ホンのつまみぐい

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「スナックのんのん最終回」のんのんれめるO'CHAWANZ卒業イベントからMC松島Presents 「おとなの時間」を回しました

「スナックのんのん最終回」〜さいごだよ!わんわん大集合〜 8月10日

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2人組アイドルラップユニットO'CHAWANZの、のんのんれめるちゃんの卒業イベント「スナックのんのん最終回」。開場は19時だったけれど、私は20時頃に到着。

「体調を崩し、学業との両立が難しくなった」というちょっと切ない理由で決まった卒業。ふたりが校庭カメラガールに所属していた頃はそれなりに顔を出していたけど、O'CHAWANZになってからは二回目だ。

会場の阿佐ヶ谷ロフトAに着くと、オタクのほかに小柄でかわいらしい、手入れされた可愛さの女の子たちが何人も。最初はれめるちゃんの学校での友人かと思ったけれど、後ほど対バンなどで出会ったアイドル仲間と判明。たしかに、あれはプロの可愛さだった。容姿だけなら可愛い子、きれいな子はたくさんいるけれど、おおぜいの人の目を意識してる人はトータルでの存在感がちがう。

阿佐ヶ谷ロフトAは日頃はトークイベントなどに使われる箱で、ステージ正面のフロアにも机とイスがまんべんなく置かれているのだけど、この日は直前にスイカ割りをやっていたらしく正面フロアは床の柄が見える状態になっていて、集まったオタクが雑談していた。

知人にあいさつしたり、ドリンクを受け取ったりしているうちにライブが始まり、れめるちゃんがシフォン素材のふわふわのワンピースで登場。縷縷夢兎のでんぱ組.inc衣装を思い出させる、今時っぽい衣装。ミックスの入れやすいアイドルっぽいピコピコした曲で、「こりゃ、どっかのカバーだな」と思ったら、わーすたの「いぬねこ」という曲だったらしい。

2曲目からしゅがーしゅららちゃんが入ってO'CHAWANZの持ち歌へ。ららちゃんもボレロがかわいいシフォン素材の衣装で、校庭カメラガール(コウテカ)での長女感とも、O'CHAWANZでのお嬢様感ともちょっと違った雰囲気。

O'CHAWANZになってからは一度しか現場に足を運んでいなかったので、あまり現場の空気に明るくないこともあり、後方でステージとフロアを見守る。持ち歌が日常生活のちょっとした愚痴を明るく歌いあげたり、自分の街への愛情を歌う曲なので、ステージもフロアもカラッと明るく盛りあがる。

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いつのまにかコウテカのリーダーだった、もるももるちゃんや校庭カメラギャルのラミタタラッタちゃんも来ていて、グループや運営は変わっても続く縁にちょっとうれしくなる。

持ち歌が少ないので5曲で終了。アンコールからは赤いチェックのワンピースに着替えたれめるちゃんが楽譜台を抱えて登場。ちょっと緊張した面持ちでYUKIのハローグッバイを歌い上げた。

そこから、ららちゃんが加わってのMC。アイドルになる前の何者でもない自分と、なってからの自分の話。校庭カメラガールツヴァイから、O'CHAWANZになった時の話。そして、やめることを決めてからの、ららちゃんへの感謝の言葉。

「ふたりでファミレスで泣いたよね~~」と言い交わす姿に、お互いの信頼関係を見て柔らかい気持ちになる。 

そんなMC明けの曲は校庭カメラガールの名曲「Unchanging end Roll」。

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懐かしいイントロにフロアがわーっと盛りあがる。この曲はコウテカでは数少ない決まったフリのある曲で、サビの部分のピースを作って手を右に左に動かす動作にノスタルジーを感じてしまった。

れめるちゃんから、「この曲が最初に落ちサビをもらった思い出の曲。『あさはかな希望を未来へ』が言えなくて、プロデューサーのJasさんに言われて公園でそのバースだけを2時間以上練習した」という話が。おお……。やっぱりコウテカ厳しかったんだな。

「どうしても歌いたくて、Jasさんに連絡したらいいよって言われたから歌いました!」

合間に抽選会を挟んでから、「今日はみんなに楽しんでもらいたくていっぱいいろいろ考えたんだけど、あれもこれも失敗しちゃって……。最後までポンコツでした」という正直な吐露から、最後はイントロのピアノが印象的なオツカレサマで〆。

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自身で手作りした衣装に会場装飾、店内BGM。彼女なりのもてなしの努力も進行の緩さで何となくしまらない感じで終わっていたけど、それを見守るアイドル仲間やオタクの表情も含めて、飾らないれめるちゃんの人柄が伝わる内容だった。

しかし、雑談しながら特典会の様子を眺めているうちにチェキ券を買いそびれて、最後の挨拶に行けず……。無慈悲! 仕方なしにフロアの扉を開けると、バーカンでなんだか可愛い女の子が手を振っている。「無銭で手を振ってくれるようなアイドルいたかな?」と思ったら24時からのイベント「おとなの時間」に「もつ酢飯」として登壇するワッショイサンバちゃんとムノウちゃんだった。

ふたりがチェキを撮るO'CHAWANZを「可愛い、可愛い」と言っていたのを見て、うれしいようなむずかゆいような不思議な気分になる。

次のイベントの開始まで阿佐ヶ谷ロフトの入り口で雑談。猫まみれ太郎&MCランプのユニット「おっぱいズ」のCDがセルラ伊藤さんのお友達に手渡される様子を見守ったり、当日の送り出しのためにいろいろ準備していたれめるTOのじむじむくんと、何となくの今後の話をしたりした。じむじむくん、お疲れ様でした。応援している人の花道の手助けが出来る人はかっこいいよ!

「おとなの時間」の開場時間が近づき、客がロフトの階段に並ぶ。すっとJasさんが階段をあがって行くのを見た。フロアでは見かけなかったけれど、来ていたんだ。そのすぐ後にららちゃんとれめるちゃんが荷物を抱えて出てきたので、「お疲れ様」を伝えると、れめるちゃんが「またね!」と答えた。彼女は「引退」という表現を使っていたから、おそらくステージで会うことはないのだろうけど、「またね!」。

オツカレサマ

オツカレサマ

 

 

MC松島Presents 「おとなの時間」8月11日

 

中に入るとMC松島さんがスクリーンに向かって文字を打ち込んでいる。どうやら何かリリックを書いているようだ。

リリックの内容はたわいもないもので、何について歌っていたかもよく覚えていない。しかし、手際よく韻が踏まれていき、松島さんがスタッフと話し、PCをいじっているうちに、いつの間にか1曲入りのCD-Rが1枚できあがっていた。

それをその場で売り出す松島さん。何名かが挙手する。「1000円で買う」という人が大半の中、「1万円!」と言い出すアイドルネッサンスTシャツの人がいたが、良心的に「税込1000円でじゃんけん」させる松島さん。結局MC松島ファンの青年が勝ち取っていった。

 

この日は「MC松島酒おごり券」システムが導入されていて、「物販を買うと必ずMC松島のおごりによってドリンクチケットが提供される」ことになっていた。その場の偉い人が酒をおごるってヒップホップっぽいな。

30分でラッパーになるコーナーが終わり、大喜利の時間へ。イベンターとしても優秀で、かつて主催イベントにトウキョウトガリネズミクルーを呼んだラッパーのTUMAくんが司会を担当。

お題は
晋平太の10枚目のアルバムのタイトルは?
毎日パンチラインで使われなかったパンチライン
お題で韻を踏んでください。
など、ラップに関係のあることから、「何の関係もない写真や画像で一言」などいろいろ。

個人的に印象に残ったのはムノウちゃんの「プロポーズされたらゼクシィで韻を踏む」の「プロポーズされたらゼクシィ ふと我に返ると別に…」。

そして、大喜利では外しまくり、バツゲームで激辛チュリソーを食べることになるも、リアクションも地味なため、自ら「これでもウケを狙えないボクっていう……」という自虐を炸裂させるAmaterasくん。「最後に笑ってください」というAmaterasくんを「かわいいAmaterasに拍手~~!」とさばくTUMAくんにちょっとほのぼの。

お次はMC正社員×MC松島の対談。

個人的には松島さんの「いつかMCバトルはテレビでやると思ってたから、テレビに出た時に強いスタイルを考えていた(しかしなかなかテレビに呼ばれない)」「全部作り話のMCバトル番組をやりたい」という話が印象的。

正社員さんの「俺に媚びをうったからといってテレビには出られないから!」という主張が生々しかった。

お次はMC松島対ラッパー30名による「30人組手」。「みんな立って前に来てください」という呼びかけに答えて集まるお客さんたち。「すごいね。こんなに素直に言うこと聞くお客さんいないよ」という松島さんに、「今のMCバトルのお客さんは聞くんですよ」という正社員さんの答えがなんだか頭に残った。

最初はわりとバトル慣れしていないMC松島ファンが中心で、ベタなdisをスカされて終わりというパターンが続いたけれど、途中から松島さんに疲れが見え始めてきて、SAMさんなどうまいラッパーに負かされる場面も出てきた。こりゃ大変だなと思っていたら、いつの間にか寝落ちており、目が覚めたらBATTLE手裏剣&SAM×MC松島&MC正社員のバトルが終わりを迎えていた……。ステージの上にはなぜか10人くらいのラッパーが登壇して4人のバトルを見守っていて、いったい何があったのか。

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ぼんやりしながらいったん人のはけたステージを眺めていると、DJで「あめとかんむり」のi knowがかかって目が覚める。「あめとかんむり」は、直前のイベントの主役・のんのんれめるちゃんが所属していたtapestok recordsによるプロジェクトだ。ハウスミュージックにラップを乗せた、夜の静けさによくあうけだるさの曲を作っている。

歌い手は元校庭カメラガールのリーダー、つまり元アイドルラッパーのもるももる。

O'CHAWANZイベント直後に、クラブミュージック好きのドルオタのAさんが話していた「アイドルラップがアイドルラップのまま、ヒップホップに新しい風を吹かすのが見たかった」という話に首肯していたので、はっとする。

アイドルという形式では遠くに届かなかったtapestok recordsの音楽が、少しだけれどラップの現場に流れ込むことが出来たような気がして、本当にささやかな事なのだけど、うれしかった。

Aさんとは「ヒップホップにおける性差別について」も話していたので、それがゲイ・ディスコを由来とするハウスに乗るラップだったことも。

Jasさん、ハウス好きのAさん。「あめとかんむり」流れてましたよ。


i know / あめとかんむり

 

lie night

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  • あめとかんむり
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  • ¥250
i know

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summer time

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  • エレクトロニック
  • ¥250

さて、お次はもつ酢飯と田島ハルコさんのトーク

サンバちゃんの昔の彼氏のコスプレプレイの話からPV撮影の裏話まで。

田島ハルコさんの「『But、無理 is よくない』のリリックはサンバちゃんの方が根底に闇を抱えてる感じがある。ムノウちゃんのパートでちょっと気が軽くなる。そのバランスが重要」という話に、ムノウちゃんが「実は私の方がちゃらんぽらんなんですよね、ハハ」と答えていたのが何だかよかった。

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ライブのセットリストは

もつ酢飯のテーマ
新曲 服屋WARS(表記不明)
But、無理isよくない

服屋WARSはブラック・リフレクションに引き続き服選びのしょっぱい思い出ソング。聴き比べると、言葉のはめ方がうまくなってるなと思う。そして、もつ酢飯のテーマはいつ聴いてもいい曲!

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お次は田島ハルコさんのライブ。

1曲目はとまどい気味だったように思えたけど、2曲目からスイッチが入ったように自分の世界を作っていく姿がさすがだった。ラッパーではないけど、歌唱法はラップを取り入れていて、トラックはキュートなのに、歌詞は屈託にあふれている。ちょっとたまや小劇場演劇を思わせる部分もあり。声の表情の作り方が演劇的だからそう思ったのかもしれない。

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変なダンスを泣きながら

変なダンスを泣きながら

  • 田島ハルコ
  • エレクトロニック
  • ¥150

このあたりから記憶が途切れ途切れなのだが、マジシャンの格好したMC松島が「ライミングマジシャン」のPV撮影のために客に協力を求める姿と、Amaterasくんが「君の名は」を「あんな映画はクソです」と言ったのは覚えている。Amateras×MC松島の映画「カーズ」話は面白そうだったのに、すっかり寝落ちていてその後のAmaterasくんのライブも見逃してしまったのが残念。

最後はサンバちゃんの一本締めで場を締めて撤収したような記憶がうっすらある。カクニケンスケくんにあいさつし、松島さんに感謝を伝えて外に出る。松島さんは最初から最後まで「MC松島」で、ゆるいイベントなのに、そのゆるさを味だと納得させる。登壇者にもフロアにも無理をさせない優しい内輪だ。疲れていてまわりの人とあまり話せなかったのだけがもったいなかった。

外に出ると青年たちが、阿佐ヶ谷の商店街で早朝のサイファーに興じていた。

 

360 Kick Flip

360 Kick Flip

 

 

messy/wezzyにCINDERELLA MCBATTLEについての記事が掲載されました

女性向け情報サイトmessyおよびwezzyにCINDERELLA MCBATTLEについての記事を掲載していただきました。

勝手に送りつけた原稿を採用していただき、第2回のレポも書かせていただいた編集部に感謝です。本当にありがとうございました!

mess-y.com

wezz-y.com

大学生ラップ選手権の頃からずっと「女性がバトルに出ること」「日本語ラップにおける女性の現状」について考え続けていたので、とりあえず言葉に出来て一息つけました。ただ、正直あまり読まれなかったので、今度からは、もう少し「これは自分事である」と思えるようなフックを用意しなくてはいけないなと。課題多し。あと、これはあくまでイベントレポートなのですが、いつか現場でのセクハラについて有効な形で書ける日が来るといいなあと。

hontuma4262.hatenablog.com

ヒップホップのホモフォビアとか女性差別に関しては、瞬間的な炎上は何度か見たけど、あんまりちゃんと言葉にされていないと思うんですよね。ネットで見たもので首肯できたのは下の2つくらいかなあ。勉強足りてないと思うので、WEB紙問わず読むべきものがあったら教えて下さい。

realsound.jp

realsound.jp

ネットで大企業の広告とかを批判してる女性も、自分の好きなラッパーの性差別発言はスルーしがちだし。一方で叩きやすい人のことをことさら悪く言ったりもするのがまたよくない。相手によって対応変えちゃったら、フェミニズムが思想じゃなくてファッションか仲間作りのためのタグになっちゃうじゃないですか。

逆にちゃんと批判する人は自分の好きなラッパーだけを追いかけていくようになって、現場にあまり興味を持たなくなっていく傾向があるような。

私は私で自分の興味の持てる現場のことしか話せないんですが、それでも「何が起こっているか」そして「どうあるべきか」ってのは、これからも書いていきたいなと思います。

って、あー真面目だな……。こういうところが入り口を狭めているのかな。まあ、いろいろがんばろうと思います。

バトルDJは新しい音楽を作っているのだと今更知ったという話

ヒップホップのライブに行くとたまにDJのアピールタイムが用意されていて、MCに「○○のテクを見てくれ!」というようなことを言われるのだけど、それを面白いと思えたことはあまりなかった。音楽というより曲芸に見えていたからだ。「押せば音が出るものを操っているのだから、人の手で弾いたり叩いたりするものより簡単」という印象を持っていたからもあるだろう。しかし、それは間違いだったことがDOMMUNE配信のless than TV特集でのロベルト吉野を見てわかった。

1時間弱のDJ。たぶん最初はless then TVゆかりのアーティストの曲を流してつないでいたのだと思う。原曲のメロディーが把握できる前半は「なるほど」と思いながらのんびり見ていたのだけど、途中からガンガンスクラッチやジャグリングが入り始め、曲の輪郭がどんどん姿を消していって、音のひとつひとつが厚みのあるノイズ音のようになってくる。その音をさらに擦って叩いて止めて……。レコードから流れる音を一度自分のものにして、再度落とし込んでいく。

DJの手によって引きちぎられた音が与える印象は、まるでノイズミュージックやフリージャズのようだ。というか、音の原型が見えない箇所だけ取り出して聞かせたら、ノイズミュージックだと思う人多いんじゃないか。それなのに、トータルでは聴いていてワクワクするような一つの音のうねりになっている。画面に映るレコードを操る演者の手はものすごいハイスピードで、もはや情報に目がついていかない。

そっか、バトルDJってこういうことやってるのか。これはすごい、すごいな!

だって、使ってるレコードに刻まれた音は1枚1枚違うのに、それをつないでひとつの流れにしながら、自分の手で音を作り変えて新しい音楽を作ってるってことだよね? どういう頭の構造をしているとそんなことができるんだ。


しかも、ノイズミュージックやフリージャズって書いたけど、そういう音楽と違ってレコードをかけ間違えたり、ジャグリングをミスったりしたらズレて音が破綻してしまうやつじゃないか。やっていることは極めて緻密なのに、音を再構築する過程はどこか暴力的でもあって、これはめちゃくちゃ面白い。

疾走感のある構成の中にいきなり水戸黄門のテーマを入れたり、目隠ししてスクラッチしだすロベルト吉野のファニーさも含めて観たことないものを観た感が半端ない。ツイッターDOMMUNEハッシュタグに「ロ吉のDJはアート」って書いている人がいたけど、わかる。芸術の本質は新しい驚きを与えてくれることだもんな。ユニットでは、年齢性別選ばず多くの人が楽しめるフレンドリーなライブを指向してるなのに、ソロだと前衛寄りになるのも面白い。

最後は汗をダラダラ流しながらフリースタイル、いや叫びだな。

「最近、マイク持っても頭の中が真っ白になって失語症みたいになってしまう。俺の周りには片目が見えなくなったやつとか、脳卒中になったやつとかいるけど……。こういうことをずっと続けていきたい」

「『来る日も来る日も壁に向かって擦る レコードが泣く』(ZZBBQ)このバースを最初に上野に見せた時、『お前壁に向かってオナニーしてんのか』って言われたけど。……レコードだよ」

あ~~、〆のMCも完璧だな~~。

いやいや、しかし、これはDMC本選でいろんなDJのプレイを観たくなる。たまにツイッターの10~120秒の動画で見て、気になってはいたんだけど。新たに調べなくてはいけないものが増えるのは幸せだ。

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なんかいい動画がないかと思って探したけど、ニュアンスが近いものがこれくらいしかなかった……。こんな感じのテンションが30分以上続いたら、そりゃ舌も回らなくなるよな。

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こっちはDMC2016

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タイトル通り。バトルDJあるあるとして「変態と思われる」「負けてやさぐれて全裸で走る」などが出てきて笑えます。

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「来る日も来る日も壁に向かって擦る レコードが泣く」というのはこの曲のバース。

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DMC JAPAN DJ CHAMPIONSHIP 2015 FINAL  supported by KANGOL [DVD]

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校庭カメラギャル 1st oneman live ”Kick Clap” @下北沢SHELTER

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校庭カメラギャルのワンマンは6月7日、初夏だった。

校庭カメラガールのワンマンが12月18日で、ましゅりどますてぃの卒業ライブ。校庭カメラガールツヴァイのワンマンが1月13日で解散ライブ。今回はtapestokrecordsにとって初めてのお別れじゃないワンマン。ゆるっとした気持ちで、でも集客に対する不安はうっすら感じながら現場へ。

 

フロアに降りると開始10分前くらいでだいたい6割くらいの入り。最終的に8割くらいは入っていたけど、ちょっとヒヤッとする。客入りがどうとか心配しながら見るの、演者に失礼だとは思うんだけどやめられない……。

 

初披露のイントロから、デビュー曲の「ボビーとシャンパン」へ。2人の調子がいいことが、始まってすぐわかる。生で聴いてるから冷静になれていないところもあるだろうけど、音源よりずいぶんよくなっていて、音源しか聴いていない人にウテギャを判断されてしまうのはもったいないと思うくらいだった。

フックの「ゲマイセルバッ」は「Get myself back」かな。ウテギャの2人が、コウテカから移籍する形で新しいグループを始めたことにかけているのかも。

お次の「第三段階はじめるよー」は、ビートジャック。持ち曲3~5曲くらいの状態が何か月も続いた後、やっと曲が増え始めて、客をアゲることができるようになってからの曲だ。噛みしめるように「人の書いたリリックでどう表現するか この声は紛れもなく私の声だ」と歌うぱたこの声が沁みる。

 

「チルチルイキル」から「ウインターギャル」「Puppet Rapper」へ。焦燥感のあるリリックと、ピアノの音が印象的なけだるいビートの「チルチルイキル」から、アカペラはじまりの「ウインターギャル」につないで、校庭カメラガールのアッパーチューン「Puppet Rapper」へ。プロデューサー兼DJのJasさんによる切れ目ないつなぎが気持ちいい。

 

MCを挟んでからも「ギャルトマホーク(ビートジャック)」「ギャルライフ」「ギャルバーガー」「ギャルライフ~お風呂マットは大事~」「全然分かってないくせに分かってるぶってるおじさんウザい」の順で無意味な歌詞のアゲ曲の連発。後方から見るとフロアが2人の声と動きを追いかけて一体化していくのがよくわかったし、「ギャルバーガー」での手拍子の騒がしさもなんだか感動的だった。

 

何度か書いたけど、ウテギャの曲はリリックにしろビートにしろ決してオタクフレンドリーじゃない。攻撃的なリリックに起伏の少ない、物語性の薄いビート。構造からしていわゆるパーティーチューン的な陽気さは全然ない。

フロアに熱量を与えているのは、2人のひたすら献身的で、ちょっとヤケクソ気味のラップだ。結成当初の、ヒップホップごっこだった頃から考えるとすごい進化で、ちょっと感慨深くなってしまった。フロアの対応力が高いのは、動画撮影可にしたことでノリ方が共有できているからもあるかも。

「おじさんウザい」で、シェルターの柵に登って天井をつかむぱたちゃん。普段はそんなに暴れるタイプでもないので、気持ちがたかぶってたんだろうな。

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アゲ曲連発終わって、休日の2人の心境を歌うようなゆったりした曲「ストレイトギャルストーリー」へ。ファン有志が配った真っ白いサイリウムが炊かれる。あまりやらない曲なので、最初はフロアが「あれ?この曲で炊けばいいんだっけ?」という反応だったのがおかしかった。

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MCでは「ウテギャの曲はサイリウム似合わないと思ってたんで、すごい嬉しいです」「ねー、うれしいー」と、言いながらしみじみ顔を見合わせる2人。企画者じゃないけど、こういう話を聞けると、ほっとする。

 

「最初の3、4か月は曲も3曲くらいしかなくて、もちろんオリジナル曲をもらえるだけでありがたいことなんですけど」「ワンマンもやらせていただいて」という謙虚なMCから、いきなり「餃子が食べたい」という話になり、「チルチルイキル」の餃子リミックス(?)。ケンホーさんがあげてくれたセトリからすると、音楽的にはフューチャーハウスでいいのかな? 2人が挑戦的な顔をしながらどんどん客をあおり、それに合わせてフロアがガンガン盛り上がっていく。その熱量そのままに、ミクスチャーロックの「ギャルウォッシュ」から、ぱたこの動きが過剰な「みんないい人だって言ってるけど実際はあいつサイコパスだしヤバい」。そして、「ギャルドリーム」。

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ギャルドリーム」はウテギャの精神的転機になった曲だと思っていて、「絶対ライブに来てくださいとか 自分の夢なのに 結局人頼み」とか「涙の数だけ強くなれるなら 弱いままでいいから ずっと笑っていよう」というリリックを吐き出すように歌った新宿Loftでのライブは忘れられない。ウテギャの2人がどういう子なのかがこの曲を通してはっきり伝わる。あの頃とトラックは全然違うけれど。

 

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ギャルドリーム」終わって、2人がはける。「あの曲、まだやっていないよね」というざわめきから引き出されるアンコール。

再び登場した2人はNas is likeのビートジャックの「ボビーとシャンパン」からスタート。そして、「GO!ギャル」へ。バンドサウンドで乗りやすい曲だからワーッと盛り上がるのはわかっていたんだけど、ステージの2人が本当に満面の笑みで歌っていて、そこにグッときた。やっぱりアイドルは笑顔だな……。

 

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MCで
「今日はありがとうございます
来てくれてありがとう!
ライブ見に来てくれてありがとう!
いつも見てくれてありがとう!
踊ってくれてありがとう!
名前呼んでくれてありがとう!」
と叫んでから、「大好きなみんなと最後一緒に踊りたいと思います」からの、「その程度」!

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フックの「ラミタタラッタとパタコアンドパタコ 今はこの2人だ 輝いてやるぜ」は何度も聴いたバースだけど、この日はひときわ強く響いた。

一体化するフロアに押し出され、「これで最後ですからね」という前置きとともに3回のアンコールがあって、オタクによる花束贈呈とのぼりの掲出から写真撮影。

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正直、ウテギャの挑発的な曲の中には好きになれないものもある。まだ2人のラップのパターンが少ないから、単調に感じる時もある。それでも定期的に観ていたのは、2人のがむしゃらさが何かを獲得するところを観たかったというのがあると思う。

だから、ワンマンがアイドルライブとして正しくハッピーに、そして力強く終わったことにシンプルに感動したし、最後のチェキ撮影まで、今までで一番いい顔をしていた2人を祝福したい気分だった。

 

でも、正直もっと行けるだろっていう気持ちもあって、それがもっと色んなテーマの曲を増やしてほしいということなのか。(16曲あって恋愛がテーマと明確に言い切れるものがひとつもないのもアイドルとしては珍しい。それが悪いとは言わないが、もっといろんな表情を見たい欲はある)メンバーに自分でリリックを書いてもらって、表現者としてステップアップしてほしいということなのか。もうちょっとラップに緩急をつけてライブの流れをコントロールできるようになってほしいということなのか。売れるための売り込みをがんばってほしいということなのか、自分でもよくわからない。……いや、全部かな。

 

細かいことはともかく、ただ後悔のないよう走ってほしいし、そのためにはそれぞれがやれることはやりきってほしいなとも思った。

 

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スマイル・アゲイン

スマイル・アゲイン

 

 

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最近観た映画(牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件、オクジャ、ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣)

そんな最近でもないか……。備忘録。

 

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

なぜか知らないけれど、見終わった後に手がブルブル震えていた。

この映画はある種の極限状態に陥った人間を美しく撮っており、そこかしこに暴力が発生する。そういった表現は多くの場合逆説的に生命力にあふれた画を作り出すものだけど、クーリンチェではなぜか玉虫の羽をむしり取るさまを見せられているような、昆虫を観察するかのような距離で描く残酷さがあって気持ちが擦り切れた。

露悪的ではないのに、目を覆いたくなるような残酷さがあって、そここそがいちいち研ぎ澄まされていて美しい。印象的なのは、ショッキングな場面や表情から常に少し距離を撮るカメラワーク。過剰な人物への没入を許さないからこその美しさなのかもしれない。台湾の湿度が、夜をとても滑らかに、時に万華鏡のようにきらびやかに見せていた。私は時代に翻弄される知識人として登場する主人公の父親に感情移入していて、こういう状況で子供を守ることと自分の信条を守ることを両立させられるだろうかとずっと考えていた。

 

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オクジャ

友人の当てたプレミアム試写会に同行。ネットフリックス出資作で、基本ネトフリ配信のため、映画館での上映は今のところこの日だけだったとか。

最初に監督と主演の女の子、そして香川照之となんか子役の女の子が出てきて記者会見をしていて、「このぬるい茶番ヤバくないすか」と映画好きの友人に言ったら「いや、これは映画の話をしているからちゃんとしてる方ですよ」と言われてびっくり。たしかにハイテンションでヤバかった香川照之も、子役の女の子も映画の話はしてたけど……。

映画のほうは女の子の表情の強さがすごかった。物語はびっくりするほどシンプルだったけど、前半のガラス戸に体当たりする場面とトラックを追いかける場面で元は取れる(タダで見たけど)。CGで動く巨大豚・オクジャのクオリティの高さにちょっとぞっとした。

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ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

天才バレエダンサーの道程を描くストレートなドキュメンタリー。私の周りというか、大多数の観客はポルーニンの美しさに心を奪われていると思うのだけど、私はポルーニンの母に心を奪われていた。

母はウクライナの貧しい家庭に生まれおちた息子の才能を開花させるため、ポルーニンのイギリス留学を決行するのだが、その資金を捻出するために祖母・父は外国に出稼ぎに行き、家族はバラバラになってしまう。結局、両親は離婚してしまい、「自分がバレリーナとして大成することが家族のためになる」と信じてイギリスで孤独に耐えていたポルーニンの心に大きな穴をあけることになる。

その後、ポルーニンはスター・プリンシパルとして活躍するも、コカインを打ち、タトゥーを入れ、自堕落な生活を送り、イギリス、ロシア、アメリカと居を転々とする。

母と再会した際、ポルーニンは「母のせいで家族が離散する羽目になった」という趣旨のことを言うが、その言葉に対して母は「人生の責任を果たしただけ」という。

自分たちと同じような人生を歩ませたくない。そして、この才能を埋もれさせたくないという気持ちから、身を粉にして働いていた母親。そして、そんな母の決断のために苦闘する息子。

自分が生まれた意味を、息子を育てることに全振りしている姿はだいぶ不気味でもあるのだけど、ロイヤルバレエ団最年少プリンシパルを産んだ女性にとっては、これは天から授かったやりとげなければいけない仕事であり、その思い込みが「人生の責任」という言葉を引き出したのだろう。気持ちはわかる。自分の生に価値を感じることの喜びというのは確実にあるし、市井の人として生きるのではなく、可能性に向かって進んでいく生を息子に送ってほしいという気持ちは否定できない。

あとは、ロシアの演出家の「思い切り踊れるのは若いうちだけ」という言葉が印象に残った。身体表現はやっぱり期限付きなのか。ロシアにはバレエのバラエティ番組があるというのもびっくり。

ドキュメンタリーとしては意外性のある画がまったくない物足りなさや、説明のためのカットしかない単調さはあったけれど、それなりに面白かった。

 


Bunkamuraル・シネマ7/15(土)よりロードショー「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」予告編

 

セルゲイ・ポルーニン写真集 The Beginning of a Journey: Project Polunin

セルゲイ・ポルーニン写真集 The Beginning of a Journey: Project Polunin

 

 

松村早希子個展「原宿アイドル標本箱」@marienkafer 6月30日

蛍光色のジュースや鮮やかな棒付きキャンデー、二・三度着たら壊れそうなかわいい洋服、甘いクレープのにおい。原宿・竹下通りには、甘ったるくて役に立たない、おもちゃみたいなものしか置いてない。

 
そのあまりにも堂々とした無意味さの輝きになんだかワクワクしてしまった。
 
松村早希子さんの個展会場、marienkaferは竹下通りからひとつ折れたところにあった。薄い蛍光色がそこかしこに張り付いた通りから、少し曲がっただけで灰色のコンクリが目立つ普通の通りが姿をあらわす。
 
会場は古着やアクセサリー、オリジナルのグッズも販売している小さなショップ。入口入ってすぐの壁に、アイドルたちを描いた、たくさんの作品が飾られていた。机の上には標本箱。箱の中の絵をピンセットで一枚ずつつまみあげて眺める。
 
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松村さんのことは、最初ライムベリーのイラストを描いている人として知ったと思う。
 
こぼれ落ちそうなくらい黒目が大きい目と、控えめな口の表情。マンガ的なフレームにはめこむわけでなく、かと言って写実的でもない。自身が感じとったものをそのまま紙に落とし込んだような媚のない絵。でも、ちゃんと似ている。
 
躍動感はないけど、その分ずっとその人が絵の中に座っているような存在感がある。
 
不敵な表情の3776の井出ちよのちゃんや、遠くを見つめるような目のamiinAのamiちゃんとmiyuちゃん。あるいは、物憂げな目の蒼波純ちゃん。さまざまな女の子達の姿が絵の中に収められている。
 
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アイドルを見ている時期がかぶるから、描かれている女の子たちの7割くらいは懐かしい気持ちで見た。参考にしたのがどの写真かわかるものもある。変わってしまったグループもあれば、表舞台からいなくなった子もいる。
 
ライムベリーのMCMIRIちゃんの黒髪デコ出しボブから金髪ショートカットまでの変遷も、壁と箱とに収められていた。くわしくは書かないが、MIRIちゃんにはちゃんと笑えてない時期があったと思う。「思う」というのは、私は現場で直接それを見ていたわけではないからだ。
 
でも、松村さんはちゃんとMIRIちゃんのことを見に行っていて、その時々の彼女を描いている。
 
だから、標本箱の中には金髪ショートのMIRIちゃんが、目を細めて笑う絵もあった。
 
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松村さんの絵は、彼女が自ら「ヘンリー・ダーガー」への親近感を語ったように、極めて個人的な印象を受ける。でも、そのどれにも穏やかな祝福の気持ちが込められているので、見ているこっちも気持ちが柔らかくなるのだ。
 
無意味なものばかりの街で見る、はたから見れば無意味な、たくさんの女の子たちへの愛情表現。
 
会期終了最後の1時間にお邪魔したので、ドルオタ・松村さんの親族・お友達が入り乱れて、でも、うるさく感じないくらいのにぎやかな空気を作っていた。
 
 ***大量に撮ったのですが、載せきれないので少しだけ***
 
中では枚数多くなかったのですが、校庭カメラガールツヴァイラストライブ後、ブレッツで松村さんが描いていた絵を見せて頂いたのを思い出しました。
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校庭カメラギャル。ぱたちゃんのふくふく感。
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3776こと井出ちよの様!
この絵に一番惹かれました。
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里咲りさちゃんは見た目ふわふわだけどいつもかっこいい。
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カミヤサキちゃん、「サキ様」感。

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amiina最後のライブの日を描いた絵。このライブ楽しかったな。 
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そして、肝心の笑っているMIRIちゃんの絵を撮り忘れました……。
 
あ、松村さんのRealSoundでの連載の原画もありました。
リンク張りきれないので、思い入れの深い演者が出ているものを。