ホンのつまみぐい

誤字脱字・事実誤認など遠慮なくご指摘ください。

校庭カメラガールツヴァイ最後のリリイベとLAST one-man live“Dazed and Confused”のこと

今回のブログは基本的に日記のつもりなので、個人的なことをけっこう書きました。ライブのところだけ字を大きくしていますので、お忙しい方はそこだけ読むのもありです。っても、目についた物をほぼ全部書いたのでめちゃくちゃ長いです。

11日(水)

新宿で校庭カメラガールツヴァイ最後のリリイベを見ました。
ののるるれめるちゃん、喉の不調によるドクターストップでお休み。もるももる、しゅがしゅらら、うぉーうぉーとぅーみーの3人編成。

うぉーうぉーとぅーみーちゃんは5日、6日、7日をインフルエンザで。もるももるちゃんも体調不良で6日、7日の夜の部を欠席。7日は校庭カメラギャルのラミタタラッタちゃん、パタコアンドパタコちゃんがピンチヒッターとして登場するというバタバタした一週間でした。
最後のリリイベというだけあって、さすがにいろいろな界隈の人が集まっていたようで、別現場で見た顔もちらほら。

れめるちゃんの歌パートは大体とぅーみーちゃん担当でした。

Where the Wild Things の

「僕らの体は遺伝子のただの器なの
優しさが芽生えたらエラーなの
生き物として」

のところ、れめるちゃんの話しかけるような感じと違い、声を伸ばす歌い方になっていてそれはそれでよかったです。いつも後ろで観ているからわからなかったけど、全身が映るモニターを通して観るららちゃんの動きが面白かった。もる・とぅーがロック・ヒップホップ調の手をかざしたり振り上げたりする動きなのに、ずっと小さくステップを踏み続けたり、手をひらひらさせたりしていて、なんかアニメのオープニング映像での女の子の動きみたい。でも顔も表情も大人っぽい。「この後に及んで発見することがあるものだなあ。ということは、推してる人しか知らない魅力がそれぞれにたくさんあるのだろうなあ」と、なんか感慨深くなりました。

最後のMCで「校庭カメラガールツヴァイには、もうひとり。小さくて、犬が好きでのびのび歌う女の子がいます」と、れめるちゃんを紹介するららちゃん。

ライブ終了後、有志の人たちが作っているメッセージチェキに参加。「オタクのことをチェキに撮り、チェキ裏にメンバーへのメッセージを書いてアルバムにして渡す」っていう地下アイドル的にはよくある企画なんですが、これ外から見ると不思議な文化だろうなあ……。最後のチェキ集めの機会ということで、人が入れ替わり立ち代り。4枚、4人分のメッセージをポスカで書き入れました。(企画実行されたみなさんお疲れ様でした!)

帰宅後、私用を片付けてから「コウテカ2なんとなく知ってるけど、メンバーとか知らないしな」という人に向けにブログを書き始めました。

しかし、AM1時から書き始めたからめちゃくちゃ眠い。何を書こうか迷うヒマもなく、頭の中にあることを何の修辞もなく書いていったら、何となく「私が知っていることは書けた」実感を得られたので、最後にメンバーのツイッターと動画をブログに貼って寝る。4時頃でした。しかしタイトルに「5分でわかる」みたいなコンテンツへの苦手意識がにじんでますね。

起きてブログをツイッターにあげたら、けっこうバズるし、褒められるしで、ちょっと驚く。もし文章に熱量が感じられたとしたら、それは「眠さ余って」という感じなので、うれしいけど何だか気恥ずかしい気分に。

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13日(金)

解散ライブの日。

メンバーが揃わない1週間だったけど、最後は何事もなく始まりそうでちょっと安心。

チケットも持ったし、物販とかチェキとか買い逃しないようにとみずほ銀行のカードをATMにつっこんだらまさかの「ご利用できません」。あまりに動揺してツイッターでつぶやいてしまったけど、財布を改めて見ると1万ちょっと入ってた!セーフ!

 

www-xに着いて階段を上がると、写真を撮ってはしゃいでいる人が3人いて、ちょっと躁な空気が「あー、ワンマンぽい」と思っていたら、そのうちの一人から声をかけられた。ツイッターのフォロワーで、ずっと前からコウテカの応援をしているtomoさんでした。

しかし、これまで何度か機会があったはずなのに話かけてこなかったtomoさんに対してついつい「え、今さら?」と言ってしまい、苦笑を誘ってしまいました……。

さらに階段をあがって、フロア前のバーカンに行くと、オタク有志が作った巨大パネルが。これまでのアルバムアートワークやMVを閉じ込めた立体的なデザイン。2mmほどのパネルの上部にはサンクス校庭カメラガールの文字。スマートなしかけを撮影する人が途切れませんでした。

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物販に並ぶ人も多いせいか、人の入りはまだ6分。何となく下手に立ちました。

19時半。定刻になり、ららちゃんのナレーションが始まる。

「Dazed and Confusedへようこそ。

私はこの館の主人ゴーストららである。
もう引き返すことは出来ませんぞ。
全てはここから始まる。
みんな一緒についてくるがいい」

フロアが暗くなり、ステージの上のDJブースもよく見えないくらいの濃い闇の中、メンバーが歩き出してくる。

タペスチュアからTyranno〜Post office Crusherまでの間、ステージは真っ暗。少しざわつくフロアに構わず歌い出すメンバー。

そして3曲目のWedge Sole Eskimo。「foreverなんてさ 意味ない」で初めてバッと照明の当たるステージ!

直後の「これからのことはまだわからないよ」で一斉にフロアが腰を落として左手をあげるのが壮観。

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この日最初で最後というそれぞれの衣装がやっと照明の下にさらされました。

シフォンのミニスカートに大きめのポンチョのような水色のワンピースのれめるちゃん。

真っ赤なロングスカートのドレスがフラメンコダンサーみたいで貫禄のあるもるちゃん。

フリルやシフォンがついてはいるけど、ダボっとしたシルエットがスポーティなとぅーみーちゃん。

目に鮮やかな黄色がアニメキャラみたいで、ふわふわした彼女の雰囲気を引き立てるドレスのららちゃん。

ラストアルバムの発売からずっと喪服をイメージさせる黒い衣装で走り抜けてきた彼女たちがドレッシーな衣装で登場したのに感動してしまいました。

満面の笑顔のれめるちゃんの「ラストわんまん〜〜」という言葉から、シームレスに激し目の曲がつながれる。

ららちゃんの「今日は私たちとみなさんのメンツをかけた勝負だと思う〜〜」から、Happy Major。この曲は間奏中にそれぞれがびっくり顏をするところがあるんですが、そこのもるちゃんの表情が美しかった。Tomorrow girl Secretの両腕を使ってキツツキが木をつつくような動作をするところ、一心不乱に動作を繰り返すれめるちゃんがとてもかわいい。最後になって初めて知ることがいろいろある。

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言葉遊びの効いたソリッドなビートから、詩情の漂うTomorrow girl Secret~Curtain Call。Curtain Callは

「もう僕たちはノートに書いた文章なんか
とうに忘れた
ちょっとしたきっかけで思い出す
それくらいがちょうどいいのさ

これはきっと大切な詩になる
今日はきっと大切な1日
そんな衝動ふわりと浮かび出す
カーテンコール」

という切なげな曲。透明感のある切なさのある曲の多いコウテカ2は、この日も寂しくて柔らかい曲と、叩きつけるような激しい曲を交互に繰り返していました。

見事なのは、きちんと楽曲ごとにその世界を切り替えることができていたこと。

Curtain Call~Slingshot Stagecoach~Where the Wild Things~Dance with Mr.Lonlinessという踊り狂う曲と聴き入る曲を交互につなげる曲順。だけど一曲一曲をきっちり歌唱で上げ下げしていく流れがさすが。この日は照明も細かく考えられていて、落ちサビで逆光にしたり、逆に明るく照らしたりというスイッチングが扇情的で美しかった。

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改めてしっかりメンバーの手元のマイクの様子を見ると、ユニゾンがびっくりするくらい細かく作られていて、一見すると1人のバースと思われるところが、最後の一言だけユニゾンになっていたり(しかも4人全員ではなく2人だけだったり)と、音の重なりが緻密に作られています。

かつて松隈ケンタが、アイドルグループ楽曲の作り方を「違う色の絵の具の色を混ぜて、絵を描いていくような作業」と話していましたが、こんなに凝った絵を描いてなおかつ熱量と透明感を同居させているコウテカはすごい。

Slingshot Stagecoachの「dog dog dog 1 2 3 yo」のバースの後で、オタクが追いかけてコールをするのを、れめるちゃんが「うるさい〜!!」と笑いながら一喝したのが可愛かった。

そして、「諦めたあの子のために走るよ」からららちゃんの「僕が」が印象的なLost in Sequence。もるちゃんをのぞくメンバーがステージからはけ、tapestok recordsのアーティストであり、コウテカへの楽曲提供者でもあるcolobsの曲がかかります。

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もるちゃんもステージからはけ、空のステージに曲が響き渡る中、いつのまにかとぅーみーちゃんが登場。

ステージでのキリッとした表情を崩し、ふにゃっとした笑顔で現れながら手紙を読んでくれました。

「こんばんはうぉーうぉーとぅーみーです。
今日は運営スタッフ含め、関わってくださった全ての方のおかげで、ワンマンの舞台に立たせていただいてます。
楽しんでますか⁉︎
みんな今日はいろいろな気持ちで来ていると思います。
メンバーもそれぞれ違う気持ちを持ってます。最後みんながさらけ出して行きたいと思います。
みんなが最後に終着する場所が楽しいだったらいいなと思います!
今日はほんとにありがとうございました!」

お次はれめるちゃん。

「こんばんは!ののるるれめるです!」と言い出してちょっとつっかえる。

「読みます!
今日のためにたくさん準備をしてきたんだけど、手紙がびちょびちょになるくらい手汗がすごいです……。
コウテカ2に入って少しは変われたかなと思います。
後半戦もぶちあがりましょう!」

そしてららちゃん。
「今日初めてコウテカを見た方、ありがとうございます。
MCがなくて疲れていませんか?
今日MCはここだけなので、疲れたら座ってもいいんですよ。
コウテカ2は自由に踊れるダンスフロアらしいので、みんな楽しんでください。
いつも来てくれるみなさん、楽しんでますか?
今日来た皆さんには最高の気分になってほしいです!
後半戦も付いてきてください!」

エレベーターガールみたいなしっかりした言葉使いが頼もしい。

最後に、もるちゃん。

「コウテカは私の人生そのものでした。
ラップをやりたいという私の一言からここまで来ました」

涙目のもるちゃん。

「正直私は自分のことが嫌いなので、なんでアイドルやってるんだろうとか、こんなところまで来ちゃってどうしようと思ってました。でも、応援してくれる皆さん、メンバーみんなのことが大好きです……」

言葉を一度止めて「よし泣かないぞ!」という。

「私たちはここからそれぞれの道に進みます。
これは挫折とか失敗とかじゃなくて、新たな道に進みためのステップです。
私たちをこれからも応援してください。
メンバー、jasさん、そして関わってくれた皆さん。ほんとに今までありがとうございました!
そしてこれからも応援よろしくお願いします」

後になって、彼女が感じていた責任の重さや、「挫折や失敗ではない」という宣言の大切さを思うことになるのですが、この時はあまりにも感情をさらけ出した泣き顔に少し驚いてしまいました。

 

手紙が終わり、タペスチュアからLast Glasgow。涙をぬぐって不敵に「まだまだ終わらないよ〜〜」というもるちゃん。「メモリーラスターいつまで経っても終わらないから私が終わらせるの」という落ちサビを歌いあげるところ、みんな一生懸命すぎて声が上ずっていくのが愛おしかったり、Please Breezeでのダバダイダバダイダバダイダバダイというバースでのメンバー全員の笑顔がまぶしかったり。

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うぉーみーちゃんの「花が咲いた とても綺麗な それに気づいた時には もう 夢だったんだ 奇跡だったんだ」という落ちサビが印象的なGood will Campingから、Lough Ma Fleur~Humpty Taxiと優しい曲調が続き、「なんか、コウテカ2ってほんといい曲持ってて、メンバーはそれをうまく表現してるなあ……」ということに感心してしまいました。

その後、Lonely Lonely Montreal~Salt lake Lostman ~ TOKYO Terror ~ TOKYO Terrorの二連発からの Swallow Maze Paraguay!

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「今日はここが世界で一番踊れる場所なんでたくさん踊って帰ってください!」というもるちゃんのアオリから、うぉーみーちゃんのやたらとドスの効いた「本当の私は何がしたいのかな」にちょっと笑い、Clear beat Goodbye~Unchanging end Rollへ。1ラインごとの細かなマイクリレーが、ポエトリーのような印象を与える曲。

「最後は笑顔で〜〜」という声に促され、この曲がファーストワンマンの本編最後でも歌われていたことを思い出したのでした。

手にピースを作り、しゅー、しゅっと、左右に振り上げる。この呑気な動作がとても好きだった!

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アンコールはWedge Sole EskimoからのHer L Bo She。

出だしから涙をこらえていたもるちゃんが、れめるちゃんバースでのオタクの「れーめる!れーめる!」のコールを聞いて笑っていたのが印象的でした。

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前回ワンマンでのLast Glasgowの熱気からのラストと対象的な、さわやかで寂しい、でも、笑顔の浮かぶ終わり方。

曲が終わって、ふと後ろを見ると「コウテカ2おツヴァイ!」と書かれた横断幕がフロアの後方に掲げられていて、力の抜けたニュアンスが微笑ましかったです。

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「今日は本当にありがとうございました。一緒に最後まで楽しんでくださって私たちも楽しかったです」

そしてららちゃんの「はい!私たちが校庭カメラガールツヴァイでした!」というきっぱりした声。

メンバーがはけて照明がつき始めると、フロアから離れる人もちらほら。

名残惜しそうに、でも、ちょっと笑いを含んだ声で続く「コウテカ2!コウテカ2!」のコール。

すると、jasさんから「記念写真を撮りたいと思います」というナレーション。

「写真はいいからコウテカ2!」というツッコミから、メンバーが戻ってきての記念撮影。

最後はメンバーひとりひとりの手拍子やリアクションに合わせてオタクが手を叩くという4人分の3本締め。笑いながらの、オタクとメンバーとの最後の共同作業が終わりました。

 

追記※そういえば、私は直接目にしてはいないのですが、ららちゃんが一本の線のような涙をすーっと流していて、それがとてもきれいだったと話している人がいました。私はめる&もる側にいたのでこの2人の話多めですが、とぅー&ららを見ていた人の話を読みたいし、聞きたいですね。

……と書きましたが、実際は会場内での全員チェキとライブバー西麻布ブレッツでの「校庭卒業式」を残していました。

チェキ待ちの人以外は徐々にはけていき、私もラストE.PとTシャツを買いに物販へ。途中でお会いした松村早希子さんと一緒に、amiinAのamiちゃんがチェキを撮るのを眺めながらお話。「ブログ読んで、歌詞を読んできました」と言ってもらえたのがうれしかったです。かなり長く引用したHer L Bo Sheがラストの曲だったので、ひょっとしたら読んだ人が歌詞の意味を飲み下すきっかけになってくれたかな。

校庭卒業式までの間はケンホーさんの大阪のお友達に混ぜてもらって、渋谷からブレッツまで1時間ほど歩きました。前回のワンマンの後はひとりでブレッツに行って、チェキを撮ったはいいけど会場の喧噪にうまく混ざれなくてそのまま帰ってしまったから、歩きながら音楽の話やその日のライブの話が出来たのが楽しかった!「ブログ読んで、おれだからコウテカが好きなんだと思いました」とか言ってもらえたのも!

ブレッツに入る前に行ったラーメン屋で、ケンホーさんの「いやーーあんないいライブして解散するんか。わけわからんな……」という言葉にしみじみ。

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全員チェキを撮りに行ったらもるちゃんに「よかった~~。来れたんだ」と言われて、何のことかなと思ったけど、後で考えると私が「チケットはあるけどお金が下ろせない」とツイートしたからかな。リーダーに直々に「(ブログに)愛を感じました!」と言われて「恐縮です……」とかいう返事をしてしまいました。

個別チェキに行こうか迷っていたけど、所持金がギリギリだったのと、もるちゃんの言葉に感情がお腹いっぱいになってしまったので、その後は会場に座り込んでちょこちょこ話をしたり。

はてなidの先輩のエアロさんらといろいろお話しできたのもすごく楽しかったし、いろいろすっきりしました。

校庭卒業式は早朝4時頃に「そろそろメンバー限界なんで、申し訳ないですがやめまーす」という一言で返金もしくは後日振り替え特典会が行われることに……。こういうところは最後まで要領が悪かった……。

ともあれ、運営の皆様、オタクの皆様も含めてお疲れ様でした。

ここからかなり個人的な話ですが、校庭カメラガールおよび校庭カメラガールツヴァイの現場では「オタクとして初めて」ということがたくさんあって、それも含めてとても特別な存在になりました。

初めて生で見たステージでいきなり、卒業1ヶ月前のましゅりどますてぃちゃんに惹かれて、謎のガチ恋状態に陥り、歌詞をプリントアウトして持ち歩いて、メンバーが集客を呼びかけていたから何とかして少しでも多くの人に見てもらいたいと思ってブログを書いたこと。現場で初めて「リフトされたい!」と思ったこと。(それまでは楽しそうと思いつつ、上がる人の衝動が理解できていなかった)アイドルに初めてTwitterでリプライを送ったこと。

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しゅりちゃん卒業後は現場に行ったり行かなかったりでしたが、最後の最後でいろんな人と話せたのも、書いたものをオタクの人に喜んでもらえたというのもすごく楽しかったし、うれしかったです。

オタクがアルバムを作ったり、花を出したり、サイリウムを配ったり、今回なら立体パネルを作ったりというのは好きという気持ちを伝えたいからだと思うんですが(まあ、それゆえの弊害もあったりしますけど、それは人間だから仕方ない)、そういうことがやりきれてない自分はオタクとして中途半端だと思っていたし、人見知りの上にチェキもほとんど撮らないから、残って周りの人と話すこともなかったので。

tapestok recordsは校庭カメラガールドライ(コウテカ3)の結成を予定していて、ライバルグループの校庭カメラギャルもまだまだ続くし、れめる&ららのユニットO'CHAWANZも始動したし、コウテカ2は終わりましたがこれからも自分のペースで現場に行きたいなと思います。

現場でお会いした皆さん、運営の皆さん、そしてメンバー。お疲れ様でした!

 

 

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校庭カメラガール

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音源ハイレゾ配信が始まりました!リハについてふれたレポもあり。

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15分くらいでわかる校庭カメラガールツヴァイ(1月13日解散ライブの宣伝)

もう明日でコウテカ2解散とかはえーな!

ギリギリすぎて意味ないかもだけど、15分くらいでわかる校庭カメラガールツヴァイって記事作ったので、気になる人は読んでね!

ふだんから現場に行ってる人には当たり前のことしか書いてないが。

校庭カメラガールツヴァイはアイドルラップグループです。

アイドルラップっていうとlyrical Schoolとライムベリーが有名だと思うけど、ああいうパーティーラップに比べると、コウテカの曲ってもうちょい暗かったり激しかったりします。

私は音楽知らんから詳しくわかんないけど、いわゆるビートのループの裏に、疾走感のあるマンガで言うところの集中線みたいなギュイーンってアゲてく音を入れて、落ちサビにつなげる構成の曲が多い。

ざっくりいうと「感情溜めて溜めてハイ!吐き出しました〜〜」みたいな曲。

リリックはだいたいダウナーなんだけど、それが歌ってる方の感情の解放に繋がってるのか、ライブで聴くとフロアの感情もめっちゃあがるんですよ。

わかりやすいのこれね。

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こんだけ盛り上がってサビが「これからのことはまだわからないよ 私にしかできないことも無いの」ですよ。

そんなアイドルラップあるか! でも、それが超かっこいいの!

あと、これも。

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「偶然なんかないさ 鴉が鳴いた still idol rhymer 不謹慎 writer」

って、もうサブカルっていうよりちょいアングラよりなセンスなのに、落ちサビ

ずっとずっとね
やりたかったことなのに
本当の私じゃ出来ないって言って
逃げてるの
ずっとずっとだよ
やりたかったことなのに
本当の私は何がしたいのかな

ですよ。なんだその振り幅。

でもあるよね。「がんばろう〜〜」みたいな歌より「本当の私は何がしたいのかな」って言いたい時。コウテカのリリックはみんなナイーブで、ちょいめんどくさそうな感じがするんだけど、それを詩としてパッケージングする力がすごく高かった。

たとえば、

ポスカで消した写真のフチは
切り取られたくなかったから
僕は歌うのさ だってドリーマー
安定とか捨て去ったから
小さな幸福と不幸を 過ぎ去ってはまた今日が終わる

これ、落書きチェキでしょ。チェキをこんな詩的に表現出来る人いないから。

CD4枚出してて、2枚目からわりとMCの子たちのキャラに寄せたリリックが増えて来るんだけど、1枚目は1曲でひとつの短編映画みたいなリリックも多くてこれがまたいい。

Her L Bo Sheっていう、おそらく高校卒業かなんかで離ればなれになった男女の歌があるんだけど、これ完全に1曲で映画ですよ。

これで最後だねと言った
僕らは祈りました
少しだけでも明日が変わらないようにと
これで最後だねと言った
僕らは祈りました
少しだけでも明日が変わるように

さよならハルボシ また流れてく
覚えてるからって声が聴こえたよ
さよならハルボシ また走るから
影は見えなくなるよ それだけだよ
さよなら

いらなくなったマウンテンパーカ
しばらくはタンスの中
タンタタン 足音聴こえる
春がやってきたんだよ
坂道駆け上がる自転車
分かりにくい言葉選んだ
変わりになるものは無かった
もう無かった

 

カメラロール開くたび変わってる
あの日あの時どっかに埋まってく
あんなに毎日見てた写真も
枕元に置いてあった悲しみも
桜の木の下の笑い声も
未来予想図のカタチも変わった
ドク ドク 胸の鼓動が
星と重なるアンコールすんだ
そっちは元気でやっていますか
こっちは元気でやっています
思ったよりもちょっと寂しいけれど
これくらいなら頑張れます

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あぶねー、全部引用するとこだった。リリック公開されてるのでこっからハルボシでctrl+fして読んでみてね。↓

LYRICS | tapestok records

音を聴けばわかると思うけど、最初に紹介したようなアゲアゲなビートだけじゃなくて、かわいいけど切ない曲も作れるのがいいんですよ。

木琴とかピアノとかの使い方も好き。女の子の声にあう彩りのある音。

で、不思議なことにコウテカの曲ってあんまり実在感がない。アイドルシーンに対するdis曲もあるんだけど、どっか透明感がある。曲も歌詞も情報量多いけど、意外と感情の純度が高い。だから、演者の熱量がうまくフロアにハマると爆発的に盛り上がる。

最近よくフロアでみんなが好き勝手に踊ってるのがいいって言われてて、そもそもクラブミュージックだからそりゃ踊れるように作ってあるんだけど、それだけじゃなくてステージにちゃんとフロアを刺激する熱量があるという。これは基本的だけど大切なことだと思います。

 韻めっちゃ踏むから日本語として気持ちいいしね。HappyMajorの

底辺から経験する敬礼
アイドルデパートメント崩壊
最近話題? はいどーも
自分を出してる私がいい
とか言ってるけどそれ放し飼い

 とかも好きです。

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で、ステージの女の子たち。

もるももる

そもそもコウテカはもるちゃんがラップをやりたいと言い出したことから始まってます。まず彼女のソロがあって、それを発展させることになって出来たのが校庭カメラガール。声低音。長いバースも担当していて、哀愁のあるリリックのところは彼女がよく受け持ってます。DJブースにいます。

TOKYOterrorの「毎日磨くスニーカーと自撮り 平日もヒロインよりどりみどり 眠らない トーキョー トーキョー」 のとことか好き。マジメなんだけど、自分を解放したい!変えたい!という気持ちの強い人。

 

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うぉーうぉーとぅーみー

名前も見た目もラップも振る舞いも涼しげな女の子。コウテカにはかつてましゅりどますてぃというものすごい熱量を持ったカリスマ性のある女の子がいて、彼女の後任を任されたとぅみーちゃんは結構大変だったと思います。一年で彼女にしかできないキャラクターを確立したのほんとにすごい。さっきあげた「本当の私は何がしたいのかな」とかは今彼女が担当してます。

 

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ののるるれめる

よく懐くわんこみたいな犬好きの女の子。のびのびとした歌声と笑顔が魅力的です。言葉を遠くに届けるような歌い方が出来る子。動画にある部分だと、La summer Planetesの「離れてく雲追いかけて 溶けてしまう前に掴むの」とか彼女の個性が出てると思います。ステージでくるくる回る姿が愛おしい。

 

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しゅがしゅらら

ものすごい萌え声に語尾は「でしゅ」というパンチのあるキャラ作りと、相反する賢そうなたたずまいのバランスが絶妙な不思議な人。ポエトリー調のラップが絶品で、iuM、Humpty Taxiなどは彼女がいないと成立しないと思います。飄々とした中、たまに見せるキリッとした表情がサマになる。

 

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という感じの4人組です。メンバー4人とも仲がいいのもとてもよいです。

 

すごくいい曲といいライブをやってて、解散しちゃうのもったいないなーと思うけど、それぞれの人生があるのでしゃあないですね。(お前しばらく行ってない時期あっただろというツッコミはご勘弁……)

でも、チャンスのある人には最後の機会を逃してほしくないし、行くつもりだけど歌割りとかメンバーのキャラわからんという人にちょっとでもこの記事が助けになれば幸いです。

会場は渋谷 www-x。本気で低音出すらしいので、本気のライブが観たい人には来てほしい!チケットまだまだあるのでよろしくです!

 

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校庭カメラガール

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コンプラだらけのオタクラップ祭り!「Tinpot X-Max(チンポクリスマックス)」もオンリーワンの爆笑イベントでした

 フッドが産まれ育った街に直結しているサイプレス上野トークイベントが12月17日。翌日18日はうって変わって、ネットでつながったオタク青年たちが運営するイベント「Tinpot X-Max(チンポクリスマックス)」へ。

 

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 ブログで何度か書いていますが、主催の「Studio Tinpot」 (ビートメイクにおいてはMAZAIRECORDS名義)は、「オタクとヒップホップ」を共通項に、ネットを通じて知り合った青年たちのサイファーが元になっています。だから、サイファーの場所は決まっているものの、メンバーの地元や現在の住居もそれぞれ違いますし、サイファーのメンツの中には1時間半以上かかる場所から来ている人もいる。でも、集まったメンツはそれぞれStudio Tinpotに愛着を持っていて、特定の土地ではないけれど「人が集まる場所」としてのフッドが成立しています。

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 そんな彼らが主催するクラブイベントの3回目。12月18日の金曜日、24時からという日程は中年社会人にはハードでしたが、会社の忘年会を終えてなんとか川崎のアニソンDJバー「月あかり夢てらす」に到着。

 

 会場に着くと受付のDocManju a.k.a ぽじぽじくんが私物の「中古屋で見つけたらとりあえず買ってる黒人ジャケCD」を配っていました。2枚もらって中に入るとJabvaraさんのオープニングDJ中。

 DJタイムが終わるとホストMCのヤボキシイくんの開会宣言。


「あの!オタクがラップをする!チンポマニアックス!!しかもクリスマス〜〜。
オタクに本物のクリスマスはこない!
みんな家でデュフフとか言いながらツイッターしてるでしょ!俺はバイトしてます!

そんなみんなのためにサンタさんが集まってくれました~~!」

「いえーい!ヤボシ!ヤボシはいいぞ!!!」と騒ぐオタクたち。

 最初のイベントは1on1バトル。Studio Tinpotのバトルは通常のバトルと違い、審査員制。

先攻が提示された3つのお題の中から一つを選び、両者それに沿った話題(正直おもしろければあんまり沿ってなくてもいい…)でバトルする。審査員が「かっこいい」「おもしろい」「キモい」といった独断と偏見に基づいた基準で試合中のパンチ・ラインの数をカウントし、その合計数で勝敗を決める。ノリを重要視するため事前エントリー不要。

 という特殊ルール。しかも、今回は加点だけでなく減点制度もあり。NGワードを言ってしまうと1点マイナスというルールになっています。バトルの内容は正直コンプラだらけ(下ネタ的な意味で)で、とても文字に起こせる内容ではありませんでしたが、対戦カードとテーマ&NGワードから当日の様子をうかがってもらえれば幸いです。

 

★対戦カード:テーマ:NGワード「」

〇ぎぎぎのでにろう×コスモ:ボッキ不全
カクニケンスケ×樫〇:自家発電
あらいぐま×ロリコム〇:お〇んちょ
今日犬×イーエックス〇:日露開戦→延長のテーマ:上坂すみれ
オラディー×コース〇:女性声優

〇茶怒×マルカ:剃毛

ガジランム×だねこ〇:セックスの才能
〇ワッショイサンバ×MANOY:〇ーメン
無能×らいんひき〇:人種差別
〇マミヤ×hzmマサラタウン
遊牧民×時崎〇:オフ会
〇でにろう×樫:テンガ
ロリコム×いーえっく〇:無修正
〇茶怒×こーす:ありえん
〇ワッショイサンバ×だねこ:子作り
〇らいんひき×マミヤ:万華鏡写輪眼
→ここから時間がないのでトライアングルバトルに。NGワードも追加。

いーえっく×でにろう×茶怒〇:おっぱい:NG「セックス、性交、にゃんにゃん」
時崎×〇らいんひき×〇ワッショイサンバ:二郎:NG「みたいな感じ」
らいんひき×〇サンバ:キンタマがかゆい:NG「ヒップホップ」
★決勝★ 茶怒×ワッショイサンバ〇:浣腸:NG「フロウ」

 少しはその内容が伝わったでしょうか。……無理か!

 どんな形でもいいのでバトルを経験したことがある人ならわかると思いますが、マイクを握った瞬間に放たれる言葉の中には、意外なほど「自分の中にある経験や感情」しか出てきません。「自分自身の中身を言葉にしてぶつけ合うのがMCバトル」と言い換えることが出来るくらい。

 

 そのままならなさは、もちろんこの日のバトルにも通底していました。そうしたMCの制御し難い心理と、「とにかく面白かったほうが勝ち!」という美意識が合わさった結果、参加者は皆「性癖や人生や生活習慣をありったけのバイブスで痛烈にぶつけあう」という異常な空間の共犯者になっていったのでした。

 

 とてもじゃないけれどブログには書けないような性癖暴露から、「俺は今度お母さんと一緒に上坂すみれの武道館ライブに行く!」という日常生活暴露まで。異様なワードセンスから繰り出されるパンチラインに、比喩ではなく膝が崩れ落ちるくらい笑いました。だれかがこぼした「MCバトルというより『リズムに乗ったゲスい飲み会』」という比喩がぴったり……。

 

 中でも、「俺は川越から川崎までオナニーしながら歩いてきたんだ!」に「お前が落としたティッシュの後を歩いてきたよ。さながらヘンゼルとグレーテル」とアンサーした試合はファニーでよいなと思いました。なんかかわいくなってる。即興の生み出す化学変化。(MC名は一応秘す)

 

 その後はMr.SmileさんとShirayukiさんのユニットSNOWSMILEのライブにKalnoさんのDJタイム

 

 SNOWSMILEは2人ともラップが巧いんだけれど、音はゲーム音楽っぽいアレンジを活かしたわりかしキュートな曲調。バトル中のMr.Smileさんは正直ものすごく憎たらしいキャラクターなんですが、そのギャップも含めて面白かった。

SNOW SMILE「HATSUYUKI」全曲解説 interview | Madobe

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 どちらもゆるりと、だけど明るく楽しく盛り上がってました。ちなみにDJタイムでは当然のように『2012年にクリスマスが終わる』がかかりましたね。

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 ライブとDJが終わり、過去のTinpot Maniax歴代チャンピオンによるタッグマッチが開催。

 チャンピオンが選んだ仲間を引き連れての3on3大将戦。引き続きテーマ設定あり。NGワードも最初から導入されます。そして、ここからラッパー代表として登場したカクニケンスケさん、時崎さん、BATTLE手裏剣さんの3人がタッグを組んでオタクのタッグと対決することに。

 

 すでにバトル界隈でのプロップスも高い3人ですが、この日は彼らに対抗する強烈なオタクのタッグが存在しました。それが茶怒・ヤボキシイ・遊牧民チームです。飛躍したワードセンスに固い韻、そして淡々としたラップでなぜか勝ち上がる茶怒さん。バトル中だけ謎のポタクキャラを降臨させて勝ち上がる憑依型のヤボキシイくん。そして、常に半袖アロハシャツで「俺がさいこうーーー!!」と大声で叫んで無理やり勝ち上がる遊牧民さん。決勝も最終的にこの2組のバトルになりました。


1回戦のテーマは世界平和:NG「つまり」

カードは茶怒・ヤボキシイ・遊牧民チームVSマジコン・コスモパワー・ミシェル。


マジコン×茶怒〇
コスモパワー×茶怒〇
〇ミシェル×茶怒
〇ヤボシキイ×ミシェル

★茶怒チーム勝利


第2回戦のテーマはくさいオタク:NG「イエーイ」

カードは時崎・カクニケンスケ・BATTLE手裏剣VSオラディー・ぽじぽじ・無能


カクニケンスケ×ぽじぽじ〇
〇時崎×ぽじぽじ
〇無能×時崎
無能×BATTLE手裏剣〇
オラディー×BATTLE手裏剣〇

★時崎チーム勝利

 

 そして決勝戦。決勝戦は1試合ごとにNGワードが増えていく鬼畜仕様。

 茶怒さんの強さについてはちょっと解説しづらいのですが、あえて言えば自意識がまったく邪魔をしないラップと強烈なワードセンスでしょうか。たいがいバトルの後はその人がどんな人か何となく共有できるものですが(草バトルならなおさら)、彼はどれだけ聞いても本人がどんな人なのかよくわからない。

 

 でも、「トランプ大統領ありがとう/俺のために大統領になってくれて」「ここは日本だぜ/トランプ大統領から花札大統領に改名」。など、よくわからないけどやたらインパクトのある言葉をしかも意外に固めの韻で打ち込んできます。どういう流れか忘れましたが、この日は「俺も妊娠してみたい!」と言い出し、それを受けた時崎さんが床に座り込んで「俺も妊娠してーーー!」と絶叫するというわけのわからない展開を誘因しました。

 

 ヤボキシイくんは「ポタクキャラ」を憑依させて「もれは感情を失ったポタク……!」「はっ、感情が感情が生まれた!」などと言い出すつっこみづらいキャラ作りで相手をかく乱させます。

 

 そして、遊牧民さんは基本的にはほぼ、でかい声で「俺がさいこーーー!!!」を連発するだけなのですが、とにかくその強力なバイブスに誰もが飽きれつつ気圧されてしまい、最後についつい爆笑してしまうという稀有なキャラクター。

 

 反則の連続のようなMCたちに対し、「あんなの勝てねえよ~~」という言葉がラッパーから飛び交う。BATTLE手裏剣さんはとうとう「ホント勘弁してくださいよ、もう~」という愚痴からのアンサーで、手を膝に置きながらバトルするという、おそらく他ではありえない反応がバンバン引き出される特殊なバトルに。

 

 最終的にテーマ・トランプ大統領で始まったバトルはオタクチームの勝利で終了。

 

NG「オタク」
〇茶怒×カクニケンスケ
追加NG「ライム」
〇茶怒×時崎
追加NG「マ〇コ」
〇BATTLE手裏剣×茶怒
追加NG「くさい」
BATTLE手裏剣×ヤボシキイ
延長の追加NG「チ〇コ」

〇BATTLE手裏剣×ヤボシキイ
追加NG「ラッパー」
遊牧民×BATTLE手裏剣

最終NGワードは「オタク・ライム・マ〇コ・くさい・チ〇コ・ラッパー」(途中から試合前に確認のためNGワードをみんなで読み上げてコールする流れになったのもかなり狂っていた)

 車座になってお互いを慰めあい、土下座するラッパーたちの姿とバンザイを続けるオタクたちの姿に爆笑しました。

 

 バトル終わってDJ・神と和解せよさんの「オタクの人たちおめでとうございます」から「ラッパーは雑魚です」という言葉に「うるせー!」とつっこむラッパーたち。そして始まるラブライブセットのDJ。

 

 前日のコンプラ祭りのトークイベントを上回るコンプラ連発イベントで、2日間で1年分くらいの爆笑を体験しました。

 

 深夜から早朝のイベントでボーっとするかと思いきや、あまりに刺激的でまぶたを閉じる暇がなかった。すごいイベントだったと思いながら、ふっと「そういえば、昨日のサイプレス上野の『別に犯罪自慢したいわけじゃなくて、こうやって一緒に遊んできた人たちもかけがえのない存在で、そういう人たちと楽しんでいくのもヒップホップじゃないかっていう』って、まさにこの場だよな」と思いました。

UZIさんの事件を踏まえて追記するけれど、般若ですらかつて吸ってた話が浮上している中、サイプレス上野は「ドラッグやってない」って再三主張しててそういう証言が一切出ていない数少ないラッパーだし、ここで書いてる犯罪も遊園地に忍び込んだとかそういうことですよ:2018年1月22日)

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 ひょっとしたらこの場をヒップホップと認めない人もいるかもしれないけど、「ヒップホップの枠組みでは、こういうくだらなくて楽しいことが出来ない」っていうのであれば、それはそれで、無理にヒップホップにこだわらなくてもいいんだろうなあ。これはイベント参加者の総意ではないのですが、少なくとも私はそんなことを考えました。

 

 だって、面白いから文章の上ではラッパーとかオタクとか分けて書いたけど、そういうの抜きにしてみんな馬鹿みたいに爆笑してたし、心の底から楽しんでたし。

 

 それがヒップホップなのかどうかはわからないというか、どうでもいいけれど、皆が楽しめる最低で最高な場所を作り出せていた運営のみんなに心の底からリスペクトを送りたいと思いました。ちなみに、撤収終わって外に出たところ、遊牧民さんはバーの中だけではなく、12月の寒空でも半袖アロハシャツ。ぶれない生き様に“リアル”がにじみ出ていました。

◆配信中のMAZAI RECORDSの音源

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◆過去の「Studio Tinpot」関連記事

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◆盟友秋葉原サイファーの関連URL

秋葉原サイファー公式サイト

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ハスリングなんかしなくてもヒップホップできるから!「ジャポニカヒップヒップ練習帳」サイプレス上野 from Dreamraps 刊行記念トークイベント

 1stアルバムが「ドリーム」。リード曲が「Bay Dream ~フロム課外授業~」。主催レーベルが「ドリーム開発」。

 サイプレス上野はよく自分自身のプロダクトに「ドリーム」と名づけますが、これは一般名詞の「夢」だけでなく、固有の場所を示します。それは、かつて横浜市戸塚区に存在し、最終的に過疎化して閉園したドリームランドという遊園地。そして、彼が生まれ育ち、今も製作場所兼溜まり場として部屋を所有しているドリームハイツという団地のこと。

 

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 そんな彼が学生時代に地域の仲間たちと結成したラップグループにもドリームの名がついています。その名も“Dreamraps”。自伝「ジャポニカヒップホップ練習帳」の出版記念トークイベントでは、このDreamrapsが再集結しました。

 会場であるタワーレコード渋谷店6階。登壇者はDreamRapsのメンバー、サイプレス上野さん、WATA THE ラガーさん(MC)、テラ9さん(MC)、油井俊二 a.k.a.LL KOOL Yさん(DJ)、画家の千葉正也さん、そして構成担当のライター・高木JET晋一郎さん。

 演者が呼び込まれるなり、壇上の机にドカドカおかれるサッポロビールのロング缶。

 トークは自己紹介から始まって本の感想を各人に聞いていくスタンダードな始まり。……なんですが、いきなり本文で「シンナーでケンカの傷を癒していた」ことが暴露されていたワタさんの「書くなら言ってくれって感じですよ!」という抗議。「ワタは今What’goodの店長をやっています」という上野さんの紹介からの、本人による「絶対来ないでしょ!こんな店!」というツッコミ。

 上野さん「俺がワタのシンナー話で一番好きなのは、タギングしにドリームの裏を二人で歩いていたら、ワタが『シンナー吸いてえ』って言いだして、手にスプレーかけて吸ってから『星がきれいだー!!』って叫び出して、ああ~~、こいつ最高だなと思った(笑)」(タギング:スプレーで文字やマークを書いて回ること)

 初っ端からヤングマガジン感のあるエピソードでスタート。

テラさん「自分が出てくると思わなかった。こんな思いでやってたんだって」
油井さん「上野がライブ前とかに話していることが集約されてる」
ワタさん「上野は昔のことをよく覚えてるなと思った。俺はぶっ飛んじゃったから」
上野さん「ワタが突っ切るタイプだったから、俺がそれをさばいてく感じはあったね」

 ドリームハイツの仲間たちがそんな話をする中、唯一ドリームハイツ出身ではない千葉さんによる、外から見たDreamrapsの話に。

「上野の地元の奴らはヤバいという話になって。不良ともちょっと違うんだよね。別の角度でイキがってるというか。高校の時にライブを見に行ったら、『ワタあれやれ』って話になって、それでワタが上に登って『〇〇(中学生レベルの下ネタ)』って言うだけっていう。俺はあれがちょっと衝撃で……」

「すごいね!ここ公共の場だよ!!」と、いきなり身を乗り出して本気で突っ込む高木さん。

千葉さん「ヒップホップってこういうものなんだなって」

私(そうなのか……?)

上野さん「俺、今日は本に書けない話しかしないつもりで来たから!」

(この発言を聞いて、このブログにどこまで書くか迷ったのですが、当事者の中で完結してそうなことと、ギリよけいな炎上をしなさそうなトピックと、情報として間違いのなさそうなものだけ書いておきます)

 その後は「レコード屋の店長にパー券を大量に売らされて、入ってみたら自分たちの客しかいなかった話」から、「Dreamraps」の前身「TITLE‐B」時代のテープがかかります。カセットテープから流れるのは当時のライブ入場の様子。そして、出囃子はドラえもんのイントロ!

上野さん「今も1PACでドラえもんの曲サンプリングしてるし、やってること変わんねえなっていう(笑)」

 この日はほかにもDreamraps時代のライブの様子を収録した曲が流されましたが、入場と同時に会場が「ワーッ」と湧く様子に当時の人気がうかがえました。

 ジャポニカヒップホップ練習帳の3分の1は幼少期から青年期までの出来事が書かれていて、その多くがドリームハイツとドリームランドで彼らがどのように過ごしていたかに費やされています。この日も本に書かれなかった面白エピソードが次々と披露されていきました。

「小3の頃は氷を袋に詰めてバス停を降りてくる人に向けてバンバン投げてた(油井さん)」

窓からよじ登って8人くらいでテラの部屋に隠れてたこともあったよな」「そう、家族でご飯食べ終わって、自分の部屋に戻って電気つけたら『ワッ!?いる!』みたいな」「ドリームは3階までは窓から入れるから

「俺の友達が遊びに来た時に吉野がカレーを出してくれたことがあって」「いい話じゃん」「そうそう、ドリームハイツのいいところはホスピタリティがすごいとこ!よそ者だからって追い出したりとかしないから

ドリームで生活するものとして、観覧車の中央に設置されてるDREAMのMの字にタッチしなければ!みたいな話になって」「俺(ワタさん)とサクライくんが登りに行ったんだけど、あれ途中から板1枚だけになって、つかむところもなくなるんだよ。それをサクライくんが死を覚悟してタッチしていって成功させるんだよ。それを見て俺は『2人ともタッチしたことにして帰ろう!』って言った」「落ちたら確実死ぬなと思いながら見てたよ。あれ、数十メートルあるから」

「ワタが観覧車のスイッチを押して夜中に動かしたことがあった」「そう、スイッチひとつで動いたんだよな」「それもどうなんだっていう」「夜中の閑静な住宅街にギ~ッってすごい音がして」「上野が『母ちゃん起きるだろ!』って言って出てきた

花見しながらTシャツ燃やすのが流行ったこともあった」「1万円のTシャツ着てるやつとかに向かって、着たまま火つけたり」

 一通り話したところで、千葉さんの「ヤンキーは怖いけど、こっちはそういう感じとも違って、とにかく『変なこと』をしてるんだよね」という言葉が入ります。

 高木さん「クレイジーさを競っていたと……

上野さん「いや、でも悪さ自慢がしたかったわけじゃなくて、今日は仲間と遊んだ楽しかった時間を思い出すつもりで。程度はともかくどの町にも絶対ある話だから。俺たちにはドリームランドがあったから、いろいろやっちゃったけど」

 たしかに、破壊行為の話だけでなく、夜のドリームランドで恋愛相談をしたり、ライブの練習をしたりと、ちゃんと青春っぽいエピソードも。

上野さん「MPCを手に入れて、『録音するぞ』ってなって、やり方もわからないからMD持ってスタジオ行って『これに音のっけたいんです』ってお願いしたり。全部一発撮りでやろうとしたら見かけてスタジオの人が助けてくれたり。屛風ヶ浦のスタジオヤヤだったかな。お世話になったね」

千葉さん「そういえばテラとワタはなんでDreamrapsを辞めたの?」

テラさん「俺は就職」

ワタさん「俺は専門学校」

一同「普通だ……」

上野さん「『ドリーム』出したときにワタが『すげえダセえ』って言いだしてケンカしたんだよな。『MICROPHONE PAGERになるんじゃなかったのかよ!』って。で、俺がマウント取ったら泣き始めたから『あ、ごめん』って言ったら下からバコーンって殴ってきたから、『ああ、やっぱこいつには手加減しちゃだめだな』ってその時思ったわ

ワタさん「俺は上野に○○(忘れました)になってほしかったんだよ……」

上野さん「お前が辞めたからじゃねーか!ワンマイクじゃなれねーよ! それでワタが救急車で運ばれるんだけど、誰も付き添わないから俺とテラが一緒に行くっていう」

ワタさん「4針縫ったんだけど、帰ったら家のドアノブに上野の母ちゃんが置いてった3万円入った袋がかかってて」

高木さん「示談だ(笑)」

ワタさん「その金で呑みに行った」

ドリーム

ドリーム

 

上野さん「ドリームランドの最後の日は土人の格好してたら通報されたりね。お客さんは笑ってくれたけど、通報されて裸で裏道を逃げたり……。ドリームランドに『俺のキャパを使って遊べ!』って言われてたような気がしてたんだ。……いや、でも今日しゃべったことによって懺悔した気がするね」

ワタさん(たしか)「俺はそういうのがヒップホップだとずっと思ってたよ

私(どういうのだ……?)

上野さん「おお、じゃあDreamrapsはヒップホップということで

私(そうなのか……)

 最後に上野さんからまとめのお話。

上野さん「別に犯罪自慢したいわけじゃなくて、こうやって一緒に遊んできた人たちもかけがえのない存在で、そういう人たちと楽しんでいくのもヒップホップじゃないかっていう。無理にハスリングしてヒップホップだって言っちゃう子もいるけど、そんなことしなくていいから!

 どんな話もいい感じにまとめていく相変わらずの演説力の高さ……!

 しかし、この日の話を聞いて腑に落ちるところがありました。ドリームハイツは本の中でも「『昔から住んでいる地元の人』がいない新興住宅地で、ドリームで生まれ育った自分たちの世代からやっと街の独自性が出てきたようなところ」として語られています。そんな場所から、どうして何人もの音楽家が生まれたのか。そして、なぜ上野さんたちは今でも強い仲間意識を持って地域と結びついているのか。

 私は2年ほど、町おこし事業に関わる人々に話を聞きに行っていた時期があり、そこで多くの事業の失敗を見てきました。失敗や頓挫の理由は様々ですが、ひとつに第3者が細かく規定した行事や施設が街に馴染まず、物理的にも利用されず、精神的にも愛されないまま風化していくという例が多かったように思います。街の人が寄り付かず、集客もいまいちなアートイベントや、外部の人気建築家が取り付けた炊き出し用施設が、実際に普段から炊き出しを行っている地元の福祉団体の邪魔になっている公園などなど。

 一方、歴史のない街で育った人々のところに、いくらでも遊べる遊園地があって、そこで自由に遊んだ記憶を持った人たちが現在進行形で文化を作っていこうとしているドリームハイツ周辺。そこに数値で測れるような成功が訪れているわけではないでしょうが、誰もが共有できる自由な遊び場こそが人の集まる場所、何かの生まれる場所になるという話は聞けてよかったと思いました。

 まあ、そういうマジな話を置いても、ここに書けなかった話も本当に爆笑の連続で、「誇張抜きでマンガより面白い最低で最高なエピソード」の連続に、マンガ好きとしては軽く頭を抱えたのでした。マンガの想像力が現実に負けている!

 最後はDreamrapsのライブ「解放」で〆。そのレベルの高さに驚きながら「最低で最高なイベントだった! でもうちの近所には壊し放題の遊園地もないし、四六時中酒を呑むといういう生活でもないし、私にはヒップホップは遠いかもしれん」とも思っていました。

 ところが、次の日に行った最低で最高なイベントに、またヒップホップ感がぐらつくことになるのでした……。ヒップホップ感を更新する現在形のイベントの内容を知りたい人とは↓から!

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※余談ですが、けーごくんが遊びに来ていて、謎蜜さんたちと話したり、上野さんにCDを渡したりしていたのがエモかったです。

※帰りに二つ下の階でやっていたCHICOCARITOのリリースイベントに立ち寄ったら松本てふこさんがいらしたので、さっきまで聞いていた話を「ほんっとにめちゃくちゃなんですよ!」と言いながら話したら、「なんか青春映画みたいですね?」という返事。「そういう前向きな言い方もできるのか!」と感心しました。

ジャポニカヒップホップ練習帳

ジャポニカヒップホップ練習帳

 

 

realsound.jp

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日本語RAPと定型詩をテーマにした同人誌「in&on」の感想など

 フリースタイルダンジョン関連で出会った人の中にはけっこう歌人俳人がいて、「おっ、そこでつながるのか」という新鮮さがありました。広義の言葉遊びとしてのMCバトルと定型詩

 そんな歌人俳人定型詩の人たち―が集まって作った同人誌が「in&on」。日本語ラップおよびMCバトルを題材にした短歌や俳句のほか、エッセイ、評論、ラッパー・KOPERUも加わった座談会が収録されています。

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 詩に関しては詳しくないのですが、好きな作品を少しつまみます。

 

01月 寝正月前髪ばかり伸びており
10月 ハロウィンや肌のきれいな吸血鬼
13月 十三月抱けば人体藁くさく

―サンプリング13月 松本てふこ より

花見客さらに増す音叩き込む
心音に花火はなやぐ喪服から

―虹の痕 西川火尖 より 

みずからの重みを支えきれなくてさらに大きな曲線を成す

ありがとうただまっすぐに続くみち異国の麺を嚙みつつ思う

―トルコのパスタ 嶋稟太郎

  全部引用するのも重たいので省いてしまいましたが、上に挙げた作品はそれぞれ、本来はもっと多くの句/歌とともに並べられ、ひとつの作品として掲載されています。単体で見ても面白いのですが、いくつかの詩と並べて鑑賞することにより、起承転結とは言わないまでも、時間の流れや感情の変化が見いだせるようになるのが印象的でした。単体だと風景だけれど、複数だと世界になるとでも例えればよいか。

 評論・エッセイで印象に残ったのは矢野利裕さんの「日本語ラップ情調論」。バトルを「協働的な営み」としてとらえ、フリースタイルラップを「その言葉にまつわる集団的な記憶」を前提とした歌謡とする切り口が面白かった。

 また、座談会「KOPERUとコトバを考える」は彼の作品作りの方法論や、 梅田サイファーというコミュニティの特徴が伝わってきて資料的価値が高い。KOPERUさんのファンなら必読でしょう。ほかで公開されたインタビューと被らない部分だけ少し引用します。

 コッペパンで、DJ松永さんの曲で二人で作った「すれ違い協奏曲」っていうのがあって。それは単純に、二人でずっと「あれはあかんなあ、あれはほんまにあかんなあ」って、やめたいけどやめれない二つのことに対して言っていくっていうか。最初は一つのことに対して言うんですけど、後からだんだん二人ともが別の話になっていく。結局、一人がギャンブルの話で、一人が風俗の話。で、違うんかい!っていうのをやりたいみたいな。

(略)

本当に僕、ラーメンズさんがめっちゃ好きで、ラーメンズさんのコントも全部見てて。で、それもR-指定に見せて、アンジャッシュさんのコントも見せて、これをラップでやったら相当すごいと思うから、それをやってみよう、確かにな、というので形にする、二人で歌詞を考えるみたいな。

だから、僕らがいうのは、日本で一番有名やけど、日本で一番人が少ない、人を寄せ付けないサイファー、っていうか。(略)全員人としての欠点があるっていうだけで繋がっている、みたいな。

(略)

梅田サイファーって、映画の話だったり、漫画の話だったり、最近自分が見たもの、体験したこと、聞いたことをみんなで発表し合うみたいな。R-指定がよく言うのは「生存確認」みたいな。

 

一同:なるほど!

 

確かにな、と「こういうこと最近あってん」と。ほんまにしゃべりに行くみたいな感じなんですよね。だから「俺はこうでこうやっていきたいんだ!」という人はまず残れない。

 マイクリレーと連句の共通点、MCバトルはプロレスであるべきという話なども面白かったですね。

 

 全体的に「定型詩コミュニティに向けて日本語ラップ(特にMCバトル)を紹介する」というトーン。面白かったけれど、評論やエッセイの切り口にはもう少し両者の化学反応を見出したかった。それにしても、歌人俳人はもれなくDOTAMAが好きですね。

 

 あとは、番外として韻踏み夫さんの乱闘にワクワクしました。炎上エンジョイメンタルなので……。

ラッパーのゆうまの「ラッパーが短歌と俳句について語る――「ふつうの人」の視点から」という文章である。ゆうまが説くところはいたって平凡で、取るにたらないほど陳腐なものだ。いわく、俳句や短歌に関わる人たちは門外漢の筆者に俳句や短歌について語らせてくれた。この雑誌に関わっていない歌人の方も許してくれるだろう、悪いことをしているのではないのだから。翻ってみれば日本語ラップシーンの人間は、詳しくない人がラップのことを語ることを拒む。なぜそうするのだ、ラップのことを語ってもらえるのはありがたいことではないか。

 

 おおよそこのようなことを言っている。いちいち批判するのもバカげている。詳しくなければ語っていけないなどということはない。ただ、無知は間違った言辞を誘いやすく、間違ったものにはその都度批判を加えるだけだ。知識の多寡は問題ではない。

サイゾー』2010年7月号にて行われた「日本語ラップという不良音楽 対談――磯部涼×佐々木中」で、佐々木は門外漢でもなければ内部の人間でもない「オン・ボーダー」であると自らを規定しながら、日本語ラップは独自の言語を持っているのだから、哲学や思想といった外部の言葉でそれを語るような「下品なこと」はしたくないと言っている。マイナーな者の声について他人が語るとき、そこには常に政治性が存在し、だからこそ語るに際しては慎重にならなければならない。当事者でない者ならばなおさらである。ゆうまの言う「ふつうの人」というのは、その政治性を回避したい者がねつ造した抽象的な虚構であるに過ぎない。反対に、磯部はインサイダーとしてどこまでも当事者に付き添うことで語る者なのだと言える。ここでは二種の立場が存在している。沈黙、絶句することと、接近の試みを続けることである。やってはならないことは、日本語ラップに今欠けてるもの、例えば商業的成功、高尚さといったものを与える代わりに、彼らから搾取をすることだ。

 

 ここで提出された問題は日本語ラップについて語る者に、当然私にも返ってくる。これまで私の書いた、そしてこれからも書くだろう文章は佐々木がいうところの「下品なこと」に当たっているのだ。それでよい。例えば、作者のことを一度括弧に入れて作品だけを語るのだから政治性とは無縁だ、などといった虚構をでっちあげる必要ない。そんな欺瞞をして何になるというのか。不誠実で、半端で、愚鈍でもあるのだから、私は間違いを犯しているのかもしれない。しかし、語る許可も、犯した間違いへの許しも必要ない。「発言権」は「俺から俺へ」与えるものだ。素晴らしい作品の素晴らしさを語る。批判されることを避けようとは思わないし、むしろ批判を必要としている。なぜ、当事者に許可をもらおうなどと考えるのか。

絶対的にHIPHOPであるために - 韻踏み夫による日本語ラップブログ

 ちょっと文章わかりにくいけど、批評を行う人間としての真摯さが伝わりました。めんどくさい人がちゃんと棲息している分野はいい! ダイバーシティ

 これに松本てふこさんしか反応しなかったのもったいないですね。ここまで書かれた側が、これをどう感じたか知りたかった。

(追記)って書いたら読み手の七々那ナナさんから反論が!

  なるほど……! 「こんな読み方があるんだ!」っていうのは韻踏み夫さんに対してですね。

 

 ここからin&onからさらに逸脱した話になりますが、日本語ラップやヒップホップに関して、最近一番読んで面白かった感想はこれです。

 

 樫さん意識してないと思うけど、これすごく晋平太の曲聴きたくなったし、「本人すら意識してない可能性のある作品の魅力」について語ってるし、無意識に批評になってますよね。こういうのが読みたいし、何より自分も書けるようになりたいですね。

 またまたズレるけれど、そんな樫さんのラップは下のふたつで聴けます!

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「総合芸術としてのアイドル」を実現させるアイドルがいるなら、それはきっとamiinAだ/amiinA presents WonderTraveller!!! act.5@www-x

「アイドルイベントに、いやライブそのものに興味がなくなってもこれだけは絶対に行こう」と思っている唯一のイベント、それが「amiinA presents WonderTraveller!!!」。

 音楽を楽しむこと、自分たちだけの世界を構築すること、ステージとフロアがお互いに尊重しあうこと……。これらすべてを兼ね備えたたぐいまれなアイドル「amiinA」の運営がプロデュースする、これまたたぐいまれなイベント。それがWonderTraveller!!!だ。

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※前回の記事はこちら

 アイドル中心のブッキングの中にパンクロック、エレクトロダブ、ミニマルミュージックを選出するセンスはもちろん、タイムテーブルまで洗練されたメインビジュアル、可愛らしい当日の会場装飾、5時間を超えるイベントのために用意された安心のケータリング……とライブ前からすでに入念な仕込みの様子が伺える。

 

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 スタートは12月28日の14時30分。社会人にはなかなか厳しいスケジュールにもかかわらず、450キャパのwww-xがソールドアウトしたのは、イベントに対する信頼と期待値の証明だろう。

 そんなWonderTraveller!!!では、いつも最初にスクリーンに月と地球、そして地球を廻るロケットの可愛らしいイラストが映し出される。これはWonderTraveller!!!の根底にある「旅」というコンセプトを表現したもので、このスクリーンをバックに、下手にスーツ姿の男性が登場すれば旅の始まりだ。

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「ナビゲーターのナガセ」と名乗るその男性が、天井からぶら下がった豆電球をつけると、大きな拍手が起きる。

「ついにこの日がやってまいりました」という言葉から入り、「この土地には多くの旅行者の方がいらっしゃいます。皆さんが快適に過ごせるよう、お互いに尊敬を持って過ごしてください」という前説。ナガセさんの言葉は常に抽象的で、まるで児童文学に出てくる不思議な案内人のよう。そう、彼の言葉はMCではなくセリフなのだ。

 そんなナガセさんが最初に紹介する演者は3776


 3776は長く実質的な井出ちよののソロプロジェクトだったが、8月から新たに「井出ちよののソロプロジェクト」と「3776(新メンバー募集中)」の活動を並行させている。そんな彼女を、ナガセさんは「ふたつの世界を生み出すという新たな境地にたどり着きました。形容できないものは無理に言葉にしなくてもよいと教えてくれたあの子。またあの子に会えます」と表現する。

 井出ちよのちゃんという不可思議な寛容さと高い技術力を持つ少女が歌いこなすニューウェイブサウンド。アイドルオタクにとっては3776の不思議さ面白さは今更説明するまでもないと思ってるけど、今回は3776&井出ちよの。3776として演じる「生徒の本業」「誰かのモノです」の2曲の後に袖にはけると、スクリーンに富士の街を歩くちよのちゃんの映像が入る。画面の向こうから「どんな高校生になるのかな~~。かつての高校生も高校生にある前の自分を思い出してください」とこちらに語り掛ける、NHK教育の平日昼の番組のような映像。

 ちよのちゃん、再び登場。アイドルらしい純白ベースの衣装から青いジャケットにタータンチェックのスカートというちょっぴり制服っぽい衣装に衣替え。披露されるのは「高校生になったちよのちゃんを想像して作られた」という曲たち。


 「小動物女子」というコンセプトで作られた「ハートの五線譜」が流れ、バックのVJに吹奏楽部にいそうな雰囲気のちよのちゃんが映し出された。「ハートの五線譜」はサビのきらびやかさがキュートなポップな曲。次は「イケメン女子」というコンセプトの「授業は今日も」。VJにはパンクファッションのちよのちゃん。ロック調のビートのアニソンぽい曲。「部活引退の次にすること」ではVJにバスケのユニフォームを着たちよのちゃんに、重めのアブストラクトなビート。

 

 曲ごとにカラーを変えて女の子を表現するプロデューサーの石田彰の相変わらずの変態っぷり。ちよのちゃんも相変わらず、親戚の子みたいな親しみやすさと、アイドルっぽいふてぶてしさと、プロフェッショナルな表情の豊かさと集中力で軽やかに踊っていた。

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3776を聴かない理由があるとすれば

3776を聴かない理由があるとすれば

 

  

もうすぐ高校生活

もうすぐ高校生活

 

 

sora tob sakana

 ナガセさんの「無数の波形をみんなでのぞきに行きましょう」という案内からsora tob sakana。4人組アイドルグループで、ポストロック調のちょっとひねくれた音に中高生の声といういわゆる“楽曲派”向けのコンセプト。


 ふんわりした真っ白な衣装と振りコピしやすいダンスはわりとスタンダードな正統派アイドルで、どちらかというといわゆるアイドルというより合唱団ぽいかな。その辺破綻のなさがちょっと物足りなくもある印象。

 ただ、この日はVJがとてもよかった。海中から水面の波形をのぞく映像に、地球のシルエットがかぶさる映像から始まり、涼しげなステージに魅入られていると真っ白な衣装の少女たちが登場するという入り。

 sora tob sakanaという名前だけど、深海にいるような、あるいは熱帯魚の水槽のような静けさがあって独特の美しさがあった。

 特に「広告の街」でのVJ。


迷路の様な恋に落ちていく
心と裏腹
ゲームの様にレベルアップ
うまくはいかない
検索結果並べても
探せない気持ちは
迷路の奥に消えていく
わたしを見つけて


 現代的な語彙と普遍的な恋心の組み合わせに、透明感のある少女の声が組み合わさった名曲。地図記号で描いた森のように密集した文字群が映し出され、サビに入ったところで「検索結果並べても」などのフレーズが大きく浮かび上がる。VJはそれぞれ見事だったけれど、この演出がもっとも攻めていて清楚な衣装で歌い踊るステージとのアンバランスさも含めて目が離せなかった。


サカナ日記27日目 「広告の街」ダンス映像

 

sora tob sakana

sora tob sakana

 

 

あらかじめ決められた恋人たちへ


 ナガセさんのナビゲートは「人は何度も過去をプレイバックし、未来に想いをはせる。ただ音だけがその隙間を埋めてくれる」。

 あら恋はエレクトロ・ダブという聞きなれないジャンルに分類されるらしい。アイドル2連からのバンドは、セッティング中の独特の緊張感が気持ちいい。

 

 前回も思ったけれど、あれだけ音数があるのにメンバーが主張しすぎずにひとつの塊になった音をぶつけてくるのがスゴい。お互いを引っ張り合いつつの演奏で、最後フロアを引っ張ってくれるのが最高だ。

 そして、フロントの池永正二さんが誰より身体を揺らしているのがいい。基本的に若い方がエラいと思っているし、美しい方が強いと知っているのだけど、Have a nice dayの内藤さん、浅見北斗さんしかり、おっさんが音に合わせて全身を揺らしている姿の汗と哀愁はまた別のありがたみがあって大好きだ。

 合間に「えー、2回目呼んでくれてうれしいです」という、簡潔だけど感慨深そうなMC。

 最終的にだいぶ汗をかく。フロアも盛り上がった!


あらかじめ決められた恋人たちへ - 前日 @ 頂2014

 

after dance/before sunrise
 

 

 インターミッションにアイドルラップとポップの中間点と言える楽曲の963のフロアライブ。ぴーぴるとやーぷんの2人組グループ963は、一度ぴーぴる1人になり、新メンバーねーぷんを加えてまた2人になった。2人はフロアの中央で踊り、その周りにオタクがサークルを作る。963の姿は見えなかったけれど、相変わらずの快活で、自虐的なのに嫌味のないMC。


 前回は観たときはぴーぴる1人きりだったので、正直楽曲を楽しむ精神状態ではなかったけど、改めて聴くとやっぱりあざといまでの良さ。拙い声が生きる音作り。

 ライブ終わり、「懲りもせず2人の少女が迷い込んだようですね」というナガセさん。


963(kurumi)『ストロー』

 

 

 

アイドルネッサンス


 ジャンル問わずの名曲カバーで知られるアイドルネッサンスの紹介は「過去と未来、彼女たちの光の旅へ参りましょう」。

 前回のWonder Traveller!!!ぶりだったけれど、みんな半年分お姉さんになっていた……。

 存在の圧力が上がっていて、過去の名曲を歌うコンセプトはそのままなのだけど、おそらく世界観に対する理解も変わったのか。曲に合わせて身体を音に乗せる能力も表情も格段にあがっていて以前とは別のグループのようだった。

 

 ダンスのレベルが高く、真っ白に制服風の衣装なのでそれぞれの身体の使い方がはっきりわかるのが官能的。踊るロールシャッハのタフなダンスでフロアも上がった。


11.6@お台場【「踊るロールシャッハ」ライブ映像(初披露)】アイドルネッサンス+オワリカラ+炭竃智弘+園木理人

 

アワー・ソングス

アワー・ソングス

 

 

RYUTiST


 新潟県の正統派4人組アイドル。「白い4羽のトキのような少女の世界」とはナガセさんの言葉。優しい曲調のポップスであるというのはもちろん、4人の女の子の柔らかな空気も大きな個性の一つだ。

 

 「奇抜で刺激的なものばかりに目を奪われがちですが、もっとも大切なのは普遍的なものだと私たちに教えてくれることでしょう」というナビゲートから波の音でスタート。

 80年代ポップス風の曲はユニゾンが清潔感バリバリ。mixやコールもほとんど入らない。本人たちのほがらかさも含めて、存在を崇める現場という感じ。点数をつける対象ではないというか。馴染みのいいメロディーの続くスタンダードな楽曲に、フロアを信頼しきっているかのように柔らかいパフォーマンス。

 すごみがあったのは毛皮のマリーズのカバーのラスト・ワルツ。雪の日、夢から覚めた少女が姉になだめられ、先ほどまで見ていた夢を思い出すという不思議な曲だ。

 

胸に大きなリボンの

とても綺麗なドレスで

そして 私は誰かのために

バレエを踊るのだけど

終わりは来るのよ

私 もう 悲しくって

泣いたまんまで踊るの

泣いたまんまで踊るの 

 

 歌詞は美のはかなさを優しく歌う内容。それをチェックのワンピースの4人の女の子がシンプルな振りつけで歌いこなす様は、まるでステージの上に4体のオルゴールが置かれ、それが回って歌っているかのように錯覚させるような透明感。でも、サビを歌うむうたんの少しかすれた声や、踊る女の子たちのしなやかさはあくまでも実在の女の子で、短い演劇のような美しさがあった。

 

 ラストワルツの後は高度なステージから一転して、ゆるキャラを紹介しつつののんびりした自己紹介MC。まるでNHKの子供番組みたいだけれどそれがいい。


 最後はこの日唯一mixの入ったポップな代表曲「ラリルレロロロ」で〆。最後に「バハハーイって言ってください」というお願いも。難易度高っ!


【カバー】ラストワルツ(毛皮のマリーズ)|RYUTist

 

日本海夕日ライン

日本海夕日ライン

 

 

HUSKING BEE

 

 「脳裏に焼きついて離れないその音が過去と未来とを焼き付けてくれました」「光に向かって歩き続けるんです」というナガセさん。

 

 エモ系パンクロックで、いきなり会場ぶちあがってそこからモッシュ・ダイブの嵐。後から知ったのだけど、30~40代の多いこの日の客層にドンピシャの、時代を代表するバンドで、「ロックに夢中だった若い頃ぶりに観た!」という人も多かったよう。

 正直パンクロックはあまり得意ではないのだけど、転げ落ちるようにダイブして、また笑顔でモッシュピットに突っ込んでいく人々の姿は向日性しかなく、その明るさにグッと来た。

 

 フロアの盛り上がりに押されて増していくステージの多幸感が、再びフロアに還元されていく様子はとても幸福で、どこか照れたような笑顔を見せるボーカルの磯部正文さんの表情が印象に残った。


 最後の曲でなぜか両手をソイソイ動かす盆踊りのような振りがフロアに広がっていたのが何か面白かった。


HUSKING BEE - 新利の風

 

Suolo

Suolo

 

 

 さて、トリかつ主催のamiinA

 満を持しての紹介の言葉は「涙を超えて脚力を増した少女たち」。

 

 6月の校庭カメラガールツヴァイの生誕祭以来amiinA。まず感じたのはmiyuちゃんの存在感。物理的に何がとは言えないのだけど、表情も動きもタフになっていた。

 

 amiinAはポストロックにワールドミュージックを掛け合わせたような、重量感があるけれどどこか開放的な音が特徴。駆け出す振り付けや空を仰ぐような動作が疾走感を煽るけれど、彼女たちを包むビートは決して軽くない。遠慮のないドラムに、2人のダンスがついていく。

 

 Atlasだったろうか。最後の低音の鳴りが怒涛の迫力で、まるで動物の群れが通り過ぎていくような振動を身体に浴びる。なんだこれは、圧倒的じゃないか。

 

 ここまでつづってきたように、これまでの演者は皆、すごみのあるライブをしていた。だけど、適切なマイクの音量、適切なフロアへの音響。このふたつに関しては比べるまでもなくamiinAが圧倒的な正しさで空間を作っていた。

 

 もちろん、単に音がすごいという話ではない。先ほど駆け出す振付と書いたけれど、パントマイムのような動きを習得した上で走り出す2人の動きは、ただ単に走り真似をしているだけでなく、その中に抑えきれない力がみなぎっていることを感じさせた。

 

 一方、monochromeでは、時にお互いの顔を見合わせ、時に背中で呼吸を合わせ、存在を確かめあうような繊細なダンスを繰り広げる。まるでミュージカルのようでもあり、コンテンポラリーダンスのようでもあり。

 

 さわやかな笑顔を切らさないのに、甘えのないステージをほとんど気圧される勢いで観ていた。

 一方、MCは相変わらずのゆったりした口調。どんな国に行きたいかというお題で「きゅうりの国!きゅうり畑のある国」というamiちゃんと、「ブロードウェイに行きたい!」というmiyuちゃん。amiちゃんがケータリングメニューのきゅうりの一本付けに言及すると「miyu途中で飽きちゃった……」という返事。一方、amiちゃんは「ブロードウェイって何?」と言ってmiyuちゃんに盛大に驚かれ、慌てて「ミュージカルいっぱいやってるところだよね」と釈明する。とにかく朗らかで、自分を作っている風がまったくない。

 

 後半のMCでは、amiちゃんがお客さんやスタッフに謝辞を述べながら泣きそうになり、背中を向けるし、miyuちゃんは書いてきたこれまた長い長い謝辞の手紙を読んで、「泣かずに読めた~~」と最後に付け加える。かわいらしくて、たくましい。

 

 アイドルのプロデューサーが自分自身のやりたい音楽(その多くは若き日に憧れた音楽)を女の子を使って実現させるという運営は少なくない。こうした傾向が生み出す化学変化はたくさん観てきたし、特に否定する気持ちもなかったのだけど、「やりたい音楽をやりながら、女の子たちの精神的自立心を信頼し、総合的により高い次元を目指す」ことに、これだけの水準で成功している運営は見たことがなかった。

 

 女の子たちのダンスと歌と音と衣装とメイクと演出。2人の柔らかな人間性も含めて、これは総合芸術としてのアイドルを目指していると言えるのではないか。

 

 miyuちゃんはFUJIROCKでCanvasをやりたいと言っていて、アイドルにしろバンドにしろ、若者はそういうことを言って、第三者はそれを微笑ましく思いつつ半笑いで聞くものだけど、amiinAの作り出す強度には、「たしかにそこで霞まないだけの存在になれるのでは」という説得力があった。

 この日はサークルモッシュ、ウォールオブデス、肩組しながらの円陣と、とにかくあらゆる種類のフェスでの動作がフロアに盛り込まれていて、それは直前のHUSKING BEEの影響もあるのだろうけど、ステージそのものにそれだけ人間の衝動を揺り動かすものがあったのだと思う。

 最後のCanvasには、サビにコールというか、オタクの合唱を前提とした箇所があるのだけど、そこでオタクが一斉に挙げた手を、先導する2人の少女の姿は可憐で壮観だった。

 

 壮絶なライブを終えて、ニコニコしながら少女が去っていく。ポカーンとしつつ、オタクのアンコールを眺めていると、ナガセさんがきっぱりとその日のライブの終了を告げる。そう、Wonder Traveller!!!には、少なくとも私の知る3回にはアンコールがない。それもこのイベントを特別なものにする要因のひとつかもしれない。とはいえ、しばらくしてから2人が飛び出してきてフロアに手を振ってはくれたのだけど。

 ライブという言葉に収まり切れない圧倒的な音楽体験。そんなものを味わうのはJAZZBiS階段ぶりで、アイドルという枠の持つ果てしなさに震えた。

 

 “「amiinA presents WonderTraveller!!!」は絶対に外してはいけない”

 

 この実感が、また大きく上書きされた夜だった。

 

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Avalon

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Avalon

Avalon

Avalon (Instrumental)

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Atlas - EP

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