ホンのつまみぐい

誤字脱字・事実誤認など遠慮なくご指摘ください。

アトムの遺伝子を感じる人体改造もの「錆のゆめ」(久間よよよ)

観測の範囲でないので正確な時期はわからないが、男性向けエロマンガとBLが表現においてどんどん重なり合ってきているというのは何となくでも伝わってきていた。

 

重なり合うというのはおかしいか。男が考えつくようなエロに女だって興奮するし、なんなら自分でも描くということだ。
 
だから、人体改造BLマンガ「錆のゆめ」が商業出版物として刊行されているのを見た時は、女性向けでもこういうものが出るようになったのかという驚きがあった。私はショタにも商業BLにも全く明るくないので、先行する例があったら申し訳ないのだけど。
 

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巨大な機械の手に半裸にブーツという奇妙な姿のかわいらしい少年。彼は妹の進学のために資産家のセクサロイドになることを決意し、白痴の異形に改造されたという過去を持つ。この気の毒な少年の世話役を引き受ける進藤という男の視点で話は進む。
 
男性向けエロマンガでは、メジャーではないものの「人体改造」は古典的なテーマという印象があるし、セックスで白痴化する人間はエロ&BL問わず定番ネタ。
 
ただ、エロマンガ(ポルノグラフィティ)ではどのような性暴力も飛躍したフィクションとして受け取れるのだけど、錆のゆめはポルノと物語の狭間にあって、これがこちらの感情を揺らすのだ。
 
カタコトでしか話せず、考える力も奪われた少年は、進藤が世話をするうちに少しずつ意思や思考する力を取り戻していく。2歳児が4歳児になるようなゆるやかな回復の中で、少年は元に戻った体で進藤に愛される夢を見る。この幸福な夢の様子がなんとも切なくて哀しく、こちらの胸を打つ。
 
一方で、彼の造形はどこからどう見ても「かわいそうなところがかわいくてエッチ」なように描いてあるのだ。
 
小さな耳に、頭に意味もなく施されたベルト。そして機械の手に編み上げのロングブーツで、性的に搾取される続ける少年の姿は悲惨なのだけど、一方でその姿は嗜虐心を誘うし、喘ぐ姿も眠る姿も、かわいくてえっちとしか形容しようがない。
 
悲惨な境遇の少年に萌えてしまう罪悪感と悪趣味な設定に対する胸糞悪さがブレンドされ、見てしまったからにはその後を見届けなくてはという気持ちにさせられてしまう。タチが悪いが引きは強い。そして、マンガらしい飛躍を活かした作品だと思う。
 
ところで、少年のデザインを見て何かを思い出す人はいないだろうか。ピンと立った耳、黒髪短髪、広いおデコ。
 
そう、これはかつて浦沢直樹手塚治虫鉄腕アトムの二次創作物として描いたPLUTOでのアトムとそっくりなのだ。
 

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そうやってさかのぼってみると、少年の半裸に編み上げのロングブーツというフェティッシュなデザインにも、アトムから受け継いだフェチズムを見てとることが出来る。
 
これも間違いなく手塚治虫の遺伝子のタネだ。
 
最後に一言。これはBLなのでおそらくハッピーエンドを目指すのだと思うし、個人的にはそれを願っているけど、多くのエロマンガのようになんの救いもなく終わり、消費されてしまってもよいと思う。撃てない銃を撃つために、殴れない相手を殴るために、出来ない不貞を満喫するためにフィクションを利用するのは責められるようなことではないからだ。
 
フェミニストがBLやエロマンガ、二次創作物において、彼ら彼女らの政治性や倫理観では、本来とても了解されないはずの保守的な物語を消費しているのもよくあることだしね。もちろん「良い子はマネしちゃダメ」が前提だけど。
 
追記:ちなみに本作は「BLってこの程度でいいんだ」って思わせる終わり方をしたの、私の中でなかったことになってますが、とりあえず文章そのものは残しておきます。
錆のゆめ 上 (Canna Comics)

錆のゆめ 上 (Canna Comics)

 

 

 

PLUTO (2) (ビッグコミックス)

PLUTO (2) (ビッグコミックス)

 

 

名付けようのない時間を定着させる「家族最後の日の写真」植本一子写真展@Nidi gallery

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展覧会タイトルの元になっている書籍はまだ読んでいない。

 
石田家の日常と、病院での日々と、植本さんの日々。
 
食道がんで入退院を繰り返しているという今のECDは、私の父がガンで亡くなった年齢と近い。
 
泣くかと思ったけど、一枚で情動の引き鉄を引くような写真はなかった。マスクをつけたふたりの娘がベッドに横たわるECDを見ているところが唯一物語のある写真だろうか。懐かしい恐怖心がよみがえってきて、少し悲しくなった。
 
写真には撮影者と撮影対象の距離が映るというが、実際は定義しきれない対象との距離を客観視するためにシャッターを切ることもあるのではないか。
 
日常はかけがえがないとか、すばらしいとか後から定義するもので、その場には名付けようのない表情が存在する。そして、写真がそれを捉える。
 
最終日、植本一子さんが在廊。なぜか寺山修司のお面をつけながら、サインや会話に応じていた。 
 
ECDはどの写真でも、あの、何かをのぞきこんでいるような穏やかな目をしていた。
 

 

家族最後の日

家族最後の日

 

 

 

昭和元禄落語心中の最終回、キレた人の感想

ちょっと過程と結論を事細かに説明する気力はないのだが。

 
おいおい、与太郎の人生は八雲のための……。なんだこれ、噛ませ犬? 引き立て役? いろんな言葉が出て来ていずれにも当てはまるな。聖なる道化はたしかに便利だろうけど、これじゃ尻拭いするために作られた便利な人にしか見えないぞ。
 
こういういい話風の暴力が私は一番苦手なのだ。他人を侵害するなら殴り切ってくれ。「落語の世界は駄目な奴にだってちゃんと優しいんだ」って言うけど、そういうことじゃないだろ……。たとえ与太郎が全てを知っていたとしても、これ許しっつうより、死に逃げじゃないか?
 
私はこのマンガの芸に対する考え方とか好きだったよ。松田さんの使命感とかさ。だから結局盛り上がりが人間関係に集約されてしまって、芸の継承や変化の物語を描けていなかったのがつくづく残念だ。
 
作中、松田さんは与太郎を「無我 無欲 純然たる落語のための容れものだった 君は自分の想いを落語に託さないんだ」と評したけど、雲田さんは与太郎の器に便利な道化役以上の意味を与えられたのか?
 
与太郎がどんな落語を作り上げるのかが知りたかったのだけど、結局それはわからなかった。説明はしているが、わかるように描かれていなかったし、八雲や助六ほどの気合いも感じられなかった。
 
いや、遠回しな言い方になったな。雲田さんが八雲に萌えすぎてて、与太郎への関心の薄さがどうしても目に見えてしまう。物語上でも、とにかく生者は皆八雲を引き立てようとするから、与太郎の生も芸もすべて八雲を描くための書き割りに見えてしまう。
 
1巻が一番面白かった。悲しい。

 

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)

 

 

チンポジム vol.7&猫まみれサイファーに参加しました

チンポジム vol.7@渋谷

1月21日 18時〜21時
 
下ネタOK、サイファーありバトルありのスタジオ練習会。
 
カレー会&秋葉原サイファー&その他いろんなところから来た人々でスタジオがいっぱい。15人くらい?
 
何気に秋葉原サイファーのメンツとちゃんとサイファーするの初めてでしたが、みんな長くやってるだけあって上手かった。声の特徴も含めて、自分のスタイルを持ってる感じがしますね。あらいぐまさんの声の強さから出る迫力がすごい。
 
サイファーは「ラッパーでカードゲームを作る」話と「自分が使っている電車での思い出」話が盛り上がりました。
 
バトルは終始スタイルウォーズ。ポジムのバトルは基本テーマ選択ありのパンチラインカウント制ですが、面白いこと言った方が評価されるバトルはやっぱり見応えあるなと思いました。半年ぶりにバトル参加したけど、前回に引き続きキレ芸を披露してしまった……。
 
※お題制変則ルール「パンチ・ラインカウント制」を導入したMCバトル。先攻が提示された3つのお題の中から一つを選び、両者それに沿った話題(正直おもしろければあんまり沿ってなくてもいい…)でバトルする。審査員が「かっこいい」「おもしろい」「キモい」といった独断と偏見に基づいた基準で試合中のパンチ・ラインの数をカウントし、その合計数で勝敗を決める。
 
決勝戦のお題は刃牙。私には何を言っているのか全くわからなかったけど、言葉を交わす2人がとても盛り上がっていたのが印象的でした。
 
ぽじくんがその場の声を使ってビートを作るという面白いことをやっていました。飲み会もいろんな話が聞けて楽しかったです。
 
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猫まみれサイファー@新宿
1月24日 19時30分〜22時30分
 
 
先日惜しまれながら解散したガールズラップクルー・校庭カメラガールツヴァイのオタク主催のサイファー。
 
猫まみれ太郎 a.k.a 蓄電くんが新宿のスタジオを取ってくれました。
 
参加者はおおさわちゃん、猫まみれ太郎くん、こたろーくん、えっつんくん、ケンホーさん、じむじむくん。おおさわちゃん以外みんなコウテカのオタクでした。
 
サイファーメンバーが多かったので、ほんとにビートに乗って話したいだけ話す、ただの10〜40代しゃべり場でしたが楽しかったです。
 
「高校球児だったが今はうぉーうぉーとぅーみーのオタク」
「お前のその自慰行為 お前それでもBBOY」
というラインが面白かった。
 
ポジムの場合はビートメーカーのぽじくんやヘルガくんが持ち込んだ機材でビートを流しますが、今回は主に猫まみれくんがiPhoneに入れたインストおよびyoutubeのインスト曲でのサイファー。
 
コウテカのインストが入ると途中でカラオケになってしまい、おおさわちゃんを置いてけぼりにしてしまった。おおさわちゃん、ごめんね。ああ、カラオケボックスでコウテカの歌を歌う未来があってほしかった……。
 
猫まみれくんが「バトルに出たこともあるけど、disれなくていつも一回戦で負けちゃう」というので半ば無理やりバトルをやらせたら、だんだんと面白いdisり方が出てくるようになったことや、最初遠慮がちだったじむじむくんがだんだんノレるようになっていく様子が印象的でした。
 
あと、遠慮してdisってこない猫まみれくんに対し、自分も含めた女性陣が容赦ないこと言ってたのがひどかった。しかし、「そう、三次元のオタクは金がかかる \もう限界だー/」という引用出せたのが楽しかった。
 
サイファーもところ変わればで面白いですね。
 
その後の飲み会で、えっつんくんと猫まみれくんが2016年8月のガンダム前広場でのコウテカ2のイベントでサイファーをしていた男の子ふたりだったことを知りました。ラップアイドル現場でもオタがラップすることってそんなにないので、印象に残っていたのです。
 
えっつん&蓄電はおっぱいズというユニットを始動させるそう。ビートはDJケンホー。面白い曲が出来るの待ってますよ!
 
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MOROHAⅢ RELEASE TOUR MOROHA×STERUSS ×naf @厚木Thunder Snake 2016年12月4日

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かなり期待していた対バンでしたが、体調不良につき楽しみきれませんでした……。寒空の下、鎌倉の露店でビールとソーセージをかっくらってから映画を観て、そこからさらに本厚木に移動というスケジュールが祟ったのか。

 
会場は厚木サンダースネーク。小さめの箱でしたが、小田急通ってるとはいえ、本厚木なんてアクセスの悪い場所の箱が埋まっていたのは驚き。180人は来てたんじゃないでしょうか。
 
 
厚木の2ピースバンドという自己紹介からのライブ。いい声のボーカル&ギターと力強いドラムのコンビ。
 
「俺らも本当はそっち側だったんだけど、MOROHAが来るってんで無理矢理ぶち込んでもらいました」という熱いMC。音もちゃんと感情乗せてる印象。最後のドラムのズダダーン!!という音に「出し切った!」という安堵感を見ました。

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nostalgia

nostalgia

 

 

 
こっちの体調もあるけれど、正直熱量をあげるのに時間がかかっていた印象でした。直前のBELAMA2さんのツイートを思い出し、「やっぱり働きながらは大変なのかな」と思ったり。
でも、
 
crime6 37~38歳のMCが止まらずどんどん走り抜けるというテーマでやりました。
BELAMA2 固てえな~。
crime6 やっぱ固いかな?
BELAMA2 これだから日本の教育は……。
crime6 笑いがないとね。
BELAMA2 いいんじゃない? 人それぞれで。
 
というMCからのオールドルーキーという単語が入った新曲の流れは熱かったです。STERUSSには、これからも続けることの価値を証明し続けてほしい。
 
大時計のダンスが聴けたのも嬉しかった。地元補正もあると思うけど、地名を並べ立てて歌うの、地図をたどるような面白さがありますね。ラップの形式と相性いいと思う。
 
余談ですが「そごうの時計は踊ったまま」というライン。この時計とは横浜そごう入口の巨大なからくり時計のこと。かつては一時間ごとに、訪れる人の目を楽しませていたこの時計は2008年老朽化によりからくり時計としての稼働を停止しています。
 
私は「止まった時計を思う歌」かと思っていたのですが、実際は停止前に作られた歌なんですね。

zzsteruss.exblog.jp

 

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円鋭

円鋭

 

 

MOROHA
 
ラップのアフロにギターのUK。
 
アフロの声の聴き取り易さやくどいほどの熱量はMVからも感じ取れるのだけど、生で聴くとそのMCの饒舌さも含めて少年マンガの主人公のよう。新井英樹がジャケットを書いているのもよくわかる。
勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ
勝てなきゃ皆やめてくじゃないか
勝てなきゃ皆消えてくじゃないか
あらかじめ結論を歌っておいて「お前はどうだ?」と問う様には、自己完結的な部分も感じたのだけど、そのある種の堂々としたマッチョさも含めて聴き手の気持ちを引き上げる存在なのでしょう。
 
UKのギターの甘さがロマンチシズムを強調しつつ、うまく全体をコントロールしていたように思います。
 
最後は疲労でぐったりで、楽しかったかと言われるとノーですが、観られてよかったです。

 

MOROHA II

MOROHA II

 

 

校庭カメラガールツヴァイ最後のリリイベとLAST one-man live“Dazed and Confused”のこと

今回のブログは基本的に日記のつもりなので、個人的なことをけっこう書きました。ライブのところだけ字を大きくしていますので、お忙しい方はそこだけ読むのもありです。っても、目についた物をほぼ全部書いたのでめちゃくちゃ長いです。

11日(水)

新宿で校庭カメラガールツヴァイ最後のリリイベを見ました。
ののるるれめるちゃん、喉の不調によるドクターストップでお休み。もるももる、しゅがしゅらら、うぉーうぉーとぅーみーの3人編成。

うぉーうぉーとぅーみーちゃんは5日、6日、7日をインフルエンザで。もるももるちゃんも体調不良で6日、7日の夜の部を欠席。7日は校庭カメラギャルのラミタタラッタちゃん、パタコアンドパタコちゃんがピンチヒッターとして登場するというバタバタした一週間でした。
最後のリリイベというだけあって、さすがにいろいろな界隈の人が集まっていたようで、別現場で見た顔もちらほら。

れめるちゃんの歌パートは大体とぅーみーちゃん担当でした。

Where the Wild Things の

「僕らの体は遺伝子のただの器なの
優しさが芽生えたらエラーなの
生き物として」

のところ、れめるちゃんの話しかけるような感じと違い、声を伸ばす歌い方になっていてそれはそれでよかったです。いつも後ろで観ているからわからなかったけど、全身が映るモニターを通して観るららちゃんの動きが面白かった。もる・とぅーがロック・ヒップホップ調の手をかざしたり振り上げたりする動きなのに、ずっと小さくステップを踏み続けたり、手をひらひらさせたりしていて、なんかアニメのオープニング映像での女の子の動きみたい。でも顔も表情も大人っぽい。「この後に及んで発見することがあるものだなあ。ということは、推してる人しか知らない魅力がそれぞれにたくさんあるのだろうなあ」と、なんか感慨深くなりました。

最後のMCで「校庭カメラガールツヴァイには、もうひとり。小さくて、犬が好きでのびのび歌う女の子がいます」と、れめるちゃんを紹介するららちゃん。

ライブ終了後、有志の人たちが作っているメッセージチェキに参加。「オタクのことをチェキに撮り、チェキ裏にメンバーへのメッセージを書いてアルバムにして渡す」っていう地下アイドル的にはよくある企画なんですが、これ外から見ると不思議な文化だろうなあ……。最後のチェキ集めの機会ということで、人が入れ替わり立ち代り。4枚、4人分のメッセージをポスカで書き入れました。(企画実行されたみなさんお疲れ様でした!)

帰宅後、私用を片付けてから「コウテカ2なんとなく知ってるけど、メンバーとか知らないしな」という人に向けにブログを書き始めました。

しかし、AM1時から書き始めたからめちゃくちゃ眠い。何を書こうか迷うヒマもなく、頭の中にあることを何の修辞もなく書いていったら、何となく「私が知っていることは書けた」実感を得られたので、最後にメンバーのツイッターと動画をブログに貼って寝る。4時頃でした。しかしタイトルに「5分でわかる」みたいなコンテンツへの苦手意識がにじんでますね。

起きてブログをツイッターにあげたら、けっこうバズるし、褒められるしで、ちょっと驚く。もし文章に熱量が感じられたとしたら、それは「眠さ余って」という感じなので、うれしいけど何だか気恥ずかしい気分に。

hontuma4262.hatenablog.com

13日(金)

解散ライブの日。

メンバーが揃わない1週間だったけど、最後は何事もなく始まりそうでちょっと安心。

チケットも持ったし、物販とかチェキとか買い逃しないようにとみずほ銀行のカードをATMにつっこんだらまさかの「ご利用できません」。あまりに動揺してツイッターでつぶやいてしまったけど、財布を改めて見ると1万ちょっと入ってた!セーフ!

 

www-xに着いて階段を上がると、写真を撮ってはしゃいでいる人が3人いて、ちょっと躁な空気が「あー、ワンマンぽい」と思っていたら、そのうちの一人から声をかけられた。ツイッターのフォロワーで、ずっと前からコウテカの応援をしているtomoさんでした。

しかし、これまで何度か機会があったはずなのに話かけてこなかったtomoさんに対してついつい「え、今さら?」と言ってしまい、苦笑を誘ってしまいました……。

さらに階段をあがって、フロア前のバーカンに行くと、オタク有志が作った巨大パネルが。これまでのアルバムアートワークやMVを閉じ込めた立体的なデザイン。2mmほどのパネルの上部にはサンクス校庭カメラガールの文字。スマートなしかけを撮影する人が途切れませんでした。

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物販に並ぶ人も多いせいか、人の入りはまだ6分。何となく下手に立ちました。

19時半。定刻になり、ららちゃんのナレーションが始まる。

「Dazed and Confusedへようこそ。

私はこの館の主人ゴーストららである。
もう引き返すことは出来ませんぞ。
全てはここから始まる。
みんな一緒についてくるがいい」

フロアが暗くなり、ステージの上のDJブースもよく見えないくらいの濃い闇の中、メンバーが歩き出してくる。

タペスチュアからTyranno〜Post office Crusherまでの間、ステージは真っ暗。少しざわつくフロアに構わず歌い出すメンバー。

そして3曲目のWedge Sole Eskimo。「foreverなんてさ 意味ない」で初めてバッと照明の当たるステージ!

直後の「これからのことはまだわからないよ」で一斉にフロアが腰を落として左手をあげるのが壮観。

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この日最初で最後というそれぞれの衣装がやっと照明の下にさらされました。

シフォンのミニスカートに大きめのポンチョのような水色のワンピースのれめるちゃん。

真っ赤なロングスカートのドレスがフラメンコダンサーみたいで貫禄のあるもるちゃん。

フリルやシフォンがついてはいるけど、ダボっとしたシルエットがスポーティなとぅーみーちゃん。

目に鮮やかな黄色がアニメキャラみたいで、ふわふわした彼女の雰囲気を引き立てるドレスのららちゃん。

ラストアルバムの発売からずっと喪服をイメージさせる黒い衣装で走り抜けてきた彼女たちがドレッシーな衣装で登場したのに感動してしまいました。

満面の笑顔のれめるちゃんの「ラストわんまん〜〜」という言葉から、シームレスに激し目の曲がつながれる。

ららちゃんの「今日は私たちとみなさんのメンツをかけた勝負だと思う〜〜」から、Happy Major。この曲は間奏中にそれぞれがびっくり顏をするところがあるんですが、そこのもるちゃんの表情が美しかった。Tomorrow girl Secretの両腕を使ってキツツキが木をつつくような動作をするところ、一心不乱に動作を繰り返すれめるちゃんがとてもかわいい。最後になって初めて知ることがいろいろある。

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言葉遊びの効いたソリッドなビートから、詩情の漂うTomorrow girl Secret~Curtain Call。Curtain Callは

「もう僕たちはノートに書いた文章なんか
とうに忘れた
ちょっとしたきっかけで思い出す
それくらいがちょうどいいのさ

これはきっと大切な詩になる
今日はきっと大切な1日
そんな衝動ふわりと浮かび出す
カーテンコール」

という切なげな曲。透明感のある切なさのある曲の多いコウテカ2は、この日も寂しくて柔らかい曲と、叩きつけるような激しい曲を交互に繰り返していました。

見事なのは、きちんと楽曲ごとにその世界を切り替えることができていたこと。

Curtain Call~Slingshot Stagecoach~Where the Wild Things~Dance with Mr.Lonlinessという踊り狂う曲と聴き入る曲を交互につなげる曲順。だけど一曲一曲をきっちり歌唱で上げ下げしていく流れがさすが。この日は照明も細かく考えられていて、落ちサビで逆光にしたり、逆に明るく照らしたりというスイッチングが扇情的で美しかった。

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改めてしっかりメンバーの手元のマイクの様子を見ると、ユニゾンがびっくりするくらい細かく作られていて、一見すると1人のバースと思われるところが、最後の一言だけユニゾンになっていたり(しかも4人全員ではなく2人だけだったり)と、音の重なりが緻密に作られています。

かつて松隈ケンタが、アイドルグループ楽曲の作り方を「違う色の絵の具の色を混ぜて、絵を描いていくような作業」と話していましたが、こんなに凝った絵を描いてなおかつ熱量と透明感を同居させているコウテカはすごい。

Slingshot Stagecoachの「dog dog dog 1 2 3 yo」のバースの後で、オタクが追いかけてコールをするのを、れめるちゃんが「うるさい〜!!」と笑いながら一喝したのが可愛かった。

そして、「諦めたあの子のために走るよ」からららちゃんの「僕が」が印象的なLost in Sequence。もるちゃんをのぞくメンバーがステージからはけ、tapestok recordsのアーティストであり、コウテカへの楽曲提供者でもあるcolobsの曲がかかります。

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もるちゃんもステージからはけ、空のステージに曲が響き渡る中、いつのまにかとぅーみーちゃんが登場。

ステージでのキリッとした表情を崩し、ふにゃっとした笑顔で現れながら手紙を読んでくれました。

「こんばんはうぉーうぉーとぅーみーです。
今日は運営スタッフ含め、関わってくださった全ての方のおかげで、ワンマンの舞台に立たせていただいてます。
楽しんでますか⁉︎
みんな今日はいろいろな気持ちで来ていると思います。
メンバーもそれぞれ違う気持ちを持ってます。最後みんながさらけ出して行きたいと思います。
みんなが最後に終着する場所が楽しいだったらいいなと思います!
今日はほんとにありがとうございました!」

お次はれめるちゃん。

「こんばんは!ののるるれめるです!」と言い出してちょっとつっかえる。

「読みます!
今日のためにたくさん準備をしてきたんだけど、手紙がびちょびちょになるくらい手汗がすごいです……。
コウテカ2に入って少しは変われたかなと思います。
後半戦もぶちあがりましょう!」

そしてららちゃん。
「今日初めてコウテカを見た方、ありがとうございます。
MCがなくて疲れていませんか?
今日MCはここだけなので、疲れたら座ってもいいんですよ。
コウテカ2は自由に踊れるダンスフロアらしいので、みんな楽しんでください。
いつも来てくれるみなさん、楽しんでますか?
今日来た皆さんには最高の気分になってほしいです!
後半戦も付いてきてください!」

エレベーターガールみたいなしっかりした言葉使いが頼もしい。

最後に、もるちゃん。

「コウテカは私の人生そのものでした。
ラップをやりたいという私の一言からここまで来ました」

涙目のもるちゃん。

「正直私は自分のことが嫌いなので、なんでアイドルやってるんだろうとか、こんなところまで来ちゃってどうしようと思ってました。でも、応援してくれる皆さん、メンバーみんなのことが大好きです……」

言葉を一度止めて「よし泣かないぞ!」という。

「私たちはここからそれぞれの道に進みます。
これは挫折とか失敗とかじゃなくて、新たな道に進みためのステップです。
私たちをこれからも応援してください。
メンバー、jasさん、そして関わってくれた皆さん。ほんとに今までありがとうございました!
そしてこれからも応援よろしくお願いします」

後になって、彼女が感じていた責任の重さや、「挫折や失敗ではない」という宣言の大切さを思うことになるのですが、この時はあまりにも感情をさらけ出した泣き顔に少し驚いてしまいました。

 

手紙が終わり、タペスチュアからLast Glasgow。涙をぬぐって不敵に「まだまだ終わらないよ〜〜」というもるちゃん。「メモリーラスターいつまで経っても終わらないから私が終わらせるの」という落ちサビを歌いあげるところ、みんな一生懸命すぎて声が上ずっていくのが愛おしかったり、Please Breezeでのダバダイダバダイダバダイダバダイというバースでのメンバー全員の笑顔がまぶしかったり。

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うぉーみーちゃんの「花が咲いた とても綺麗な それに気づいた時には もう 夢だったんだ 奇跡だったんだ」という落ちサビが印象的なGood will Campingから、Lough Ma Fleur~Humpty Taxiと優しい曲調が続き、「なんか、コウテカ2ってほんといい曲持ってて、メンバーはそれをうまく表現してるなあ……」ということに感心してしまいました。

その後、Lonely Lonely Montreal~Salt lake Lostman ~ TOKYO Terror ~ TOKYO Terrorの二連発からの Swallow Maze Paraguay!

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「今日はここが世界で一番踊れる場所なんでたくさん踊って帰ってください!」というもるちゃんのアオリから、うぉーみーちゃんのやたらとドスの効いた「本当の私は何がしたいのかな」にちょっと笑い、Clear beat Goodbye~Unchanging end Rollへ。1ラインごとの細かなマイクリレーが、ポエトリーのような印象を与える曲。

「最後は笑顔で〜〜」という声に促され、この曲がファーストワンマンの本編最後でも歌われていたことを思い出したのでした。

手にピースを作り、しゅー、しゅっと、左右に振り上げる。この呑気な動作がとても好きだった!

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アンコールはWedge Sole EskimoからのHer L Bo She。

出だしから涙をこらえていたもるちゃんが、れめるちゃんバースでのオタクの「れーめる!れーめる!」のコールを聞いて笑っていたのが印象的でした。

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前回ワンマンでのLast Glasgowの熱気からのラストと対象的な、さわやかで寂しい、でも、笑顔の浮かぶ終わり方。

曲が終わって、ふと後ろを見ると「コウテカ2おツヴァイ!」と書かれた横断幕がフロアの後方に掲げられていて、力の抜けたニュアンスが微笑ましかったです。

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「今日は本当にありがとうございました。一緒に最後まで楽しんでくださって私たちも楽しかったです」

そしてららちゃんの「はい!私たちが校庭カメラガールツヴァイでした!」というきっぱりした声。

メンバーがはけて照明がつき始めると、フロアから離れる人もちらほら。

名残惜しそうに、でも、ちょっと笑いを含んだ声で続く「コウテカ2!コウテカ2!」のコール。

すると、jasさんから「記念写真を撮りたいと思います」というナレーション。

「写真はいいからコウテカ2!」というツッコミから、メンバーが戻ってきての記念撮影。

最後はメンバーひとりひとりの手拍子やリアクションに合わせてオタクが手を叩くという4人分の3本締め。笑いながらの、オタクとメンバーとの最後の共同作業が終わりました。

 

追記※そういえば、私は直接目にしてはいないのですが、ららちゃんが一本の線のような涙をすーっと流していて、それがとてもきれいだったと話している人がいました。私はめる&もる側にいたのでこの2人の話多めですが、とぅー&ららを見ていた人の話を読みたいし、聞きたいですね。

……と書きましたが、実際は会場内での全員チェキとライブバー西麻布ブレッツでの「校庭卒業式」を残していました。

チェキ待ちの人以外は徐々にはけていき、私もラストE.PとTシャツを買いに物販へ。途中でお会いした松村早希子さんと一緒に、amiinAのamiちゃんがチェキを撮るのを眺めながらお話。「ブログ読んで、歌詞を読んできました」と言ってもらえたのがうれしかったです。かなり長く引用したHer L Bo Sheがラストの曲だったので、ひょっとしたら読んだ人が歌詞の意味を飲み下すきっかけになってくれたかな。

校庭卒業式までの間はケンホーさんの大阪のお友達に混ぜてもらって、渋谷からブレッツまで1時間ほど歩きました。前回のワンマンの後はひとりでブレッツに行って、チェキを撮ったはいいけど会場の喧噪にうまく混ざれなくてそのまま帰ってしまったから、歩きながら音楽の話やその日のライブの話が出来たのが楽しかった!「ブログ読んで、おれだからコウテカが好きなんだと思いました」とか言ってもらえたのも!

ブレッツに入る前に行ったラーメン屋で、ケンホーさんの「いやーーあんないいライブして解散するんか。わけわからんな……」という言葉にしみじみ。

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全員チェキを撮りに行ったらもるちゃんに「よかった~~。来れたんだ」と言われて、何のことかなと思ったけど、後で考えると私が「チケットはあるけどお金が下ろせない」とツイートしたからかな。リーダーに直々に「(ブログに)愛を感じました!」と言われて「恐縮です……」とかいう返事をしてしまいました。

個別チェキに行こうか迷っていたけど、所持金がギリギリだったのと、もるちゃんの言葉に感情がお腹いっぱいになってしまったので、その後は会場に座り込んでちょこちょこ話をしたり。

はてなidの先輩のエアロさんらといろいろお話しできたのもすごく楽しかったし、いろいろすっきりしました。

校庭卒業式は早朝4時頃に「そろそろメンバー限界なんで、申し訳ないですがやめまーす」という一言で返金もしくは後日振り替え特典会が行われることに……。こういうところは最後まで要領が悪かった……。

ともあれ、運営の皆様、オタクの皆様も含めてお疲れ様でした。

ここからかなり個人的な話ですが、校庭カメラガールおよび校庭カメラガールツヴァイの現場では「オタクとして初めて」ということがたくさんあって、それも含めてとても特別な存在になりました。

初めて生で見たステージでいきなり、卒業1ヶ月前のましゅりどますてぃちゃんに惹かれて、謎のガチ恋状態に陥り、歌詞をプリントアウトして持ち歩いて、メンバーが集客を呼びかけていたから何とかして少しでも多くの人に見てもらいたいと思ってブログを書いたこと。現場で初めて「リフトされたい!」と思ったこと。(それまでは楽しそうと思いつつ、上がる人の衝動が理解できていなかった)アイドルに初めてTwitterでリプライを送ったこと。

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しゅりちゃん卒業後は現場に行ったり行かなかったりでしたが、最後の最後でいろんな人と話せたのも、書いたものをオタクの人に喜んでもらえたというのもすごく楽しかったし、うれしかったです。

オタクがアルバムを作ったり、花を出したり、サイリウムを配ったり、今回なら立体パネルを作ったりというのは好きという気持ちを伝えたいからだと思うんですが(まあ、それゆえの弊害もあったりしますけど、それは人間だから仕方ない)、そういうことがやりきれてない自分はオタクとして中途半端だと思っていたし、人見知りの上にチェキもほとんど撮らないから、残って周りの人と話すこともなかったので。

tapestok recordsは校庭カメラガールドライ(コウテカ3)の結成を予定していて、ライバルグループの校庭カメラギャルもまだまだ続くし、れめる&ららのユニットO'CHAWANZも始動したし、コウテカ2は終わりましたがこれからも自分のペースで現場に行きたいなと思います。

現場でお会いした皆さん、運営の皆さん、そしてメンバー。お疲れ様でした!

 

 

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校庭カメラガール

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音源ハイレゾ配信が始まりました!リハについてふれたレポもあり。

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