている。

 

www.youtube.com


私がクラブでこの曲を聴いたのは、おおよそイリーガルな生活には無縁の青年たちが主催したイベントでのことだった。


そこではアイドルアニメ「Wake Up, Girls!」の曲の後に「Doggies Gang」が流れていてたし、彼らが制作した曲の中には、「野菜を食べる」というサビのノリをそのまま楽曲に転用した、ふざけたリキュール賛歌もある。

 

soundcloud.com


イベント後の呑み会で、現場で体感したDAWG MAFIA FAMILYにおけるA-THUGのスター性について親しげに語る彼らを見ていると、ある種の当事者性を彼らが文化を通して獲得していることを実感させられる。


こうした形での親密さは、別に社会運動につながるようなものではないだろうが、結果的に断絶しがちな階層の人間同士を、「同じ国に住む者だ」と自覚させる役割を果たしているはずだ。


「ルポ川崎」を通して描かれているのは、私たちと同じ日本のとある街の現状であり、文化が人間に果たす役割に他ならない。

 

ルポ 川崎(かわさき)

ルポ 川崎(かわさき)

 
写真集 川崎 KAWASAKI PHOTOGRAPHS

写真集 川崎 KAWASAKI PHOTOGRAPHS

 

 単行本にもかなりの量の写真が掲載されていますが、写真集は紙の違いにより、まったく違った質感を持った、作品として見応えのあるものになっているので、ぜひご一読を。

BADHOP「Life Style」のPV監督、Ghetto Hollywoodさんが「夜明けから朝方までの時間を書かせたら日本一」と評した、磯部さんの文体に近い印象を与えるのも写真集の方だと思います。

tocana.jp

tocana.jp

tocana.jp

hontuma4262.hatenablog.com

余談ですが、ヒップホップとスラム・ツーリズムと言えば、以前ロベルト吉野が「東京DEEP案内」に書かれたドリームハイツの紹介文(当然古びた街という揶揄的な表現)を「僕の街イケてるでしょ」という感じにシェアしていて、それを何となく「メタラーの吉野さんがヒップホップの人っぽいこと言ってるな」と思ったことなんかもふと頭に浮かびました。

 

かっこ悪いところ見せてでもかっこつけたい人の集まり TINPOT ALTERNATIVE @月あかり夢てらす

@f:id:hontuma4262:20180103151912j:image

ヒップホップ4大要素のひとつであるダンス。

ということで、チンポオルタナティブでスタジオチンポの面々がダンスバトルという新しい悪のりをスタートさせてました。

2016年9月からわりとまじめに参加しているスタジオチンポのイベントですが、今回は当日に京浜東北線が架線故障で止まってしまい、開始1時間半頃に到着するというしょっぱい状況に。

入ったタイミングではメブさんのDJ中。ぽ太郎さんのDJと、MANOYさんのライブは終了したところでした。ざ……残念。

この日は秋葉原サイファーの関連メンツが別個リリースパーティーをやっていたこともあり、人は少なめ。当たり前だけど、イベント来続けるってそれだけでけっこう大変だし、来てもらい続けるってのも大変だよなあ。

DJ終わって始まったのがuglinexくんのライブ。普段は演劇畑で活動しているという彼のラップは、ちょっとポエトリー寄りで、聴き取りやすい。あとは、かっこつけることに躊躇がないのが強い。

uglinex「Afterburn」 by studio tinpot | Free Listening on SoundCloud

ライブ終わって始まったのが中高でダンスをやっていたJavaraさんによるダンスショーケース。会場に入った時も、入場者にも気づかず鏡の前で練習をしていた彼のダンスは、衣装も併せて本格的。

なるほど、前にインタビューで聞いた拍を取るってこういうことかと実感。かっこよかった!

hontuma4262.hatenablog.com

お次はダンスバトル
一部参加者は前日にダンスの練習をしていたそうで、中で評価の高かったマジコン、ヤボシキイによる試技の披露。披露されたバトルは、拳を振るう動作のマジコンくんに刀で切りつけるヤボシキイくんというリアルストⅡ(ゲームの感覚が90年代から止まっててすまん)調。つきあいの長い2人なので、お互いがちゃんと息の合った掛け合いをしている感じが面白かった。

「はい、観ればわかると思いますけど、これはガキの頃やった『たたかいごっこ』ですね」というアナウンスから参加者を募るも、さすがにラップほどは人が集まらない。

そんな中、果敢に参加した細身のらいんひきさんがダンスダンスレボリューションのまねごとをしたり、大学の応援団長だった遊牧民さんが完全に応援団あのムーブで音に乗っていったりと、公園の砂場のような原初的な空間が形成されていました。(でもビートは泉まくらとかK-BOMBとかFla$hBackSとか)MANOYさんのちょっと手旗信号感のあるダンスはチャーミング。泉まくらで踊る遊牧民さんとオラディーさんのダンスはちょっと泉まくらファンに怒られそうな感じでした……。

お次のいぬいぬさんのDJはアニソン多めだったんですが、曲の構成に「ん?校庭カメラガール?」と思うものが多くて、コウテカのアニソン遺伝子を改めて実感。

ソロEP公開を終えたばかりのオラディーさんのライブは、EP同様フロウの無駄使い感がすごい。「年下の女の子声優に!夢中になっちまったら終わりや!」ってどんなフックだ。さすが声豚ラップの第1人者のひとり。でも、声がなめらかなのでフロウが決まる感じがすごい。楽しかった!

www.audiomack.com

 ダンスバトル第2回戦はあらいぐまさんとカクニケンスケくんが加わってさらにカオスの様相を呈しました。

ヤボシくんが、遊牧民さんの技を受けて床に座り込むリアクションをしたところに、遊牧民さんがいきなりキスをしたのはまじで非道だと思いました……。

第2回の最終戦はあらいぐまさんとカクニケンスケくん。K-BOMBの曲で痙攣したようにエセ暗黒舞踏を踊り出すあらいぐまさんと、若干引きつった笑顔を浮かべながらいきなりコサックダンスを始めるカクニケンスケくんとか、形容しがたい異様なものを見ることができました。ダンスと言うより身体を使った大喜利と言う方が近いかもしれない。ちなみにカクニケンスケ勝利!

でも、参加者みんなの「かっこわるいところを見せてでもかっこつけたい」感じがエモいと言えないこともなかった。

そして、今度は運営陣「チンポマニア」によるライブ

DJドクマンジュにヤボシキイとジャバラで3MCというボリュームのある編成。

この編成は3月のチンマニぶり。で、ヤボシくん今までのライブで何度か歌詞を飛ばしていて、しかもそれを私がブログに書き残しちゃったからドクマンジュくんがTwitterで怒ってたのを見たりしてたんですよね。

「あっ、やべえ」と思いつつ放置してたんですが、この日はちゃんと圧のあるライブが出来ていて、鍛錬が見て取れました。何より、クラブの音響で聴くと、それぞれの曲のラップミュージックとしての正統ぶりが際だって、「皆のラップに対する愛情がオリジナルティーを持って形になってる」感がよかった。

フックは「俺も赤ちゃんプレイしてえな」だったり、「原発反対!」だったりするんですけどね。そして、めっちゃ盛りあがるんですけどね。でも、それもむしろヒップホップ感あるよね。

大丈夫音楽「OSHIMAI BABY PLAY」 by studio tinpot | Free Listening on SoundCloud


最後は100均の道具を叩くセッションから、JavaraDJでのんびり終了。

後でドクマンジュくんがダンスバトルを「みんなラップは安定しちゃったから、新しいことやってもらったらめっちゃハラハラして最高だった」みたいなことを書いていて、やっぱ信頼できるなと思いました。

2018年またヤボシキイ名義の新しいアルバムが出来るらしいので、その後のチンマニが楽しみです。

hontuma4262.hatenablog.com
hontuma4262.hatenablog.com

hontuma4262.hatenablog.com

hontuma4262.hatenablog.com

hontuma4262.hatenablog.com

 

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

www.audiomack.com

 

umaneco presentsおいでよ !ワンパク村!~クリスマスだよ全員集合~で、もつ酢飯ライブ納めをしました

もつ酢飯のライブ納めということで、クリスマス当日に恵比寿BATICAに行ってきた。

ラーメン屋、高い飲み屋、高い飲み屋、ラーメン屋と続く恵比寿の表通りを歩くと、こじゃれたガラス扉の外にぽつんと教壇のようなカウンターが置かれていて、そこでスタッフが入場料を受け取っていた。こんな寒い日に道路で金を受け取るってえらいしんどいな。

中でモスコミュールを頼んで、ライブ会場である2階にあがるとペペ長谷川さんが歌っていて……。って、ペペ長谷川さん。いい声だけど、普通の頭の薄いおじさんなんだが。何やってる人なんだ。

www.youtube.com

もつ酢飯の2人を見つけて声をかける。ペペさんのライブが終わると、2人ともフロアから直接ステージにあがってライブがスタート。

もつ酢飯のテーマから、1on1、服屋wars、ブラック・リフレクション、But,無理 is よくない、ごはんパンというセトリ。

もつ酢飯のテーマは間奏での「男の子!女の子!」「1階席!2階席!アリーナ席!」というアオリが定番になっているようだった。

そこから女の子同士のマウンティングの様子を歌った1on1。息の合ったかけあいで、二人の仲の良さがうかがえるのに、歌ってるのはdisりあいというのが面白かった。あとで考えると、メルカリに4℃のアクセが山ほど転売されているというクリスマスの夜に「4℃とかハンパでやだわ」という歌を歌うのめちゃくちゃタイムリー。

f:id:hontuma4262:20180103122430j:image

ビートの個性の違う曲が次々披露されるのを観ながら、ちょっとこの1年を思い出した。

もつ酢飯の最初の楽曲はサイファー主催のドクマンジュくんのビートで、ひねくれた歌詞にアブストラクト気味のビートという謎に攻撃的なG.I.R.Lという曲だった。

soundcloud.com

それが今ではバトル・ライブ・学校とさまざまな場所で出会った人の曲でラップしている。テーマもオタクの自虐とdisりから、マイペース人生宣言、炭水化物賛歌とどんどん広がっていって、自分を過去にするスピードが早い。

t.co

motsusumeshi.bandcamp.com

もつ酢飯のテーマの初披露は、タイダルトガリネズミというイベントで、ムノウちゃんが緊張で歌詞を飛ばしていたりとまだまだ「微笑ましい」レベルだったのだけど、もうちゃんと演者だな~と思いながら楽しんでいた。

www.youtube.com

もつ酢飯 (ワッショイサンバちゃん作の公式HP)

もつ酢飯終わって2人と話したりしていると、ORETACHI(丸省&METEOR&高野政所がスタート。秘密結社MMRはMETEOR×丸省×RIND編成だから、政所さんが入った時をORETACHIとしてるのかな。

丸いおじさんたちの聴きとりやすくてくだらない歌詞と、あっぴろげなMCが何だかもうびっくりするくらい面白かった。

ラッパーのギャグ、基本「微笑ましい気持ちで観る」のが正解だと思ってて、「楽しませてもらう」ものじゃないと思ってたんだけど、もはや笑いすぎて内容を覚えていない。レポートできないじゃないすか。無能だな、自分。いや、アンダーグラウンドは現場にしかないからいいのか。

冗談抜きでくだらなすぎて、ストレートすぎて心に花が咲くので少年ジャンプを本気で読んでいた頃に戻りたい人は観てほしい。

年末に秘密結社MMRのCDも買ったし、これを聴いて1月を乗り切りたい。

「10年後もこんなことしていたい」的なMETEORさんのバースを聴きながら「その頃には現場に飽きているかもしれないな。何やってるんだろ10年後」とふっと思った。

www.youtube.com

スーパーヒップホッパーズ ~幻の巨大魚編~

スーパーヒップホッパーズ ~幻の巨大魚編~

 

1階に降りてフードを食べていると、元気そうなお兄ちゃんと「ORETACHIよかったですね」「誰目当てですか」みたいな話になって、「もつ酢飯です」と答えたら、「もつ酢飯もよかったですね~。前出たときはあんまり盛り上がってなかったんですけど」と話してくれた。相手の人は一瞬「余計なこと言っちゃったかな」というリアクションを見せていたけど、成長を目の当たりにしたようでむしろうれしかった。

ごはんを食べて2階に戻るとディスク百合おんさんのDJ中で、最後にゲストにアンパンマンのビニール人形を持ち込んだりしていて、馬鹿馬鹿しく楽しく盛り上がっていた。

最後のおやすみホログラム

カナミルがフロアにつっこんできて、それを観てかインドのサリーでアクセサリーもバチバチに決めた女性(umanecoメンバーの方だったのかな?)もリフトされてカナミルに手を伸ばしていたのが何だか洪水っぽくてよい画だった。

ごちゃごちゃしているけど、それがマイナスにならない、熱量があるんだけどどっかのどかなライブ。初期からの代表曲多めのセトリも、たまにしか観ない人間にとってはうれしかった。

翌日の仕事のことを考えておやホロ終わってから帰ったけど、結果的によいライブ納めになった。面白くてのどかな現場が作れるのはすごいことだ。ワンパク村はまた行きたい。

www.youtube.com

17

17

 

 

サブカル不毛の地・横浜から生まれた「nuance」はローカルアイドルとして正しい

横浜のご当地アイドルnuanceがドルオタの間で話題になっていると聞いたときは、マジかと思いました。

 

横浜ってサブカル不毛の地と呼ばれてるんですよ。理由は簡単で、何もかもが東京で足りてしまうし、何かやろうとしたら東京に行った方がいいから。だから、新しいものが生まれないし、狂人は居残らない。

 

アイドルももちろんそうで、ナチュラル・ポイントやポニカロードといった先人はいたけれど、じゃあそれがそのまま東京に行ったり、横浜に人を呼んだり出来るかというそこまでの存在感はなかった。

 

それが、いきなり「横浜」をアイデンティティに添えたグループが話題になってる。しかも、アー写にも衣装にも曲にもちゃんとお金をかけてる感じ。ライブアイドルにありがちな「とりあえずやってみました」感がない!

 

調べてみると、サウンドディレクターは乃木坂46遊助への楽曲提供もある佐藤嘉風(かふう)。そして、楽曲提供は劇団鹿殺しからオレノグラフィティ、横浜のフォークデュオN.U.ら。「キンプリ」「プリパラ」に歌詞を提供している宮嶋淳子も。振付はこれまた劇団鹿殺しの浅野康之。ダンスレッスンには横浜元町でダンススタジオを開設しているFUYUMI。最新のジャケ写はハービー・山口。地元のクリエイターに加えて多彩な制作陣が参加している。

 f:id:hontuma4262:20180102105552j:imagef:id:hontuma4262:20180102105555j:image

www.youtube.com

ライブアイドルである程度の質を保っているところって「イカれた大人が人生投げ出しつつ無茶を通して運営する」イメージを持っているので、「横浜にもそんな気合いの入った狂人が……」ということに驚きました。

 

HPを見ると横浜市商店街総連合会企画のガチシリーズのテーマソングを歌うアイドルらしい。たしかに連合会知り合いいれば何とでもコラボする印象あるし、アイドルバックアップしててもおかしくない。その後、運営はコンテンツ制作の何でも屋さんであるミニマリング・スタジオが行っていると知り、安定感のあるパッケージングとコネクションの強力さに納得しました。

とはいえ現場まで行くつもりはなかったんですが、なんとワンマンの会場は横浜に1946年からあるダンスホール・クリフサイドというじゃないですか。清竜人25の「Mr.PLAY BOY…♡」PVの撮影場所ですね。

 

www.youtube.com

 

年配のお客さんを中心に、未だにダンスホールとして機能している希有な箱。また、ジャズライブやダンスの発表会なんかも行われています。関東圏のドルオタなら東京キネマ倶楽部をイメージしてもらえばいいと思います。

 

ただキネマ倶楽部と違って石川町駅もしくは元町・中華街駅から降りて少し歩く、元町商店街の裏手の坂の途中という見つけづらい場所にあり、地元の人間ですら存在を知らない人が多い。ましてやアイドルのライブなんて開催されたことありません。

 

hamarepo.com

 

横浜駅周辺ですら来てもらうの大変なのに石川町て……(まあ、閉店したリザードも含めると横浜の代表的なライブハウスやクラブは石川町に集まってるんですが)。連合会のバックアップがあるみたいだし、クラウドファンディングも行っていたから運営が大赤字になることはないかもしれないけど、どう考えても無謀。

 

というわけで、前置きがめちゃくちゃ長くなったけど、横浜で無謀なことをしている人がいるらしいという好奇心でnuanceワンマン行ってきました。

 

中に入ると、立派なソファーのある待合室やホテルのようなクロークが出てきて、ここでもう元取った気になりました。会場にはあちこち古い写真や絵画も置かれていて、歴史を感じさせます。

 

そして、ドリンクカウンターにはYシャツに黒ベストの品のいい服装の年配の女性。白ワインをグラスで渡していただきました。ダンスホールっぽいぞ!古い映画の中みたい!

 

ドリンクを受け取って会場に降りると、背景に古い喫茶室で使われるようなレタリングでのクリフサイドという文字が躍るステージの上で、すでに4人の女の子が踊っていました。会場内はご家族・関係者と思わしき人が40人くらいで、オタクが50人くらいかな。

 

低いステージの後ろから見ていたので振り付けはよく見えなかったんですが、曲はたしかにいい。革新的なことをやっているわけじゃないけど、軽やかで聴き心地がよくて、アイドルっぽい少し抜けたかわいらしさもがある。楽曲派受けしそうな出来。

 

ステージングも「レベル高い!」っていうわけではないのですが、全体的に誠実で、ちょっとおっとりした感じで、いい意味でいかにもローカルアイドルっぽい。

 

ぼんやり見ていると「6曲駆け抜けてまいりました。次からは後半戦です!」というMCから、メンバーがいったんはけて、misakiちゃんによるギター弾き語り。

 

「名だたるアーティストがPVに使っているような場所で弾き語りが出来るなんて夢のようです。でも、これもニューメンとメンバー3人のおかげなので」というMC。めちゃくちゃしっかりした子で、歌も安定感ありました。

 

次に出てきた女の子は頭にミツバチの触覚ヘアバンドを着けた珠理ちゃん。「いつも4人でいるから1人心細いな~。でもがんばろ!」といいながら「ハチミツ片思い」というラテン調の曲を披露。「ハチミツ片思い~」というサビがものすごく頭に残る曲で、今でもたまに思い出します。

 

ソロコーナー終わってから衣装を着替えて、再び4人でのライブへ。

 

ロコドル感たっぷりの楽曲「We Love 商店街」がとても盛り上がっていて、これまでの活動の歴史を感じてほっこり。合間合間にのんびりしたMCをはさんだり、アンコールでのサイリウム点灯に珠理ちゃんが泣き出したりと、アイドルらしい場面もはさみつつ、ゆったりした空気で終了しました。

 

www.youtube.com

最後に、メンバーが垂れ幕を持って2階のバルコニー上のスペースにあがり、サプライズで発表したのは6月のO-WESTでのライブの発表。

 

バックアップがあるのかもしれないけど、まだ横浜のちょっと話題になってるくらいのロコドルなのに、キャパ600の箱って正気じゃないなー。でも、面白いし、応援したい。

 

nuanceって、ただ「地元の可愛い子を使って人を呼びたい」じゃなくて、「横浜でも面白いものが作れるよ」と「地元の人も知らない横浜の面白さってこういうとこだよ」というプレゼテーションができてるんですよ。つまり地域の再発見ってやつですね。ご当地として正しい。

 

制作が昔から地元の広報誌や映像、企画を作っているミニマリング・スタジオなのが大きいと思うんですが、そういう思想のあるなし大切。

 

半年後にO-WESTは大きな挑戦だけど、成功してほしいなあ。 

 

nuance.blue

camp-fire.jp

春ねむりワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」@武蔵野公会堂ホール

自らのホームであるライブハウスを出て、武蔵野公会堂という整頓された会場を選んだ春ねむりのワンマンライブ。

普段はクラシックコンサートや合唱をやっているそうで、会場入り口の柱に、紙に筆で公演情報が書かれていた。

f:id:hontuma4262:20180102100800j:image

同年の1月にduesで行われた無料ライブとは違う、高い天井に固定イス。そして、舞台に映し出された『2017年10月26日 (木) 春ねむり ワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」』の文字。

ライブの前に彼女が主題歌「kick in the world」を提供した短編映画「; the eternal /spring」が流れる。バンドを始めるけれどうまくいかない女の子の日々を描いたものだったけど、あまりひっかかりのない内容だった。

youtu.be

映画が終わり、春ねむりによるナレーション。さらにノイズ音が流れ、しばらくするとワンピース姿の春ねむりが姿を現した。

最初の曲は舞台に用意されたひな壇に上がり、スタンドマイクを前にしてのライブ。改めて、細い声なのに強い!そして、VJが美しい。

ワンマンでもVJが用意されていたけど、2DKの部屋くらいのduesではなく、映画館のスクリーンくらいの大きな背景に映し出されたVJは、世界観をがっちり補強している。

舞台の上は春ねむりとVJだけの世界で、それはファンのかけ声や熱気と同期させていくライブハウスでのライブとはまったく別のものだ。客を頼らず、1人だけで世界を完成させていく覚悟のようなものを感じた。

細くて揺れのある、だけど油断のない歌声が客席に響いていく。

 

youtu.be

ポエトリーリーディングに近いけれど、もう少し色鮮やかなステージ。時折花びらを巻く姿が美しい。

この日は中盤に挟まったカバー曲「バーモント・キッス」(相対性理論)と「世界征服やめた」(不可思議/wonderboy)が、彼女自身の曲とは違う空気もう少し遊びのある音で、よい緩急になっていた。

youtu.be

特に「世界征服やめた」での伸びやかな歌声はそれまでの彼女のイメージと違ったふんわりした聴き心地の良さがあった。

改めて大きなホールで聴くと、春ねむりの作る曲は多彩だ。ロック色の強いバンドアレンジのものもあれば、ビートの存在感が強いアンビエントな曲もある。

その多彩さはキャッチャーさと対極にあるし、時折挟まる激しいMCも含めて、人を選ぶだろうなと思う。

でも、MCで「最終兵器になりたいと思って作った『ぼくは最終兵器』ですが、この1年でああ、最終兵器になってしまったんだなと思えたときがあった」という、その覚悟が美しくて、それに見合うだけの存在になろうとする鋭さがかっこよくて、ついつい目が離せない。

最後は絞り出すような激しいシャウトの「kick in the world」から新曲披露で終わった。ライブというより、音楽を介して春ねむりが心の中に作る宇宙を再現するためのインスタレーションのようだった。

youtu.be

春ねむりはライブ中によく「皆さんを救いたい」というようなことを叫ぶけど、正直に言うと私はライブに救いを求めていないので、ちょっと申し訳ない気分になることがある。

それでも、彼女のライブに足を運んでしまうのはその真摯さと力強さを確認したいからなのだろうと思う。

f:id:hontuma4262:20180102100835j:image

netmover.jp

2017年よく聴いたやつ(年間ベストとかじゃないです)

年間ベストの季節ですね。

回りの人がどんどんお祭りに参加してるので「自分なら……」と思っていろいろ思い浮かべてみたのですが、あまりに面白みがなくてちょっと自分でひいてしまってですね。

何が面白くないかって、音楽聴く力が低い人のセレクトなんですよね。

あの、私は「読めないマンガ」がないんですよ。好き嫌いはいっぱいあるし、苦手な作品ももちろんあるのですが、「読めない」ことはない。

雑誌で例えれば、ジャンプからガロ(今はアックスですが)。あるいはりぼんからエロティクスFゴラクからエース。どの分野も読めって言われれば読めるし、好きじゃなくても「魅力がある」「力がある」はわかる。

積極的にではないけれど戦前のマンガも海外マンガも読んだし、コミケコミティアで同人誌も買ってました。pixivも見るし。とはいえ、すべて最近は全然ですが。

※こんな感じ→私のマンガベスト10+100 - ホンのつまみぐい

あと、本屋で働いてたのもあって、自分が好きじゃないものでも、楽しみにしている読み手がたくさんいるってのがわかる。

だけど、音楽って「自分にとってどこかしらなじみがあるもの」以外はまず「聴けてない」んですよね。もちろん流してはいるけど、好き嫌い以前に全然つかめてない。

今の私の聴き方だと、マンガに例えればアフタヌーンとビームしか読まないで生きてきた人が今年1年について語るみたいな感じになっちゃう。だから、何が2017ベストかという判断なんてとてもじゃないけどできないなーって。

まあ、ただ「よく聴いた」でくくれば10年後の自分が読んだときに楽しいだろうと思い、書き記してみました。旧譜と新譜半々くらいです。

個人的には2017年半ばからApple musicを導入するようになって、聴きたい曲を即インストールして、通勤で聴けるようになったのが2017年の大きな変化です。(だから通勤で気持ちよく聴けるやつが多い……)

さっき上げたようにジャッジ放棄してるんで、選ぶにあたって時代性への目配りとか、新星へのエールとか、あるいは実験精神への評価とか、シーンへの貢献に対する好意などは一切ありません。

でも、全部どっか似てるので、あれが好きな人はこれも好きというのはあるかも。あと、ライブで「こういう曲だったのか」と発見することも多いので、ライブを観たことある演者が強いです。

 

BELLRING少女ハート 「UNDO THE UNION」

UNDO THE UNION

UNDO THE UNION

 

今さらこれか感はあるのですが、何枚もアイドルのアルバムをiphoneに入れて、容量の関係で削減というのを繰り返した後にいつまでも残っている一枚。
時に童謡を喚起させる不安定な女の子たちの声に、アヴァンギャルドな音調。ロックアイドルはあまり聴かなくなってしまいましたが、ベルハーは1曲ごと、東欧のサーカス映画、60年代のアングラ演劇、女子高生を主人公にした古いSFドラマなど、さまざまな世界が喚起されていくら聴いても飽きません。

歌詞も印象的なフレーズがありすぎてきりがないけど、全然知らない人向けに一個伝えるならこれかな。

あのタンジェリン かじりついて 爆ぜるアシッドな香り
そうタンジェリン かじりついて 味わってみるの
おとなってさぁ あきらめるじゃん 寝転んだ目して笑う
赤ちゃんってさぁ 手を伸ばすじゃん すべてに触れたい

メンバーのささやき声をサンプリングした曲に歌唱を乗せる「男の子 女の子」とかも変態的なのに静謐な美しさがあって好き。

ベルハーのライブ映像で好きなやつ。このアルバム収録でない曲が多いですが。

www.youtube.com


TEAM MII 「TEAM MII 全曲集」

TEAM MII 全曲集

TEAM MII 全曲集

 

3776じゃなくてTEAM MIIなのは、群像劇っぽいパートが面白いのと、井出ちよのちゃんの芯のある歌い方に比べるとこっちの方がはるかにヨレヨレした歌唱だからです……。歌詞も気持ち悪いです。

雑にまとめちゃうとニューウェイブらしいんですが、TEAM MIIは子どもたちの声もあわせてNHKのSFアニメに使われてそうな音ですよね。いや、そうでもないか……。でも、1曲ごとに短編映画みたいなインパクトがあるところはベルハーと共通する部分があるかも。

www.youtube.com

 

校庭カメラガールツヴァイ 「Dis dear month of August」(会場限定)

Dis dear month of August

Dis dear month of August

 

ヒップホップいろいろ聴くようになったらアイドルラップ聴けなくなるかなと思ったけど、やっぱりコウテカ好きでした。

過去2回のちゃんとしたワンマンが冬だったこともあって、コウテカは寒い季節が似合うイメージが強いのですが、夏を前面に押し出したこのEPは気持ちを明るくしてくれる曲が多くて、3枚のアルバムと違った心地よさがあります。


【MV】"Dis dear month of August" Trailer / 校庭カメラガールツヴァイ


あめとかんむり「nou」

nou

nou

 

 「おれたちのtapestokともるももるがやってくれたぞー!!」。

アイドル色の強い「This is ido rap e.p.」ではどこか自信なさげに歌っていたもるちゃんが、その魔女っぽいたたずまいや声を最大限に活かしたロウハウス×ラップの名盤。

気だるげな声と振動が染みこんでくるような音の重なりが気持ちよくてリピートできます。

なんて書いてますが、ハウスという音楽をあめとかんむりで初めてちゃんと意識しました。でも、クラブミュージックなのにパリピやらなくていい、ほっといてくれる心地よさのあるハウス好き!


lie night / あめとかんむり

 

tofubeats「FANTASY CLUB」 

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

 

 tofubeatsやさしい!あたまいい!好き!

「美しいけど 終わりがあるストーリー」
「頭使っててもまだ間違う」
「Lonely nights, 二人でもlonely nights」
「もう良し悪しとかわからないな」
「何がリアルで 何がリアルじゃないか そんなことだけで面白いか」

とか、どれも平易な言葉なのに、音との組み合わせによって心の中の普遍的な部分を叩いてくる。その音楽としての正しさが本当にすばらしいですね。耳なじみのいい電子音の中、オートチューンをかけたtofubeatsの声が独特の生々しさを持って聞こえてくるという不思議なギャップもいいです。


tofubeats - LONELY NIGHTS

 

環ROY「なぎ」

なぎ

なぎ

 

 イルカがキューキュー鳴いてる1曲目が聴きたくて再生して、最後まで延々と聴いてしまう1枚。歌詞はあんまり耳に残らないのですが、声と音がとにかくいい。

志人まで行っちゃうと芸術に閉じこもってる感じがしてしまうのですが、「なぎ」は表現を突きつめているのにスッと耳になじんでくる作りで、いわゆるポップスとはまったく違った方向からの普遍性の追求への意志を感じます。


環ROY / はらり

 

サイプレス上野とロベルト吉野 「TiCTAC」

TIC TAC

TIC TAC

 

ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS→マイク中毒 pt.3 逆feat. STERUSS→DOORの流れが好きすぎてめちゃくちゃ聴きました。

弱音と強がりを隠さず自分の道程を確かめながら歌われる現在進行形の自己肯定。

crime6の「言葉通り生きられないけれど、言葉に近づくよう生きなさいでしょう?」(マイク中毒)とか、サイプレス上野の「あの頃のSOUNDから今このSOUND 疎らなフロアを燃やしてきた その飛び火が燃え盛るZE」(DOOR)とかの素朴な言葉はもちろん、ヨコハマシカでのMACCHOの叙事詩的な言葉選びも圧巻です。

言葉のことばかり書いてしまったけど、3曲ともどこか寂寥感がありながら軽さを失なってない曲で好き!

全体に焦燥感と疾走感がストレートに反映されていて、勇気づけられるアルバムなので全30代に聴いてほしい。

www.youtube.com
STERUSS 「白い三日月」

白い三日月

白い三日月

 

 円鋭の方が世界観的にも音楽的にも円熟した内容だと思うのですが、iphoneのシャッフルで流れてきてテンションあがる確率の高さでこっちに。
歌詞がいちいち意味わからなすぎて、耳に入るとうぉーってなるんですよね……。
「夢で俺にあったら俺を殺す 殺しては生まれるブラックホ~~~ル!!!」
「なんじゃそりゃーー!」
いや、めっちゃ好きです。
あと、KAZZ-Kの曲に通底するちょっとしたそっけなさが好きです。甘くないのに人の声が乗るとエモくなる、そのバランスがすばらしい。

www.youtube.com


ゆるふわギャング 「Mars Ice House」 

Mars Ice House

Mars Ice House

 

 享楽的で刹那的で、明らかに若者のための音楽なのにどこか懐かしい感じがするのはスーパーカーリスペクトだからか……。ゆるふわはライブがめちゃくちゃよかったので否応無しに印象に残りました。あと、「ビジネスがなんだ 全員死ね」最高。もう一度ライブで言いたい。

でも、この2人って私みたいなサブカル中年より、「彼らの音楽を自分の一部として聴いている人」の言葉を待ちたい気もするんですよね。

www.youtube.com

 

WONK 「Castor」「Polluk」

Castor

Castor

 
Pollux

Pollux

 

ストレートにおしゃれ!な曲とちょっと変わったことやってみたザクッとした曲が同居しててどっちも聴かせるのがずるい。セロニアス・モンクのMONKをひっくり返してWONKというのもずるい。早く現場行って「見たよ」マウンティングしたいです。

www.youtube.com

 

NETWORKS 「Dynamic Nature」

Dynamic Nature

Dynamic Nature

 

11月末に知ったので今年よく聴いたも何もないんですけど、寒い日の朝、自転車に乗りながら聴くと主人公感ハンパないのでみんな真似してくれー!って気持ちで入れました(事故らない程度に)。緊張感の強い演奏のミニマルバンドなんですけど、音の中に熱さとかわいらしさが同居していて聴いているとニコニコしてしまいます。

www.youtube.com

 

……並べて思ったんですけど、私は「寂しそうな音楽が好き」なんですね。PUNPPEすごかったのに入らなかったのは寂しさ成分が足りなかったんだな……。あと、ケンカ弱そうな人が作ってる音楽ばっかっすね。

年間ベストって次世代にその価値や記憶を引き継ぐ役目もあると思うので、まだそこには参加できないなと改めて思いました。

(だから、ただ曲名が書いてあるだけのベストってどうなんって思うんですが……。)

あと、SALU全般とか、あっこゴリラのEPとか、ライムベリーの「ちょっとやってみただけ」とか、BADHOPの「これ以外」とか、E TICKET PRODUCTIONの「ILLNINAL」とか、個別に記憶に残る曲いっぱいありました。

ラップもアイドルももっとちゃんと聴きこめば魅力がわかったものたくさんあるんだろうな。

あ、KIMODORIとかstillichimiyaの「死んだらどうなる」とかもかなり聴いてたけど、もう4000字くらいあるからいいか……。

番外ですが、2017年一番応援してた人たちの曲。客観的に見ると拙いのかもしれませんが、どっちもイイキョクです!

 

もつ酢飯「もつ酢飯のテーマ」

soundcloud.com

YABO$HIKI-1「OTK HUSTLER feat. Jabvara,DocManju」

t.co

来年はもっと聴ける音楽増やしたいですね。では。

P.S あ、これ読んで「じゃあ、これも好きだと思う」みたいのあれば教えてほしいです。